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四銃士  作者: 黄坂美々
43/45

43.命の選択

 女が改めてケイを見つめて言う。


「じゃあ、再開ね。あなたは戦地に向かうことになりました。どちらの装備セットを持って行く? A、ヘルメットと防弾チョッキ。B、剣と銃。さあ、どっち?」


 ケイが少し考えて答える。


「Bの剣と銃。だって戦えないじゃん」


「ブー! 不正解。戦地と言っただけで戦えとは言ってないわ。無闇に武装して行ったので殺されましたとさ」


 女はそう言って、ケイに吹き矢を放った。


「この、クソ……女……」


 ケイはそう言って意識を失った。


「ケイ! ケイ!」


 アレンが叫ぶ。ティムが恐怖でうつむく。


「さあ、次は……」


 女はそう言いながらティムにゆっくりと近づく。ティムはうつむいて目を閉じ、アレンは女をじっと見つめていた。女はティムの前で立ち止まって言う。


「あなた」


 ティムが恐る恐る目を開け、女を見上げる。女はティムを見つめて言う。


「第三問。ナイフを持った大柄の男性と、銃を持った少女が向かい合っています。あなたはどうする? A、少女に銃を向け、武器を捨てるように言う。B、男性に銃を向け、武器を捨てるように言う。さあ、どちら?」


「えっ、どっち⁉ わかんないよ……どっち?」


 ティムはおろおろしている。


「こんなの――」


「しっ! 口を出すのはルール違反よ」


 アレンが話そうとするのを女が遮って言った。アレンは、ぐっと唇を噛みしめてティムを心配そうに見つめる。女はティムを見て言う。


「さあ、どっち? あと5秒。4、3、2、1……」


「B! 男を止める!」


 ティムはそう言って目を閉じる。女はティムをじっと見つめて言う。


「残念! Aでした。人を見かけで判断してはだめよ? 少女に脅されていた男性は撃ち殺されちゃいました」


 ティムの顔から血の気が引く。


「あなたもゲームオーバーね」


「待っ――」


 アレンが女に言おうとしたとき、女が吹き矢をティムに向けて吹いた。矢はティムの腕に刺さり、ティムが矢を見つめて言う。


「嫌だ……死にたく……な……い」


 ティムは意識を失い、涙が一粒こぼれた。


「ティム……」


 アレンが肩を落とし、うつむく。女がアレンの前に立ち言う。


「次が最後よ」


「最初から渡す気なんかなかったんですね。さすが魔女、やり方が卑劣ですね」


 アレンが鋭い目つきで女を見上げて言った。


「あら、怖いわ」


「3人は答えを間違えたんじゃない。あなたが答えをすり替えたんだ。いや、そもそも答えなんてのはなかった。相手の答え次第でどうとでもなるように作られているんだ。そうでしょ?」


 女が笑みを浮かべて言う。


「ご明察。よくわかったわね。でもそんなに怒らないで。私、あなたのことは好きだからちゃんとした問題用意しているのよ?」


「どうして。ティムたちの何がいけなかったんですか⁉ 気に入らないからって、こんなの酷い!」


「そうね……。ブラッドは攻撃的。ケイは思いにふけらせてくれなかった。ティムは自分勝手で危険なことは全部誰かに押し付ける。あなただけが私や仲間のことをちゃんと考えてくれているわ」


「たった数分、数時間で全てを見たように言わないでください。ティムたちにもいいところはたくさんあるし、俺にだって悪いところはある。あなたに見えなかっただけです」


「そうね。きっとあるんでしょうね。でも好き嫌いをどこでいつ判断するかは私の自由よ」


 アレンは視線を逸らして黙り込んだ。女はアレンを見つめて言う。


「じゃあ、話はこれくらいにして最終問題にいくわね。今の現状でどちらを選ぶ? A、果実をもらう。B、3人を生き返らせる。さあ、どっち?」


 アレンは3人を見つめる。


「ゆっくり考えて。お茶を淹れて来るわ」


 女が奥の部屋へと歩き出したとき、アレンが答える。


「B」


「え? 本当にいいの? もう少し考えてもいいのよ?」


 女が振り返って言った。


「Bです」


 アレンは女を真っ直ぐに見つめて言った。


「そう。意思は固そうね」


 女はそう言って微笑んだ。


「大正解! お見事ね!」


 女はそう言って、指をパチンと鳴らした。すると、アレンを拘束していた鉄の錠が外れた。そして、もう一度鳴らすと、女の手元に金色の果実が現れた。女は驚いて呆然としているアレンに果実を手渡して言う。


「これはあなたのものよ。大切に持って帰ってね」


 女はそう言って優しく微笑んだ。


「え、あ、あの、正解って……」


「いやだわ。たった今、問題出したじゃない。もう忘れちゃったの?」


「え、だって……問題? あれは願望を聞くための二択だったんじゃ……」


「あら、ちゃんと問題って言ったわよ?」


 アレンは力が抜けたように椅子にもたれてつぶやく。


「じゃあ、3人はもう……」


「ちゃんと確認しないの?」


 女が言った。アレンは顔を上げ、急いでティムの元へと駆け寄った。ティムの胸に耳を当てたアレンから笑顔がこぼれる。


「生きてる」


 女がパチンと指を鳴らすと、ベッドが4つ現れ、もう一度鳴らすとティムたちの拘束が解かれた。そしてティムたちの身体は宙に浮かび、ベッドへと運ばれた。


「彼らは朝まで起きないからあなたもゆっくりしていくといいわ」


 女がフルーツバスケットを持って奥の部屋へと行こうとして振り返る。


「よかったら一緒にいかが?」


 アレンは女について奥の部屋へと向かった。

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