黒咲騎士の性体験の聞き取り②
「ホストになった年齢ときっかけ、やりがいとか大変なことを教えてもらえる?」
「何か就職試験みたいだね。そんなに一気に言われても困るよ」
「お願いします。俺も必死なんで」
「じゃ、まず、ホストを始めた年齢は二十一のとき」
黒咲は言った。
「きっかけは、特にないんだけどね。その頃は飲食店で働いてたんだけど、このままでいいのかなって毎日思ってた。もっと自分の能力を収入に直結できる仕事がしたいな、と。それで、ホストクラブの求人検索して。応募して、面接受けて」
「ふうん、そうなんだ。ホストクラブの面接って審査が厳しそうだね。相当なイケメンじゃないと合格しないんじゃないの?」
「いや、そんなことないよ。普通レベルの顔面偏差値だったら大丈夫。服装とか髪型、話術なんかで、案外どうにでもなるんだ。常に流動性のある業界だから。人手を確保したいしね。外見よりは、無断欠勤をしないとか、そういう社会人としての常識を問われるかな。面接では」
これも意外だった。勝手なイメージでゆるそうな業界だと思っていた。
「じゃあ俺の顔でもホストになれる?」
「もちろん! 合格間違いなしさ」
黒咲はまたお得意のスマイルを浮かべた。そう言われて正直悪い気はしなかった。一流のホストは女性だけでなく男性をおだてるのもうまいらしい。
「黒咲君はお店ではナンバーワン?」
「先月はランク外だったよ」
どういう意味だろう?
「君はホストとしては下位の方、ということかな?」
俺は首を傾げた。
「いや。ランキングっていうのは五位から上しかカウントされないんだ。ちなみに俺は歴代でも二位が最高。その月は誕生日とかあってたまたま二位になれただけ」
そのシステムも知らなかった。
やはり当初の予想通り、ホストクラブに関する知識を追求しても俺にアドバンテージはないのかもしれない。
「ところで素朴な疑問なんだけど。女性を騙して大金を貢がせることに対して抵抗はないの?」
際どい質問を投げかけてみる。
「騙す、っていう感覚は全くないかな。あくまでもお客さんが料金体系を理解した上で遊んでくれてるわけだしね。五千円の飯をおごったら、私を愛してくれてると勝手に勘違いして、十五万のボトルを入れてくれる。それがホストクラブに来るお客さんの思考さ」
黒咲は怒る素振りも無く淡々と言った。
その後、お客さんとの色恋営業のことや、プライベートの女性関係について尋ねた。黒咲は華々しい女性遍歴を俺に聞かせてくれた。
「童貞のホストっていると思う?」
俺は最後にそう聞いてみた。
「どうかな。少なくともうちの店にはいないけど」
「ところで黒咲君がこのゲームに呼ばれた理由は何だと思う?」
「さあ。何だろう。色物扱いとか。ホストって偏見多いから」
至極真っ当な回答に思えた。
時間も無いので次。
高校生の小野寺純君である。




