クイーンのお披露目
部屋に帰り和也は
「ユキ様はもう命の危険は無いでしょう。クイーンに逆らうなんてあり得ないですから」
「そう思うが、誰がどう出てくるか。解らんぞ」
ユキが何かを考えている。
「明日私は何か発言した方がいいのかしら?」
「君の言葉は重要だ。明日はお披露目なので言葉は必要ないだろう。だが、その中でユキ。君が伝えたい事があれば話しても構わないよ」
「君がクイーンでも俺にとって大切な存在なのは同じだ。これからもね」
そう見つめ合う。和也は
「私は始祖ではありません。皆さんと同じ場には居ませんが、ユキ様の声は私に届きますから、気になったらいつでも小声で言って下さい。お力になれると思います」
「そうね! 和也くんも守ってくれているのだから安心だわ」
うん? ユキ‥‥‥やけに嬉しそうじゃないか‥‥‥ちょっと嫉妬する‥‥‥。
「マルクス様。顔に出てますよ」
和也はにっこりと笑う。うっバレてる‥‥‥。まったくこいつは‥‥‥。と思っているとドアがノックされる。ドアを開けるとユキがライザにまたも連れて行かれた‥‥‥。
布をユキに当てて首を捻る。
「‥‥‥そうね。やっぱりこれがいいわ!」
ユキは連れて行かれた。その様子に和也も
「ライザ様らしいです。決して妥協はしない!」
とライザに引っ張られるように連行されて行くユキ。
♢♢
そして翌日。親父の屋敷でのクイーンのお披露目だ。皆の視線が熱い!
「本当なのか? 何故今なんだ?」
と会場が騒がしくなる。
会場のドアが開く。視線は一気に集まる。そこに不思議なオーラを纏ったユキが登場だ。また一段とオーラが濃くなっている。
真紅のドレスにレースの飾りがひらひらと揺れる。ゆっくり歩くユキに始祖逹がひれ伏す。
「‥‥‥クイーンだ!」
一斉に静まりかえる。親父が言う
「ここにクイーンが蘇った! これは、ヴァンパイアに課せられた何かがあると俺は思っている!」
「族長は息子のマルクスに譲った。その傍でクイーンが再び目覚めた! さあ! ここで異論がある者はいるか?」
始祖逹が深々と頭を下げる。スゴイ光景だ。眷属を従える始祖が皆ユキに見惚れる‥‥‥おい。おい。そんなに見るなよ‥‥‥と内心思う。流石だよライザ。ユキに真紅のドレスが良く似合っている。




