表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/63

平木の推理②

「福助に、なんとかしてもう一度完全な形で問題文を言わせたい。そう思い、途中で披露したのが、純君は女であるというあのバカげた推理になります。結果、一部分だけ問題文を聞き直すことができました。柱の中に隠れている男が童貞。解答者や福助が童貞。このゲームはそういうちゃちな意地悪クイズではない。という言質がとれたわけです。童貞は五人の対象者の中にいる。それがはっきりしただけでも、俺にとっては大きな一歩でした。欲を言えば問題文の全文を聞きたかったのですが」


 俺は、小野寺が退室し四人となった対象者をざっと見た。

 皆、静かに俺の話に耳を傾けている。


「そして、今市さんとの会話中、突如十分間の中断時間が設けられました。対象者と話せないのは残念ですが、考える時間が増えた。俺はそうポジティブに捉えました。福助とたくさん会話できたこと。思いがけなく問題文の一部の記憶が戻ってきて、非童貞の中にも仕込み役者がいる可能性に気付いたこと。これらは中断時間中の収穫でした。それから、ゲーム中も言いましたが、近藤さんが右の控室に入ったことを不審に感じました。そうしているうちに、後半が始まりました」


 無意識に今市に目がいった。


「後半、自分の初体験について話す羽目になったり、頼みの綱の福助が全然しゃべってくれなくなったりと、いろいろ苦労しました。時間も減っていきました。ゲームの解答については、誰が童貞なのか全く絞り込めていない状態でした。俺は焦り、少しでも疑問に思ったことを一人一人にぶつけていくという手法を選択しました。が、これも手ごたえがありませんでした。そんな中、俺の頭の中に付きまとったのは、なぜこのゲームは童貞を探させるのだろう、富豪はこんなものを観覧して何が楽しいのだろう、理論的に答えを導き出すための十分なヒントは解答者に提示さているのだろうか、というゲームの主旨とは直接関係ない疑問でした」


 ゲームとは関係ないと思いつつも、ずっと悩んでいた。些細なことが気にかかる性分なのでどうしようもない。


「そして、残り十五分を過ぎました。半田さんの、レイプはしていないというカミングアウト、今市さんの僕は童貞です発言があり、混乱しました。さらに、福助が非童貞を一人教えるというので、泣く泣く八十万円払いました。結果、純君が非童貞とわかりました。しかし純君は、俺の中ではどちらかというとあまり怪しくない人物だったので、四人に絞られたといっても、まだ霧の中を彷徨っているような状態でした」


 彷徨ってはいたが、何かのはずみで、逆転のきっかけがつかめそうな感覚を、このとき感じ始めてもいた。


「残り時間五分。解答用紙が渡されました。小さな用紙を手にしたとき、俺は、あれ? と思いました。それは、投票用紙のような紙でした。皆さんは、議員を選出する選挙の際に使う投票用紙に、疑問を感じたことはありますか? 俺はあります。投票用紙に候補者名や政党名が印刷されていて、丸かチェックをつけるシステムだと便利なのになあ。何でわざわ手書きで名前を書かせるんだろう。そういう疑問です。それは、印刷コストの問題とか、両端や上の方に印刷されてある候補者が有利になるのを防ぐなどの理由があるからなのでしょうが、本当の理由はわかりません。とにかく、このゲームの解答用紙は、五人の名前が印刷されていて一人に丸をつけるなどではなく、選挙の投票用紙のように真っ白な解答欄に自筆で解答を記入するシステムでした」


 それがどうした? 

 ふと見ると、何人かの対象者の目がそう語っているように感じた。


 俺は構わず続ける。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ