使い魔ふくろう
申し訳なさそうに下を向くユキ。
「気にする事はない。親父も何となくユキに対して感じた事があったのだろう。だから、使い魔を寄越したんだ」
俺は使い魔のフクロウに手紙を渡し飛ばす。
「和也。今日は助かった。また、頼むよ」
「承知」
と会釈をして部屋を出て行く。俺は
「ユキ‥‥‥我慢しなくていい。俺の血を飲めよ。場所は何処がいい?」
「‥‥‥腕を」
そういうユキの後ろに回って抱きしめる。その腕からユキは吸血する。始祖だって吸血はされる。眷属からや同じ始祖からも、当然吸血される快楽は同じだ。だが、ユキの場合不思議な気分になるんだ。これはどういう事なのか、親父は知っているのか? まあ返事を待とう。
多分ユキはヴァンパイアの中でも≪特別な存在≫なんだろう。‥‥‥そんな気がする。ユキは満足して俺の腕を外す。
「ごめんなさい‥‥‥マルク。いつもこんなんじゃダメね!」
「そんな事はないよ。ユキになら喜んで俺の血を渡そう。俺は輸血パックの血液でも充分なんだ。でもユキの血の方が旨いのは本当だ」
嬉しそうに振り返って俺を見る。
「そのうち親父から返事が来るから待っていよう」
ユキを抱きしめたまま言う。
「そんなに早く返事って来るもの?」
ユキは驚いて言う。
「使い魔は早く送ってくれるんだ。返事も早いぞ。ほら、帰って来た」
窓に使い魔のフクロウが停まっている。
「本当ね。ビックリだわ」
そこでフクロウが話始める
「‥‥‥マルク話はわかった。これは重要な話だ。皆にも集まって話さねばならんだろう。お前も覚悟しておくようにな。それではここで待っているぞ」
そう言ってフクロウは消える。
「‥‥‥マルク‥‥‥」
ユキは不安そうに俺を見る。
「親父は何かを知ったのか‥‥‥それとも知っていたのか、どっちにしてもまたフランスか。和也に連絡しないとなあ」
そこでインターフォンが鳴る‥‥‥まさか‥‥‥とカメラを見ると‥‥‥和也だ。
ドアを開ける。
「お前どこから知っている?」
「お忘れですか? ユキ様には色々と付けさせて頂いていますよ。大丈夫ですよ。プライベートは覗いていませんから。始祖であるマルクス様がいらっしゃるのですから心配はしていませんので」
とにっこりと笑う。‥‥‥もう何も言えない。夜のあれやこれやなんか聞かれていたら‥‥‥。まあプライベートは覗いていないらしいし‥‥‥。
「フランス行きの空のルートを確認します。しばらくお待ちを」
そう言って和也は何処かに電話をする。
「マルクス様。明日出発出来ます。職場に連絡された方が良いと思うのですが」
そうだな。丁度向こうで学会もあって講演も頼まれている。休みを延ばしてもらうか。
明日も日曜日です。投稿時間は7:00にします。ゆっくり読んで下さい




