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第五話 結果




―――戦艦大和―――


「山本長官。榛名から入電です。『我、敵機動部隊ヲ捕獲セリ。我、コレヨリ帰投ス』以上です」


通信兵が山本達に報告する。


「…『直チニ大和ニ出頭セヨ』と南雲君に返電しといてくれ」


山本の返電は直ちに榛名に伝えられた。


「……南雲長官…」


電文を見ている南雲に草鹿が声を掛ける。


「…草鹿、今まで苦労をかけたな。なぁに、後任には航空屋で知られる小沢を推しといてやる。俺からのせめての償いだな」


南雲は臨時の長官室に帰っていった。




―――空母飛龍―――


飛龍に着艦した東雲蒼士は飛龍を探していた。


「たくっ……何処に行ったんや?」


ぶつくさと蒼士が歩いていたら、前方から水兵の服を着た少女がきた。


「あれ?巻雲やん。どないしたん?」


巻雲と呼ばれた少女は蒼士に気付いた。


「あっ蒼士さん」


ペコッと巻雲が蒼士に頭を下げる。


「蒼士さん。飛龍さんを見ませんでしたか?」


「いや、俺も探していんねんけど見当たらへんねん」


そこへ光りが現れ、飛龍が転移してきた。


「巻雲。どうかしたのか?」


「榛名さんより伝令です。至急、榛名の第三会議室に来てほしいとのことです。内容は捕獲した米艦艇と簡単な自己紹介をするとのことです」


ピクッと飛龍の肩が動いたが、巻雲は気付かない。


逆に蒼士は気付いていた。


「分かった。今から行こう」


飛龍は再び転移した。


「では、蒼士さん。私も失礼しま「ちょいまち」…はい?」


巻雲が転移しようとした時、蒼士が止めた。


「どうしました?」


「俺も榛名の第三会議室に連れて行ってくれ」


「え?何でですか?」


「飛龍が気になるねん。もしかしたら飛龍の奴、蒼龍の……」


蒼士がそこまで言った時、巻雲も分かったのか蒼士の手を取ると一緒に榛名に転移した。




―――戦艦榛名第三会議室―――


パアァァと飛龍は榛名の第三会議室の目の前に転移した。


「………」


飛龍は無言で懐から必勝の日の丸が描いているハチマキを巻いた。


蒼龍義姉そうりゅうねぇ…。仇はとるぞ」


ガチャと飛龍は扉を開けた。




「ん?飛龍か。遅かった……」


榛名は入ってきた飛龍に目を疑った。


何故なら必勝のハチマキをし、日本刀を携えながらきたのだ。


「……………」


しかも無言である。


榛名は一応の戦闘態勢をして飛龍を座らせた。


「さて、貴様ら米艦艇は修理と少々の改装後、我等大日本帝國海軍連合艦隊に編入されるだろう」


榛名が一旦言葉を切る。


「まぁ今日はとやかくとは言わん。少しながら酒を用意した。日本の酒を味わってくれ」


榛名がそこまで言った時、飛龍が立ち上がった。


「……米空母はどいつだ?」


呼ばれたヨークタウン達は顔を見回すが首を傾げて立ち上がる。


「何だよ?何か用か?」


挑発の言葉でエンタープライズが飛龍を牽制した。


「……そうか…。貴様らが……」


プルプルと飛龍が肩を震わせる。


「あぁ?何だよ?俺達が恐ろしいのか?」


にやけながらエンタープライズがまたも挑発する。


「…エンター。止めなさい」


長女のヨークタウンがエンタープライズを抑える。


「でもよ姉貴。こいつ何をしたい『シャキンッ!!』…何?」


エンタープライズが飛龍を見ると飛龍は日本刀を抜いていた。


『ーーーッ!!!』


会議室にいた者全員に緊張が走った。


「…蒼龍義姉の……蒼龍義姉の仇だァァァーーーッ!!!」


飛龍は刀を振り上げてエンター達に詰め寄る。


「チッ!!」


エンタープライズが拳銃を取り出して構えようとするが間に合わない。


「ハアァァァーーーッ!!!」


飛龍が刀を振り下ろそうとした時、目の前で光りが現れた。


「ーーーッ!!」


転移してきたのは巻雲と蒼士である。


突然のことで飛龍は刀を止めることが出来ず、蒼士を斬ろうとする。


その時だった。


パシィッ!!


蒼士が飛龍の刀の刃を両手で押さえた。


「…真剣…」


「…白羽取り…」


榛名とホーネットが呟いた。


「むんッ!!」


蒼士は飛龍の手を叩き、飛龍は刀を落とした。


「ハアァァァッ!!」


蒼士はそのまま飛龍の右手を脇に差し込み、一本背負いを決めた。


「クウゥッ!!」


受け身を取れてなかった飛龍が痛さに顔を歪める。


「蒼士、すまない。まさか飛龍がこんなことをするとは……」


「ええよええよ。エンタープライズやっけ?お前も大丈夫か?」


「あ、あぁ」


「よし。それにしても飛龍。お前、今何したか分かっとんのか?」


「こいつらのせいで蒼龍義姉が……」


「こいつらを斬っても蒼龍や赤城達は帰ってこえへんで」


「………」


蒼士からの容赦ない言葉に飛龍は黙ってしまう。


「お前も分かってるやろ?」


「…分かってる。分かってるけど…どうしても認めたくはないんだ…」


飛龍は眼に涙を溜めていた。


はぁと蒼士は溜息をついて、飛龍を抱き寄せた。


「そ、蒼士ッ!!」


飛龍がボンと顔を真っ赤にする。


「なら、俺んところで泣いとけや。俺の胸やったらいつでも貸したるわ」


蒼士の言葉にぽろぽろと飛龍は涙を流した。


「ウッ…ウッ……」


飛龍は声を殺して泣いた。


何分たったのか。


ようやく飛龍は泣き止んだ。


「…すまない榛名さん。我を忘れて復讐ばかりの事を考えていた」


「フッ。気にする事はない。(蒼士の胸で泣くなんて羨ましいぞッ!!)」


「…エンタープライズ。すまなかった」


飛龍がエンタープライズに頭を下げた。


「い、いや、いいよ。は、恥ずかしいだろッ!!」


若干照れながらエンタープライズが飛龍を許した。


「ハハハ。エンタープライズ可愛いな」


蒼士が苦笑して、エンタープライズの頭を撫でた。


「ーーーッ!!!」


ボンッとエンタープライズは顔を真っ赤した。


飛龍達はエンタープライズを羨ましそうに眺めていた。




―――戦艦大和―――


主力部隊と合流した第一機動部隊と米艦艇。


第一航空艦隊司令長官の南雲忠一中将は戦艦大和に出頭した。


「南雲。入ります」


「うむ」


南雲は大和の長官室に入った。


「まぁご苦労様だった」


山本が南雲に労いの言葉をかけた。


「早速、本題に入るが南雲。君が俺の命令を無視したのは命令違反に当たる」


「そうですな。本職はもはや思い残す事は何もございません」


南雲ははっきりと言った。


「……本来なら赤城、加賀、蒼龍の三空母の責任を取って止めてもらう……が、君は残存の艦艇と第二水雷戦隊を率いて米機動部隊を捕獲するという実績を上げた。そこでだ」


山本は立ち上がった。


「…ラバウルに新しく新艦隊を発足させる予定なのだが、君に任したいのだがどうかね?」


南雲は驚愕だった。


「…分かりました。謹んでお受けいたします」


「うむ、後任なのだが誰がいいと思うかね?」


「それならば、小沢がよろしいかと思います」


南雲は即答であった。


「分かった。南雲君今までご苦労だった」


「は。恐縮です」


南雲は山本に深々と最敬礼をして長官室を出た。


だが、南雲の顔は苦虫を潰した顔だった。


「……敗者は最前線で死なすか…。だがそれも望むところだ」


南雲は新たな決意をして大和に与えられた部屋に戻った。


御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m


ご要望がありましたら第一次ソロモン、南太平洋、マリアナ沖、レイテ沖の海戦のifを書こうと思います。


話しの内容はこのミッドウェイからの続きからです。


まぁ、自分がもしかしたら書くかもしれませんけどf^_^;


ご要望で執筆するとしても今、忙しい時期なので遅くなると思います。


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