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小野寺純(高校生)の性体験の聞き取り①

 時間も無いので次。


 高校生の小野寺純君である。


 高校の制服と思しきブレザーを着用。身長は百六十センチ代で線も細いが、黒目がちの童顔とマッシュルーム状の髪型は、女子生徒にも受けが良さそうだ。

「では小野寺純君。純君と呼ばせてもらっていいかな?」

「はい」

「初体験は同じ高校の彼女とだったね。初めての彼女かな?」

「いえ、付き合ったことは前にもありました。でもその人とはすぐ別れちゃったので。何もしなかったです」

 成る程。中高生にありがちな恋愛である。

「今の彼女はどんな人? 同級生?」

「はい、同じクラスの人です」

「仲良くなったきっかけは? 告白したのは君の方から? 質問ばかりでごめんね」

「いえ、大丈夫です」

 素直な受け答えに好感が持てる。

「きっかけは体育祭の準備でよく話すようになって、最寄り駅が同じなので一緒に帰ったりしたことです。告白は、まあ最終的に言ったのは僕の方ですけど、向こうからも好きのサインみたいなのが出てたので。まあどちらともなく付き合ったという感じですかね」

「ふうん、そうなんだ。いつから付き合ってるの?」

「三か月前からです」

「最初のキスの状況は?」

「夏祭りの帰りに。彼女の家まで送っていく途中で」

「……。そうなんだ。彼女、かわいい?」

「まあ、はい」

 ちくしょー。なんかこいつも嫌いになってきた。

 いやそんなこと考えてる場合じゃない。デスゲームの最中だった。

「で、初体験はいつ?」

「二週間前です」

「つい最近じゃねーか!」

「あ、はい」

「その後エッチは?」

「いえ、その後はまだしてません」

 ということは、この少年は人生で一度だけセックスした状態ということになる。それでもれっきとした非童貞であることには違いない。彼の話が本当だとしたら。

 ここでふと、俺の頭をかすめたのは、日本において高校卒業までにセックスを経験する人の割合はどれくらいだろう、という疑問だった。

 自分が高校生だった時代を思い返すと、三年生の三学期には三割の人が非童貞だったと思う。その頃は、同級生の初体験話を耳にするたびに、置いて行かれた気がして、焦りを感じたものだった。

 今の高校生の恋愛事情は詳しくは知らないが、娯楽コンテンツの多様化等による若者の恋愛離れが進んでいるというニュースを目にする機会が多い。昔の高校生と違い、恋愛に振り回されない生き方を選択する生徒が増えているらしい。

 あと、これは二十代にも言えることだが、恋愛経験豊富な男はとことんモテるが、そうでない人は全くモテないという二極化状況が平均値を形成しているから、統計的な数字からは高校生の本当の恋愛事情は見えてこないのかもしれない。最頻値や中央値などと比較し、総合的に判断しなければならない。

 しかしながら、とっくの昔に高校を卒業した俺が、今時の高校生の恋愛事情を表す数値がどうしても気になってしまうのは、自分が共学の高校に通っていたにも関わらず彼女ができなかったという背景があるからとしか思えなかった。高校時代に恋人がいなかった男は、制服を着てデートすることに一生涯憧れ続け、その呪縛から永遠に解放されることはないのである。積もり積もった怨念は中高年になるほど熟成され、女子高生買春や、痴漢や盗撮といった形で具現化されることもあり得るのだ。現にそういった類のニュースは後を絶たない。

 それほど日本人、特に男性の恋愛遍歴において、高校生の頃に初体験をしたかどうかが、充実した青春を過ごせたかどうかのバロメーターとして、良くも悪くも機能しているに他ならない。そういう歪んだ価値観に若者を陥れる一助となっているのは、漫画やアニメの存在と俺は考える。その影響について実際に高校生に聞くと、「漫画と現実の恋愛は別」「フィクションを鵜呑みにするのは幼稚」といった答えが返ってくるだろう。


 しかし本当にそうだろうか?


 自分の恋愛観の中に、一パーセントたりとも漫画やアニメの影響は無いと言い切れるだろうか。

漫画やアニメによって作られた、『高校生で初体験できない男は遅れている』、という価値基準は、バブル期にユーミンが作った、クリスマスは恋人と過ごすもの、といういイメージと同様、完全に日本人の深層心理に刷り込まれてしまっている。日本の漫画出版社は、高校時代に恋人ができなかった男性が負った心の傷に対し、一体どのような賠償責任を果たしてくれるというのか。

 タバコの箱には、現在、パッケージの半分の面積を占めるくらい大きく、あなたの健康を損なう恐れがありますと印刷されているではないか。

 それと同様にラブコメ漫画のページの半分くらいの面積に、「あなたの人生にこの物語のようなロマンスは訪れません。この漫画はあなたの恋愛観に影響を与え、童貞の期間を長引かせる恐れがあります」と記載することを法で義務付けるべきなのではないだろうか。

 もちろん漫画の中にはモテない童貞を主人公としたものもあるが、その多くは最終的に美女と結ばれるストーリーだから非現実的である。童貞モノと謳っていても結局はボーイミーツガールなのだ。


 ちょっとデスゲームと関係ないことを考えてしまった。


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