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四銃士  作者: 黄坂美々
35/45

35.グッバイ、シビル

 ケイは立ち上がり、仁王立ちしてブラッドに言う。


「これで文句ないだろ」


 ブラッドはため息をついて言う。


「勝手にしろ」


「ケイ。この先、馬がないと不便でしょ。私の馬を使いなさい」


 シビルが言った。


「いいの? あんたはどうすんの?」


「私はあの子たちをメグレスまで送って、そこで馬を調達したら村に帰るわ」


「そっか。一緒に行かないんだ」


「ええ。ブラッドにあまり心配をかけたくないしね。アジトに行くときも実はけっこうもめたのよ。おまえに何かあったらどうするんだって怒られたわ」


「ふーん……」


 ケイと街娘4人がブラッドの方を見る。


「何だ」


 ブラッドが言う。


「べつに」


 ケイが言う。街娘たちはひそひそと話している。シビルがブラッドを見て言う。


「否定しなくていいの? きっと勘違いしてるわよ?」


「そう思うなら紛らわしい言い方するな」


「だって面白いじゃない」


「どこがだ」


 ブラッドはそう言って立ち上がり、ケイの方を見て言う。


「そろそろ準備しろ。ついて来るつもりならな」


「了解」


 ケイは笑みを浮かべて立ち上がった。シビルもその様子を見て、街娘たちに声をかける。


「私たちも出発の準備しましょ。早く街へ戻りたいでしょ?」


 街娘たちは身支度を始める。そして別れのとき、娘たちはブラッドに礼を言っている。少し離れたところで、シビルとケイが話をしている。


「ありがとう。助けてくれたこともだけど、薬とか馬まで」


 ケイが言う。


「いいの。くれぐれも気をつけて。この先は山賊が出るって噂もあるわ」


「大丈夫。もうへまはしないよ。あんたこそ気をつけなよ。4人も街娘つれて砂漠を歩くんだから」


「そうね、ありがとう。あと、ブラッドのことだけど口悪いけど悪い子じゃないのよ? だから、もしちょっとイラっとしても殺さないであげてね」


「何それ」


 ケイが笑って言う。


「だって、あなた勇敢で正義感に溢れたタイプに見えるから。ブラッドとは気が合わないと思うの」


「だからって殺さないよ。というか、知ってるよ。あいつ、根はいい奴だって」


「あらそうなの? よかった」


「あいつが怪我したのだって仲間を思ってのことだし、まあ仲間以外に優しくないのは問題だけどね」


「そうね、しつけが必要ね」


「ほんとそれ」


 ブラッドが離れたところからケイに声をかける。


「そろそろ行くぞ!」


「はーい!」


 ケイはそう言って、ブラッドの方へと駆け寄る。ブラッドは街娘たちを追い払うような手振りをしながら言う。


「もうわかったからさっさと街に戻れ。シビルについて行けば大丈夫だ。道中あいつの言うこと聞けよ」


 街娘たちは渋々離れていく。その様子を見てケイが言う。


「相変わらず人気だね、あんた。私には何がいいのかさっぱりだけど」


「怖かったのと、俺が救ったって勘違いしてるからだろうな」


「勘違い?」


 ブラッドは去ってゆくシビルの後ろ姿を見ながら話す。


「シビルがいなかったら……いや、シビルがおまえたちを助けたんだ。俺はほとんど何もしてない。恐らくシビル一人でもおまえたちを救出できただろうな」


「何者なの?」


「さあな。謎だらけの森の住人だ」


 ブラッドはそう言って馬で駆け出し、ケイもその後を追う。



 月の花を手に入れたアレンたちもまた、野宿をして朝を迎えていた。3人は寝袋を片付けながら今後のことについて話していた。


「これからマジでメグレス戻んのか?」


 クレイグが言う。


「うん。だってブラッドが心配だし」


 アレンが答える。


「俺、思ったんだけどよ、ここから次の目的地まで森越えんだぜ⁉ 怪我人つれて行けんのか?」


 クレイグの話を聞いて、ティムが話し出す。


「そっか。足場が悪かったら馬車じゃ行けないかもしれないね」


 アレンが二人の話を聞いて悩んでいると、遠くの方で一台の荷馬車が5人の馬に乗った何者かに追われているのが目に入った。アレンが指さして言う。


「見て二人とも!」


 ティムとクレイグはアレンの指さす方を見て、クレイグが慌てて荷物をまとめながら言う。


「賊だ! 商人の積み荷を狙ってやがるんだ! 放っといたらやられちまうぞ! 急げ!」


 アレンたちも急いで荷物をまとめ、3人は馬で駆け出した。ティムがクレイグの後ろを走りながら叫ぶ。


「どうするつもり⁉ 追い払えるの⁉」


「知るか! やってみるしかねえだろ!」


 ティムは不安そうな表情を浮かべる。荷馬車は賊を振り切ろうと猛スピードで駆けている。しかし、賊たちは逃げようとする荷馬車を包囲するように追いかけまわしている。アレンは賊たちの走り方に違和感を覚える。そのとき、前方に森が見えた。アレンは前を走るクレイグに声をかける。


「クレイグ! 賊たちはきっと馬車を森へ誘い込むつもりだ! 森に罠が仕掛けられてるかも!」


「なるほどな」


 クレイグは銃を手に取り、空に向けて撃つ。その銃声で賊たちがアレンたちに気づいた。そして二人がアレンたちの方へと向かってくる。

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