表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
四銃士  作者: 黄坂美々
5/45

5.ドゥーベの街

 それから数日間、広い荒野を4人は野宿などをしながら走り続けた。そしてたどり着いたドゥーベの街。石畳の道が続く旧市街。街の入り口で4人は馬から降り、クレイグが尻をさすりながら文句を言いだす。


「やっと街に着いたぜ。ケツが割れちまう」


「まだ割れてなかったのか」


 ブラッドがつぶやく。ティムが笑いながら言う。


「クレイグの美尻が腫れたら大変だね」


「お腹も空いたし、まずは食事だね」


 アレンが言う。


「おっと、忘れてたぜ。これおまえらの分だ。持ってろ!」


 クレイグがリュックサックから、ヒップホルスターに入った銃を3丁出す。そして一人ずつに手渡していく。ブラッドとティムは銃を受け取り、腰に装着する。アレンは突き返す。


「こんなのもらっても使えないよ」


 クレイグもアレンに押し返す。


「練習すればできる。とりあえず持ってろ」


 アレンはムッとしながら、リュックサックに入れようとする。


「何してんだよ! 腰につけんだよ。貸せ!」


 クレイグは無理やり銃をアレンの腰に装着する。


「防犯対策だと思え!」


「よけい危ないよ。使えもしないもの身につけてたらケンカ売ってるみたいだよ」


 アレンは不満そうに銃を見つめる。


「ケンカ売る奴は持ってなくてもくる。だから黙って言うこと聞け」


 クレイグにそう言われ、しぶしぶアレンは受け入れる。それを見ていたティムがアレンに声をかける。


「使い道は人だけじゃない。野生動物除けにも使えるよ」


「そっか、そうだね」


 アレンは笑顔になったが、水を差すようにブラッドが言う。


「動物より人の方が危険だけどな。旅するなら使えるようになれ。死にたくなければな」


 アレンはムッとして言い返す。


「ブラッドはもっと話し合うってこと覚えた方がいいと思う」


 ブラッドとアレンがにらみ合う。ティムが大げさに話し出す。


「あー、お腹空いた! 早くお昼食べようよー」


「じゃあ、2時間後ここで集合だ」


 ブラッドはそう言って、馬屋に馬を預け去っていく。


「了解」


 クレイグもブラッドに続き、別の方向に行ってしまう。ティムは二人に向かって叫ぶ。


「みんなで食べないのー⁉」


 しかし二人は振り向くことなく、手を上げて行ってしまった。アレンたちも馬を預け、市場に向かうことにした。



 たくさんの屋台や露店があり、新鮮な野菜や果物や魚が売られている。多くの人々が行きかいにぎわっている。ティムとアレンは店を見回りながら歩いている。アレンがしぼりたてオレンジジュースを2つ買い、ティムに手渡す。


「ありがとう。僕あのサンドイッチ買ってくる」


 ティムは店の方に小走りで向かう。アレンはジュースを飲みながら店を見渡していた。そのとき後ろから勢いよく少女がぶつかってくる。アレンはその勢いで持っていたジュースをこぼす。少女はぶつかった反動で尻もちをつき、アレンを見上げる。


「ごめんなさい!」


 アレンは振り返り少女を見る。少女は息を切らして、しきりに周囲を気にしている。


「俺は大丈夫。大丈夫?」


 アレンは少女に手を差し出す。少女はアレンの手を取り立ち上がる。


「は、はい。ちょっと追われてて……」


「え?」


 アレンが周囲を見渡すと、数人の少年が市場の入り口をきょろきょろしながら歩き回ってるのが見えた。アレンは少女の手を引き、物陰に身を隠した。少女は小さく震えている。アレンは心配そうに少女の肩をそっとさすりながら言う。


「大丈夫。ここにいれば見つからないから」


 少女は瞳を潤ませながらアレンを見上げる。アレンは少女に優しく微笑む。少年たちは市場を去っていく。アレンは立ち上がり周囲を見渡す。


「ほら、もう大丈夫だよ」


 少女はアレンに抱きつく。


「ありがとう。怖かった……」


 アレンは少女の背中を軽くさする。


「大変だったね。無事でよかった」


 そこにティムが紙袋を抱え、駆け寄ってくる。


「アレン! どこ行ったかと思ったらこんなとこに!」


 ティムはアレンの胸に顔をうずめて、しがみついている少女に気づく。


「誰? この子」


 少女はしがみついたまま、ティムの方に顔を向ける。アレンが答える。


「何か追われてたみたいで一緒に隠れてたんだ」


「そっか。あ、これ、いろいろ買っておいたよ」


 ティムが紙袋を見せる。


「ありがとう。食べようか。と、その前に……」


 アレンが少女を見る。


「少しは落ち着いた? 一人で帰れそう?」


「もう少し一緒にいてもいいですか?」


 少女が小さな声で言う。二人は顔を合わせ、ティムが笑顔で言う。


「いいよ。じゃあ、一緒にランチしよ。いい場所見つけたんだ!」



 その頃ブラッドは一人で大衆酒場にいた。たくさんの人でにぎわっている。ブラッドはカウンター席に座り食事をしている。一人の女がブラッドに近づき声をかける。


「お兄さん一人? 私たちと一緒に飲まない?」


 女はテーブル席を指さす。テーブル席には二人の女が座って、ブラッドに手を振っている。


「興味ない」


 ブラッドは食事を続ける。


「やだあ、つーめーたーいー」


「うざ」


「ねえ、おーねーがーいー」


 女はそう言って、ブラッドにしなだれるように抱きつく。ブラッドは食事を止め、女の手首をつかみ引き離す。


「いたあい! いたあい!」


 女が大声で叫ぶ。周りの客がざわめく。女の手にはブラッドの財布が握られている。ブラッドは財布を奪い返す。


「これが目的だろ。痛い目見たくなかったら失せろ」


 ブラッドが冷たく言い捨てる。女たちは慌てて店を出ていく。見ていた店主の親父がつぶやく。


「やるね、お客さん」


「たまたまだ」


 ブラッドは食事を再開する。


 アレンたちは昼食を終え、噴水の縁に腰かけ雑談している。アレンの隣でうつむいて座っていた少女が突然立ち上がる。


「あの!」


 アレンとティムは驚いて少女を見る。


「と、友達を助けてください!」


「友達?」


 アレンが聞く。


「友達が……さっきの奴らにさらわれたの」


「ええ⁉」


 二人は驚き、ティムが続けて言う。


「何でそれ早く言わないの⁉」


「怖くて……」


 少女がうつむく。アレンは少女に優しく話しかける。


「どこにいるかわかる?」


「うん。裏通りの空き家。不良のたまり場になってるの」


「助けに行かないと」


 アレンが言う。ティムがつぶやく。


「うん……。クレイグたちが居たらな……」


 少女が手で顔を覆い泣き出す。


「どうしよう……。今頃エミリーは……」


 少女の様子を見て、アレンが言う。


「ティム行こ! クレイグたち探してる時間ないよ」


「う、うん。そうだね」


 アレンは少女の肩に手を添えて話す。


「大丈夫、絶対助けるから。君はここで待っててね」


 少女は小さくうなずく。アレンとティムは急いで走っていく。その後ろ姿を少女は静かに見ている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ