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四銃士  作者: 黄坂美々
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37.崖っぷちのバトル

 森へ入り、しばらく行くと馬車の荷台が横転して積み荷が散乱していた。その横で車体に手綱が引っかかり、馬がもがいている。ティムが急いで馬から降りて、馬車に駆け寄る。転倒している馬をなだめながら、引っかかっている手綱を外して馬を救出する。ティムが馬に声をかける。


「大丈夫? もう平気だよ」


 そう言って馬を撫でながら怪我がないか確認する。アレンと商人の男は散乱した積み荷の中からドレスを探していた。商人の男が箱を見つけて、アレンに向けて箱を掲げて言う。


「ありました! ドレスも無事です!」


「よかった」


 アレンはほっと胸を撫でおろした。そのとき、周囲の警戒をしていたクレイグが異変に気がつく。


「アレン、ティム気をつけろ。囲まれてるぞ」


 クレイグは小声で言い、そっと剣の柄を握る。商人の男はドレスの入った箱を抱きかかえるように持ち、周囲を見渡した。アレンとティムも剣を抜き、商人の男を守るように構える。その瞬間、周囲の茂みから複数の山賊が現れて、アレンたち向けて矢を放つ。それと同時に数頭の山犬も放たれて襲いかかってくる。驚いたアレンたちの馬はどこかへと逃げていった。アレンが商人の男に言う。


「逃げてください!」


 ティムは商人の馬の手綱を手渡す。


「で、でも……」


 商人の男はおろおろしながらティムの顔を見る。


「大丈夫。早く行って。娘さんにドレス届けるんでしょ!」


 ティムはそう言って、商人が馬に乗るのを手伝って馬の尻を軽く叩いた。馬は勢いよく駆け出す。


「ありがとうございました!」


 商人の男は大声で叫びながら遠ざかって行った。


「くそっ。どうすんだよ、これ。馬もどっか行っちまうし」


 クレイグは飛んでくる矢をなぎ払い、山犬を蹴り飛ばしながら言った。


「と、とにかく隙を見て逃げよう」


 アレンはそう言いながら山犬を鞘で追い払った。


「二人とも、こっち!」


 ティムが少し離れたところから手招きして呼んでいる。二人はティムの方へと駆け出し、その後を山賊と山犬が追いかける。足場の悪い山道を戦いながら逃げ続け、ついに崖に追い詰められてしまう。山賊たちがじりじりと距離を詰める。


「ど、どうしよう……」


 ティムが言う。


「こうなったら全員倒すしかねえだろ」


 クレイグが息を荒げながら言った。アレンたちは足場の悪い崖の近くで戦っていた。アレンが山賊の攻撃をかわしたとき、バランスを崩して崖から落ちそうになる。山賊はアレンに追い打ちをかけようとする。


「アレン!」


 クレイグが気づいて、山賊を斬りつけ、山賊はその場に倒れる。クレイグはふらつくアレンに駆け寄り、手をつかんで力いっぱい引き寄せる。アレンは勢いよく引き戻され、地面に両膝をついた。しかし、その代わりにクレイグが崖から落ちてしまった。


「クレイグ!」


 アレンが崖に向かって叫び、肩を落とした。そんなアレンに山賊は容赦なく襲いかかる。


「アレン危ない!」


 ティムが叫んだ。そのとき銃声が鳴り響き、アレンに襲いかかろうとしていた山賊が倒れた。ティムが銃声のした方を見ると、ブラッドが銃を構えて立っていた。その横にはケイが剣を構えている。


「ブラッド!」


 ティムが笑みを浮かべて言う。ケイは近くにいた山賊を思いきり蹴り飛ばし、殴りつけた。ブラッドもまた、山賊を容赦なく斬りつけ、次々と倒していく。そしてあっという間に全ての山賊を片付けた。ブラッドは剣を鞘に戻し、ケイはアレンの元へ駆け寄る。


「大丈夫⁉」


 ケイが声をかけると、涙を浮かべたアレンが震える手でケイの腕をつかんで言う。


「クレイグが……クレイグが……」


 ケイは戸惑いながらアレンの手を握る。ブラッドとティムもアレンの元へと近づいた。


「どうした」


 ブラッドがアレンに聞くと、ティムが小さな声で答える。


「クレイグがアレンを助けて崖から落ちた」


 ケイとブラッドは驚いて崖の下を覗く。


「ここから⁉ やばいんじゃないの?」


 ケイがブラッドを見て言う。ブラッドはしばらく黙って崖を覗いていたが、アレンを見て言う。


「立て。急いで森を出るぞ」


「嫌だ。クレイグを捜す」


 ブラッドはアレンの腕をつかんで立ち上がらせながら言う。


「だめだ。残党に見つかる前に森を出る」


 アレンは腕を振りほどいて言う。


「クレイグを見捨てるわけにはいかない!」


「目的を見失うなと何度言えばわかるんだ」


 ブラッドが言った。


「見失ってない! みんな無事に帰るんだ。捜しもせず見捨てるのなんか友達じゃない!」


 アレンは鋭い視線でブラッドを見て言い、涙を拭い歩き出す。


「待て。おまえの意見はわかった」


 ブラッドが言った。アレンは立ち止まって振り返る。静かに見守っていたティムが安堵の表情を浮かべる。ブラッドが話を続ける。


「今まで集めた素材を渡せ。残り一つは俺が探してやる」


 そう言って、ブラッドは右手を差し出した。ティムが慌てて話に割り込む。


「えっ⁉ ちょっと待ってよ。みんなで捜すんじゃないの?」


「さっきも言っただろ。残党が森をうろついてるはずだ。今回は少人数だったが、次もそうとは限らない。捜すとしても今じゃない」


 ブラッドが言った。


「でも、今捜さないと間に合わないかもしれない。崖から落ちたんだ無傷なわけないし、クレイグが残党に見つかったら? 逃げることもできない」


 アレンが言う。


「どうすればいいんだろ……」


 ティムがつぶやいた。

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