ヴァンパイア
俺達は再びフランスへと向かう。機内では和也がアニメの新作を放送前の物を見せてくれた。ユキと俺は興奮しながら画面に食いつく。そして少し休む。ユキは満足して眠っている。
「和也。お前も話合いの場にいてくれ、ユキの事が心配なんだ」
「承知」
と会釈する。和也は
「フランスまで、まだ時間は有ります。マルクス様もお休み下さい。お仕事されてそのままここに来られているのですから」
「分かった。そうさせて貰うよ」
とユキの隣で寝た。
朝。フランスに着いた。ユキはまだ眠そうにしていた。これから自分に対してどの様な事が起こるのかきっと不安だろう。空港には兄達の眷属が迎えに来ていた。
「こちらへどうぞ」
これはまた‥‥‥でかいリムジンだなあ。親父の趣味だな。派手な事が好きだし。服装も派手だ。そういえば、服はライザの服しか着なかったっけ。親父が好きそうな服を送っていたな。
ユキが緊張しているのが分かる。そうだよな。自分の知らない自分を知る事になるのだからな。俺も覚悟しないといけないらしいが‥‥‥
車は親父のいる屋敷に着いた。誰かの眷属が俺達を迎えに来ていた。
「ようこそ! お待ちしていましたよ! 皆さん」
誰の眷属だ? 多分親父の眷属だろうが‥‥‥
そこに他の兄弟達も到着した。
「これで揃ったか」
親父は俺達を見る。そしてユキに
「ユキ。こっちへおいで」
俺の顔をちらっと見てユキは親父の所に行く。親父の隣でユキは手を胸に当て礼をする。
「ライザ。お前もこっちにおいで」
ライザは嬉しそうに親父の所に行く
「ユキ。ライザを吸血しろ」
親父‥‥‥。何を‥‥‥。ユキはライザが出した腕から吸血する。
「! 何! この感じ!」
ライザが叫ぶ。そしてうっとりとする。ユキはそんなライザを不思議そうに見る。
「‥‥‥うーん。そうか‥‥‥それではマイキーお前もユキに吸血されてみろ」
親父に言われてユキはマイキーを吸血する。
「ああ! 何だこれは!」
マイキーも叫ぶ。その表情はライザと同じだ。何が起こっている!
「‥‥‥やっぱりそうか。マルク。ユキが吸血した者は中毒にはなっていないだろう?」
「‥‥‥そうなんだ。親父。理由が分かるのか?」
「俺も色々調べたが良く分からん。だが、我々ヴァンパイアがどうやってこの世に存在したのか、他の種族も同じだが‥‥‥始めはヴァンパイアも人間も同じ時代を生きた。そして、交わってきた。ヴァンパイアと人間のハーフなど聞いた事はないし、俺は会ってもいないだが‥‥‥」
親父は膝の上に肘をついて顔を乗せて言う。
「だが、もしもハーフが存在して隠すように育てられていたとしたら‥‥‥どうだろうか‥‥‥」




