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容疑者を絞り込めない

 五人の話を振り返ってみて、誰が童貞かと考えると、これまた見事に何の決め手もない。全員が怪しい状態だ。


 まず黒咲だが、引っかかる点はいくつかある。

 あのきれいな顔は整形?

 中学まではモテなかったという話が本当だとしたら、整形したのは高校生の頃?

 福助はそれについては把握していないと言っていた。ただ、整形だとしたら童貞とどう関係があるのかと言われたら、俺の頭の中にも、特に童貞非童貞を判断し得る具体的なアイデアがあるわけではない。自分がきれいな顔に生まれなかったことへのやっかみかもしれない。

 ナンパのエピソードはどう解釈する?

 黒咲は、ゲームセンターで女の子に近づいて行き、頼まれもしないのにチャリンチャリンと課金することを、まるで方法論のように語っていたが、そんなものはテクニックでも何でもない。結局顔の良し悪しで決まるだけだ。普遍的再現性のある方法論ならば、俺や今市が同じ手口でナンパしても成功しなければおかしいのだ。

 そもそも俺が出題者の立場だったとき、黒咲を童貞にするだろうか?

 イケメンホストが実は童貞でした、なんていうオチは漫画などで使い古されており、デスゲームの引っかけとしては弱い。


 小野寺もつかみどころがない。

 唯一の高校生。手記の朗読。セックスの経験が一回だけ。など、仲間外れの要素は多い。

最も、他の対象者も異なる視点で何らかの仲間外れ要素はあるので、小野寺だけに言えることではないのだが。

 小野寺の話で気になったのは、手記の中に出てきた玉川上水という地名だ。

 その地名からはどうしても太宰治の心中を意識させられ、愛欲を連想し、小野寺の手記の内容ともつながる。それだけに、作為的ともとれるのだ。

 小野寺が童貞だとしたら、ナツキちゃんとのエピソードは全くの嘘ではなく、自分の中の真実である可能性はある。

 ある知り合いの話だが、その男はアニメが好きで、自分の心の中で一人のアニメキャラと結婚していることになっている。婚姻届けも書いており、空想の中で同棲しているから、夜の営みもある。心の中では。

 だから、お前は童貞なのかと聞いても否定するし、本当に信じ込んでいるからおそらくポリグラフにも反応しない。愛に次元は関係ない。

 もしも小野寺の手記の内容が恋愛ゲームの中の体験であっても、彼の心の中では実際に起こった出来事となっている。だから、いくら追求しても自白しないし、逆に怒らせる結果となる。本人の中では本当に付き合っているのだから。

 ナツキが、恋愛ゲームかアニメの中の彼女ではないか、一応確認してみてもよさそうだ。可能性は低いが。


 半田の怪しさは言葉の少なさである。

 このデスゲームのように会話を主体としたゲームでは、通常あまりしゃべらない方が、ミスが出にくい。沈黙は至高の嘘とでもいうのだろうか。

 半田は外見的特徴とレイプという衝撃のエピソードがあるおかげで目立つが、できるだけ話さないことでうまく逃げている気がしてならない。


 今市はどう見ても童貞だ。

 しかしこれは童貞を当てるゲームなのだから、当然引っ掛け要員のシェイプシフターの可能性も高い。

今市の三十一歳という年齢とさえない外見を考慮に入れたとき、もしも童貞ならどんなごまかし方をするのが適切か。

 自分が今市の立場なら、恋愛経験を少な目に申告するだろう。

 高齢童貞は、日常生活で童貞と疑われることに慣れていて、嘘のつき方も巧妙になるはずである。童貞は「俺は数々の美女と浮名を流した」なんていう嘘のつき方はしない。

「僕が童貞に見えるって? まあこんな見た目だからそう思われても仕方ないか。でも実は、若い頃二人とだけ付き合ったことがあるんだ。結局すぐに別れちゃったんだけどね」

 こう言うはずである。

 つまり今市の体験談は、童貞が性的体験談を創作する際のセオリーを忠実に守っているのだ。だからこそ、今市の体験談を聞けば聞くほど、彼が童貞と思えてきてしまうのだ。

 いや、その裏をかいて実は非童貞。と、思わせてそのまた裏で童貞。

 結局今市のことを考察すると、このような無限ループにはまってしまう。

 ともかく今市が要注意人物であることは間違いない。


 さて、この五人の中で、中断時間の前後に理屈では説明のつかない行動をとった者が一人いる。

 それは――、


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