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四銃士  作者: 黄坂美々
11/45

11.フェクター村

 馬車が止まり、男が馬車に近づいて4人に声をかける。


「降りろ」


 4人は周囲を見渡しながらゆっくりと馬車から降りる。フェクター村と書かれた標識があり、木造の家が立ち並んでいる。それぞれの家の窓には灯りが点いているが、外には村人の姿はない。男たちは4人を手荒く連行し、牢屋に入れる。


「おい! どういうことだよ! 説明しろよ!」


 クレイグが詰め寄るように言うが、男たちは何も答えず行ってしまう。4人は手首を縛られたまま床に座り込む。


「最悪だな」


 ブラッドがつぶやく。ティムも続けてつぶやく。


「何でこんなことになったんだろ……」


「着いたら説明すんじゃねえのかよ!」


 クレイグが不満そうに言う。


「みんな、ごめん。俺のせいかも」


 アレンがそう言ってうつむく。クレイグがアレンを軽く蹴って言う。


「はあ⁉ 何でも問題抱え込もうとすんじゃねえよ! あいつらが頭おかしいんだよ!」


「いや、原因はたぶんアレンだ」


 ブラッドが言う。ティムが不満そうにブラッドを見て言う。


「ブラッドはすぐアレンを責める! 悪いとこだよ!」


「考えてみろ。ここはどこだ?」


 ブラッドがティムに聞く。


「フェクター」


「フェクターの文化は?」


「森を大切にしてヌシである……」


 ティムは答えながらはっと何かに気づいて途中で口ごもる。


「そんなこと知るか! 殺されそうだったらやり返すのは当たり前だろ!」


 クレイグが言う。


「それが通用すればいいがな」


 ブラッドが言う。


「人間より大事な蛇なんかいるか!」


 クレイグが吐き捨てるように言う。そのとき牢屋の外で男の声がする。


「いる」


 4人は声のした方を見つめる。すると一人の男が牢屋に近づいてくる。


「あの大蛇はこの村の繁栄のためには絶対だ。殺すなんてありえない。おまえたちは罪を犯した」


 ティムが男に向かって言う。


「知らなかったんです!」


「知らなかったでは済まされない。事情を聴くつもりだったが主犯が誰なのかわかった以上、その必要もないな」


 男はアレンを見て言う。クレイグが小声でつぶやく。


「あの女、チクリやがって」


 男がアレンに向かって言う。


「出ろ」


 そう言って、男は牢屋のドアを開ける。アレンが立ち上がろうとしたとき、クレイグが足で止める。


「バカ、行くんじゃねえ。行ったらどうなるかわかんねえのか」


「でも――」


 アレンがクレイグと話そうとしたとき、男がクレイグの腹を強く蹴りつけた。クレイグはうずくまって咳き込む。それを見ていたブラッドが立ち上がろうと片膝をついた瞬間、男がブラッドの頭に銃口を突きつける。ブラッドは男をにらみつけながら静かに座る。


「クレイグ大丈夫?」


 うずくまるクレイグにティムが声をかける。


「みんな、ありがとう」


 そう言って、アレンは静かに立ち上がり男とともに牢から出ていく。クレイグは怒りをぶつけるように壁を強く蹴りつけるのだった。


 村の中心に広場があり、たくさんの村人が集まっている。広場の中心には罪人を縛り付けるための木造の柱が立ててある。その柱の前にアレンが座り、村人たちは険しい表情でアレンを見ている。アレンの正面には村長が椅子に腰かけ、その隣に鞭を持った男が立っている。鞭を持った男が村長に話しかける。


「彼が傷を負わせた男です」


 村長はアレンを険しい顔で見つめて言う。


「そうか。とんでもないことをしてくれたな。罰はしっかり受けてもらうぞ」


 アレンは小さく震える手を押さえながら、恐る恐る口を開いた。


「あ、あの、罰は受けます。でもあとの3人は何もしてないので許してあげてください……」


 村長は冷たく言う。


「考えておく」


 村長が隣の男に合図を出すと、鞭を持った男と近くにいた男が二人アレンに近づいてくる。そのとき人混みの中から声がする。


「待ちな!」


 人混みをかき分けて姿を現したのは森で会ったケイだった。ケイが村長の前まで近づくと、険しかった村長の顔がほころんだ。


「おお、ケイ。どうしたんだ?」


 アレンはケイを見上げる。ケイは村長に言う。


「そいつはもうやんないよ。放してやんな」


「そんなことなぜ言い切れる。罰を与えなければ反省しないだろ」


「言葉だけでわかる奴もいる。そうだろ?」


 ケイはそう言ってアレンを見る。アレンは慌てて答える。


「は、はい、もうしません。知らなかったとはいえ、大切なヌシを傷つけてしまって本当にすみませんでした」


 アレンは村長に頭を下げる。


「ほら、だから許してやりな」


 ケイが言う。周りの村人がソワソワしながら見守っている。村長は納得いかない様子で歯切れ悪く話し出す。


「んー……そうは言ってもな……」


「さっさと放せって言ってんだよ! 私の言うことが聞けないってのか!」


 ケイが怒鳴り、村長をにらみつける。


「わ、わ、わかった! 放してやれ」


 村長は男に慌てて指示を出し、男が慌ててアレンの縄を解く。


「牢の中の奴らも全員だよ」


 ケイが言う。男は村長の顔を見る。


「さっさとしろ!」


 ケイがまた怒鳴る。村長は急いで指示を出し、男は牢の方へ走っていく。アレンは静かに様子を伺っている。ケイは集まっている村人たちに声をかける。


「あんたらも散った散った! もう何の見世物もないよ!」


 村人たちはゾロゾロと家路へ帰っていく。

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