42.クイズ大会
アレンが驚いてブラッドを見る。
「どうしたのそれ!」
ブラッドが目を逸らす。
「フルーツ買ってきたあのときだろ!」
ケイが言う。ティムもブラッドを見て言う。
「騙すなんて酷い!」
その様子を見て女が言う。
「あら、みんなほんとに知らなかったみたい」
ティムが女に向かって言う。
「本当に知らなかったんです! 僕たちは危害を加える気なんてなかったんです!」
アレンも続けて言う。
「怖がらせてしまったことは謝ります。でも、ブラッドだって本気で使うつもりがあったわけではありません。身の安全のために持ってただけで、何もしてこない人に危害を加えるような人じゃないんです!」
女が二人を見つめる。ケイがブラッドに言う。
「あんたも何か言いなよ。あんたのせいでしょ!」
ブラッドは女を見上げて話し出す。
「あんたに危害を加えるつもりで用意したものじゃないのは確かだ。ここにはドラゴンがいるって街で聞いたからな。あんたと同じで自衛のために持ってただけだ」
「ドラゴンね、懐かしいわ……」
女が言った。ティムが恐る恐る尋ねる。
「今はいないんですか?」
「ええ、もう何十年も前にどこかへ行ってしまったの」
ティムはほっとした顔をして続けて尋ねた。
「どうして?」
「私との二人きりの生活に飽きちゃったのね、きっと。今も、どこかの森の奥で元気にしていることを願うわ。いつかまた会いたいわね……」
女はそう言って、窓の外を見て思いにふける。アレンたちは顔を見合わせ、無言で目配せし合う。アレンが渋々女に声をかける。
「あ、あの――」
「待って。もう少し思いにふけりたい気分なの」
女はアレンの言葉を遮って窓の外を見続けた。アレンは黙ってティムたちの顔を見る。ケイが小声でティムに言う。
「待つ必要ないってアレンに言って。変な女に付き合ってるほど私たち暇じゃないんだから。さっさと本題入れって」
ティムがアレンの方を見て小声で言う。
「待たなくていいから、本題に入れだって」
「そんなこと言われても、機嫌損ねたらどうすんの?」
アレンも小声で返す。ティムがそれをケイに伝え、伝言ゲームのように話していたら、突然、女が振り返りアレンたちの方を見た。アレンたちは驚いて、姿勢を正して口を閉じた。
「ありがとう、時間をくれて」
女はそう言って微笑み、アレンたちはひきつった笑顔を返すのだった。
「それでお願いって何なの?」
女がアレンを見て言った。
「こちらに金色の果実があると聞いて来たのですが、一つ譲っていただけませんか?」
「なぜ?」
「友人がシーダイヤという果実を口にしてしまって昏睡状態なんです。助けるには金色の果実が必要だと聞いて」
女は少し考えて、話し出す。
「わかった。譲ってあげてもいいわ。ただし今から私が出題する問いに一つでも正解することができたらね。どうする?」
4人は顔を見合わせる。女が追加で言う。
「あ、それと、回答者は私が選ぶわ」
アレンが代表で答える。
「やります」
「決まりね」
女は笑顔で楽しそうに言い、ゆっくりと歩き出してブラッドの前で立ち止まる。
「では、第一問。回答者はあなた」
ブラッドが女を見上げる。
「あなたは重要な取引をするために相棒を連れて現場へと向かうことになりました。どちらの人を連れて行く? A、戦闘力が高く、頭の回転が速い冷静な人。B、優しさと愛嬌のあるドジな人。さあ、どっち? 相談は禁止よ」
「A」
「あら、即答。もっと考えなくていいの?」
「Aだ。愛嬌なんか何の役に立つ」
「そう……。ブー! 不正解よ。正解はB。Aは威圧的だと相手を不快にさせて二人とも殺されちゃいました」
女はそう言って、どこからか吹き矢を取り出し、ブラッドに向けて吹いた。矢はブラッドの腕に刺さる。ブラッドは眉をしかめる。
「何のまね……だ……」
ブラッドがそう言って意識を失くした。ケイたちは驚いてブラッドを呼ぶが反応はない。
「あんたブラッドに何したんだよ!」
ケイがにらみつけて言った。
「答えを間違えたから罰として死んでもらったのよ」
女が笑顔で言った。
「罰⁉ そんなの聞いてない! 酷いよこんなの!」
ティムが女に向かって言った。
「ちゃんと聞かずに決めたのはあなたたちよ。何のリスクもなく簡単にもらえると思う方がおかしいんじゃないかしら」
「ブラッド……」
ケイが見つめていると、女がケイの前に立ち止まる。
「第二問――」
「待ってください!」
女が問題を出そうとしたとき、アレンが言葉を遮った。
「彼女は関係ないんです。次は俺が答えます。それでもし不正解だったら、果実は諦めるので二人を解放してください。お願いします」
アレンがそう言い、ティムとケイが驚いてアレンを見る。
「だめだよ、アレン! もう帰ろ。どんな問題がくるかもわからないのに危険だよ」
ティムが言った。
「回答者は私が決めると言ったはずよ。それにもう一つ言ってなかったけど途中棄権はできないの」
女がそう言うと、アレンとティムは肩を落とした。ケイは女をにらみつけて言う。
「私は逃げない。やってやろうじゃないの。あんたみたいな卑怯者のクソ女には負けない」
「ケイ……」
アレンが心配そうに見つめる。




