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四銃士  作者: 黄坂美々
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36.商人を救え

 アレンたちは剣を抜き、クレイグが言う。


「わかってるなティム。あいつらさっさと片付けて、馬車を森から離すんだぞ!」


「了解!」


 一人の賊がクレイグ目掛けて弓を放った。クレイグは矢をなぎ払い、賊に突っ込み斬りつける。もう一人がアレンの元に曲刀を振り回しながら近づいてくる。賊は卑しい笑みを浮かべて言う。


「俺たちにたった3人で挑んでくるとは命知らずな奴らだなあ。ケンカ売ったことをたっぷりと後悔させてやる」


 そう言った賊がアレンに斬りかかる。アレンはギリギリでかわし反撃する。しかし賊もかわす。ティムも加勢し、両サイドから攻撃を仕掛けるが賊になかなか当たらず苦戦する。その様子に気づいたクレイグが少し離れたところから銃を構える。


「悪いな」


 そう言って引き金を引いた。銃弾は賊が乗る馬に見事命中する。馬が声を上げて倒れ、投げ出された男は地面に体を強く打ちつけて倒れた。ティムは心配そうに馬を見つめ、アレンは心配そうに男を見つめた。


「急げ!」


 クレイグが叫ぶ。二人は馬を急がせ、荷馬車を追いかけた。何とか追いつき、包囲している賊を蹴散らそうと攻撃を仕掛ける。クレイグは攻撃しながら、荷馬車に乗る商人に話しかける。


「おい、あんた! こいつらは俺らが何とかするから隙を見て逃げろ! 森には入んじゃねえぞ!」


「わ、わかった! すまない」


 商人の男はそう言って、手綱をぎゅっと握った。


「そうはさせるか!」


 賊の男がそう言ってクレイグへの攻撃を強める。クレイグは上手くかわしながら賊に攻撃を仕掛け、少しずつ荷馬車から遠ざける。アレンたちも同じように賊を遠ざけた。しかし、荷馬車は一向に進路を変えようとせず、真っ直ぐに森へと向かっていく。


「くそっ、何やってんだ」


 クレイグがつぶやく。そして苦戦しながらもなんとか賊を追い払うことに成功する。しかし荷馬車は依然として森へと向かっていた。クレイグはもう一度商人に声をかける。


「おい! 何やってんだ! 森に行くなって言ってんだろ!」


 商人がおろおろとした様子で答える。


「馬がパニックを起こしたらしくて言うことを聞いてくれないんだ!」


「くそっ、マジかよ……」


 クレイグが周りを見渡し、ティムを呼ぶ。


「おい! 馬がパニくったらしい。何とかできねえか?」


 ティムが近づき、馬の様子と森との距離を見る。


「無理だよ。間に合わない!」


「くそっ!」


 おろおろする商人にアレンが声をかける。


「馬車は諦めましょう! 今からそちらにできるだけ近づくのでこっちに飛び移ってください。暴走状態で森に入るのは危険です!」


 商人はアレンの話を聞き、何度も頷く。アレンは周囲の状況を慎重に確認しながら荷馬車に近づいた。商人は震える手を最大限に伸ばしてアレンの手をしっかりとつかんだ。アレンは力いっぱい商人を引っ張り、無事に乗り移らせる。森の入口目前でアレンは方向転換をして森から離れた。すると商人がアレンの腕を引いて言う。


「お願いします。馬車を追ってください。あの荷物の中に娘のウエディングドレスがあるんです!」


 アレンが戸惑いながら森を見つめていると、クレイグが苛立ちながら商人に言う。


「諦めろ! 危ねえっつってんだろ!」


「そうだよ。ドレスより命だよ」


 ティムも言う。商人はアレンの腕をぎゅっとつかんで懇願する。


「娘に今まで何もしてやれなかったんです。あのドレスだけは……」


 アレンはティムたちの顔を見る。ティムたちは黙って首を横に振っている。商人は、アレンたちの顔を見渡して言う。


「そうですよね。あなたたちにこれ以上迷惑をかけられない。ありがとうございました」


 商人はそう言って馬から降りた。アレンは心配そうに尋ねる。


「ドレス取りに森へ向かうつもりですか?」


「ええ、どうしても諦められませんから」


 商人が答えると、クレイグが怒りをあらわにして言った。


「バカか! 娘の気持ちもちっとは考えろ! ドレスなんかより親父が生きて帰ってくる方がいいに決まってんだろ! それとも親父よりドレスの無事を喜ぶクソ女なのかよ!」


「クレイグ!」


 アレンが声を荒げる。ティムもクレイグを見て小声で言う。


「言い過ぎ」


 クレイグは不満そうに口をつぐんだ。アレンは商人に話しかける。


「一人で行くのはあまりに危険過ぎます。一緒に探しましょう」


 ティムとクレイグは驚き、商人の男は笑顔になり涙をにじませた。


「おい! おまえ正気か⁉ 森に罠があるかもって言ったのおまえだろ! 何考えてんだ!」


 クレイグが怒り、ティムも続けて言う。


「そうだよ。何があるかわかんないし、ブラッドは?」


「ブラッドも心配だけど、ブラッドにはケイがいる。でも彼は一人だ。このまま見捨てることなんかできる?」


 アレンがそう言うと、ティムたちはため息をつき、クレイグが不満そうにつぶやいた。


「これだからお人好しは……」


「仕方ないよ。見捨てるわけにはいかないってのも確かにって感じだし」


 ティムが言った。そして、3人は商人をつれて森へと入っていくのだった。

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