家族
お待たせしました。えっ?忘れてしまわれたのですか?ではこの物語を読み返してください。そして今回が最終話となります。
思っていたよりクイーンの存在って大きいんだ。始祖より上の存在。スゴイよなあ。その光景を見ていた他の始祖から冷たい視線をあびる伯父。それが余計に伯父には気に食わなかったのだろう。床にはいつくばった状態で、他の始祖逹に向かって言う。
「お前達は何とも思わないのか! 元は人間だぞ!」
親父がそれに反論する
「元人間だからどうだって? お前は目の前にいるクイーンを認めているだろう、その姿を見れば誰でもわかる。それでも何がそこまでお前をそうさせる」
項垂れる伯父は一人呟く。
「族長にすらなれなかった俺は‥‥‥ただの始祖か‥‥‥」
再び項垂れる。ユキは伯父にそっと近づくと
「始祖は眷属をまとめる大切な存在ですよ。今、主従関係なんて必要ない。同じヴァンパイアじゃないですか。確かに元私は人間です。マルクスのお父様が仰るには私の家系の何処かにヴァンパイアがいたのだろうとの事です。先祖帰りだそうです。その中にきっとクイーンの血筋を持った者がいたのでしょうね。これもきっと意味があるのだと思っていますよ」
優しく微笑むユキにタイラー伯父は涙ぐむ。‥‥‥やっぱりユキ。すごいよ。あの伯父さえ心を掴まされたんだ。これで。誰もクイーンの存在を疑う者はいないだろう。クイーンユキに対して始祖逹全員が深々と頭を下げる。
親父はまたお気に入りの眷属を連れて何処かに行ってしまった。連絡は取れないわけではないが、親父らしいと思う。
♢♢
あれから10年が経った。俺とユキの間に子供も出来た。今5人目の出産中だ。ダメだなこんな時はやっぱり緊張する。俺達はヴァンパイ不死なる者。ハンターに狙われ亡くなった同胞は思っていたより多かった。そんな中俺達に子供が出来た。4人の子供達は其々始祖逹が教育係をかって出てくれてメイドの様に尽くしてくれる。そこに聞える産声。生まれたか! よくやってくれたユキ! ドアが開き
「マルクス様。可愛い女の子ですよ」
俺はその子を抱かせてもらう。子供はやっぱり可愛いよなあ。
「マルク! 5人目ね」
と嬉しそうに微笑むユキの姿があった。
「ありがとう。ユキ」
俺は子供を抱きそのままそっとユキにキスをする。ユキは嬉しそうに
「始祖の中で私達の子供の教育係は次どうするかって会議があったんですって。知ってた? 本当に嬉しいわ。皆に祝福して貰えて」
「そうだな。上の4人も立派になってきているし、俺達ヴァンパイアの未来も明るいな!」
そこに上の子供達が部屋に飛び込んで来る。
「わあ! 女の子って聞いたけど! 可愛いなあ!」
上4人は全員男の子なのだ。やんちゃもするが、元気に育ってくれている。小さな5人目の妹に嬉しそうだ。
「名前はどうするの?」
と子供達が聞いてくる。俺は決めていた。
「マリーヌだ。マリーと呼んでやってくれ! 頼むぞ。お兄ちゃん達!」
「勿論だよ! なあ皆!」
他の3人も
「任せてよ。マリーは僕達が絶対守るから!」
頼もしくなったな。これでまた賑やかで穏やかな日々が続くのだろう。兄達からも祝福のメッセージが届く。幸せだ。‥‥‥
本当に‥‥‥。見守って行こう。この世に住む者達を手助けが必要なら手を貸そう。それが俺達不死であるヴァンパイアの務めだ。
マリーヌは和也の腕の中にいた。和也は始祖ではない。しかし優秀な眷属なのは皆が知っている。そこで。俺の推薦もあって和也が担当する事となった。
「マリー様。この和也が貴方を立派なクイーンにさせて見せますよ」
和也の腕の中で静かに眠る。マリーヌ。優しく見つめる和也は満足そうだ。きっといい指導者となってくれるだろう。
end
今まで感想励ましなど、本当にありがとうございました。やっと連載が終わりました。ハッピーエンドになりました。貴方の近くにもヴァンパイアはいるかも知れませんよ。そっと人間の中に。ほら!




