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四銃士  作者: 黄坂美々
45/45

45.帰還

 ミザールの街に戻ったアレンたちは急いで商人の家を訪ねた。家の中からリリーが出てきて、笑顔で出迎える。


「おかえりなさい。皆さんご無事でよかったです。どうぞ中へ」


 リリーに案内されアレンたちは家の中へと入っていく。すると商人の男が松葉杖をついて奥の部屋から姿を見せた。


「どうなさったのですか⁉」


 アレンが驚いて聞く。商人の男が照れながら答える。


「いやあ、山に入ったときに足をひねってしまって……お恥ずかしい」


 アレンが安堵の表情を浮かべたとき、背後から聞き覚えのある声がする。


「お! おかえり。全員無傷とかやるじゃねえか!」


 アレンが振り返ると、首元にタオルをかけた湯上りのクレイグが立っていた。アレンは涙をにじませてクレイグに抱きついて喜ぶ。


「クレイグ! よかった! よかった!」


 ティムもクレイグに抱きついて泣きながら喜んだ。ブラッドとケイはほっとした表情を浮かべ、リリーと商人の男も微笑まし気に見ている。


「そろそろ離れてくれ。笑われてんぞ、恥ずいだろ……」


「笑われたっていい。死んだかと思ったんだから!」


 ティムが涙目で言う。


「俺だって思ったよ」


 クレイグはそう言って、森で起きた一連のことを話した。


「うわあ。踏んだり蹴ったりとはこのことだね……」


 ティムが心配そうに言った。


「よく毒消しなんか持ってたな」


 ブラッドが言い、アレンが答える。


「アリオト砂漠の集落でお世話になったときに、お婆さんにもらったんだ」


「そうか。命拾いしたな。もう体は平気なのか?」


 ブラッドがクレイグに聞く。


「ああ、おまえの薬のおかげでな」


「そうか」


 それから、アレンたちは出発の準備をし、住民たちに礼を言って別れを済ました。ミザールの入り口でクレイグがケイに聞く。


「ところでおまえ、どこまでついて来るつもりだ?」


「そう言えばそうだね」


 ティムも続けて言った。


「そんなの決まってんじゃん。あんたらの村までだよ。あんたたちの村もみたいし、何よりアイリスに会ってみたくなってね」


 ケイが明るく返す。アレンは一瞬驚いたが嬉しそうに言う。


「嬉しいよ。アイリスもきっと喜ぶ。そうと決まれば早く帰ろう!」


 アレンはそう言って馬で駆け出した。ティムたちも後を追うように駆け出す。そうしてアレンたちは野宿などをしながら数週間かけてポラリス村へと帰るのだった。



 約一月ぶりにアレンたちはポラリス村に帰ってきた。アレンたちはほっとした表情を浮かべ、ケイはのどかな景色を眺めていた。アレンたちはまず診療所に行き、アイリスの眠る病室へと向かった。病室の扉を開けるとベッドのそばにシビルが座っていた。


「あら、おかえりなさい」


「シビルさん、どうしてここに?」


 アレンが聞く。


「そろそろ帰る頃だと思ってね」


 アレンたちは人魚姫の涙、女神の雫、金色の果実をシビルに手渡した。


「たしかに。じゃ、作ってくるわ」


 シビルはそう言って、診療所の奥へと向かい、薬を作り始める。



 そして小一時間ほどが経ち、シビルが小瓶を手に戻ってきた。


「はい、できたわよ」


 そう言ってシビルはアレンに小瓶を手渡した。アレンは皆の顔を見渡して、皆が見守る中、アイリスの口に薬をゆっくり流し込んだ。


「これでしばらくしたら目覚めるはずよ」


 シビルが言った。皆が安堵の表情を浮かべる。


「アイリスはこれでいいとして、アイリスが出会った森のじじいはどうする?」


 クレイグが眉をひそめて言った。それを聞いてシビルが思い出したように話し出す。


「ああ! それ言うの忘れてたわ」


 皆がシビルの方を見る。


「あれね、妖精だったのよ。アイリスに好感を抱いた妖精が仲良くなりたくて渡しちゃったみたいよ。人間には毒だと知らずにね」


 シビルがそう言うと、ブラッドが険しい表情でシビルを見て言う。


「それ、いつ知ったんだ?」


「あなたたちが旅立って二、三日後くらいかしら。薬を届けるついでに話そうって思ってたんだけど、いろいろあって忘れてたわ」


「いくらでも話す機会はあったのに、ベラベラとくだらない話ばっかりしやがって……わざとだろ」


 ブラッドが冷たく言う。


「やあね、そんなわけないでしょ。ほんの、おっちょこちょいちょいちょい」


 シビルが笑みを浮かべて言った。ブラッドが黙って冷たい視線を向けている。


「まあまあ、原因もわかったことだし、よかったよ。ね?」


 アレンがブラッドを見て言う。ブラッドは不満そうに目を逸らした。


「そうだよ。近くの森に不審者がいなくて本当によかった」


 ティムがほっとした様子で言った。


「あれ? ここは?」


 アイリスが目を覚ました。皆が一斉にアイリスを見て、そばへと近づく。


「アイリス? わかる?」


 アレンがそう言って、アイリスの目の前で軽く手を振る。アイリスはゆっくりと体を起こして皆の顔を見回す。アレンがアイリスに状況を説明する。アイリスは驚きながらも状況を把握した。


「みんなありがとう。ごめんね、心配かけて」


 そう言って、アイリスは少し照れながら笑みを浮かべた。ほっとしたアレンは皆のためにお茶を淹れようとキッチンへ向かった。アレンは楽しそうに話をしているアイリスを見ながらお茶の用意をする。そこへティムがきて声をかける。


「よかったね。無事に目覚めて」


「うん」


「気持ち、伝えないの?」


 アレンはアイリスをじっと見つめて、答える。


「うん、いいんだ。アイリスが生きていれば、それでいい」


 アレンはそう言って微笑み、皆にお茶を持って行くのだった。




 END

最後まで読んでいただきありがとうございました。

冒険ものを書きたいなと思い、軽い気持ちで書き始めた物語でしたが、

なんとか完結させることができてほっとしています (*^▽^*)

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