ユキというヴァンパイア
ユキが楽しそうに話をしている。その様子を見て和也も安堵する。女性はユキに
「‥‥‥ねえ‥‥‥私を噛んで。貴方がいいの」
そう言って首筋を見せる。ユキは女性の首に牙を立て吸血する。甘い声が漏れる。和也によって来る女性は和也に吸血されていた。
そうしてヴァンパイアの食事タイムは終わり女性達は恍惚とした表情の中其々床やベッドで倒れるように眠っている。
「ユキ様。この光景は嫌いなのですよね。でも彼女達はそれを望んでいるのです。ここはまだ新しい餌場なので女性は中毒症状にはなっていませんが‥‥‥」
ユキはマルクの言葉を想い出す。『吸血される快楽は麻薬のように危険なものなんだ』
「和也くん彼女達はこれからどうなるの?」
「‥‥‥中毒症状が酷くなれば理性を失って徘徊します。覚えてしまった快楽は忘れる事は出来ないのですよ。あのマルクス様が記憶を消した。でも、彼女は覚えていた。どうしてなのか分かりません。ユキ様にとって辛いかも知れませんが、私達ヴァンパイアにとっても血液は必要なのですよ」
ユキは悲しい目をする。和也は難しい顔をして言う
「‥‥‥ユキ様。ユキ様の吸血した彼女はこの後何も無かったように普通の生活をするのですよ」
「そういえば、ホステスしているって言っていたわね」
「‥‥‥それが‥‥‥あり得ないのですよ。快楽を知った人間はヴァンパイアから離れないように側にいたり、この場所のような所でヴァンパイアが来るのを待つんです‥‥‥」
和也はユキを見つめる。
「‥‥‥ユキ様。貴方は‥‥‥これ以上は止めておきましょう。マスターに叱られてしまう。そんな顔を貴方にさせてしまったのですから。さあ。帰りましょう。マルクス様が心配されていますよ」
「‥‥‥そうね。帰りましょう」
二人はマンションを後にする。
家のインターフォンが鳴る。二人が帰って来たか‥‥‥ユキの事が心配ではある。和也がいるから危険な事はないだろうが‥‥‥。ドアを開けて
「お帰り。ユキ」
そう言って迎える。ユキの表情は暗い。やっぱりか‥‥‥。
「和也も上がってくれ、聞きたい事もあるからな」
リビングに座る二人。
「和也。気になった事を教えてくれないか」
「はい! ユキ様が吸血された相手は普通の日常生活を送るのですよ。きっと中毒にはならないと思われます」
「‥‥‥そうか。分かったよ、和也。親父に聞いてみるよ。俺もユキのようなヴァンパイアのケースは初めてだからな」
「ユキ様はあまりあの場所はお好きではないようですが。我々ヴァンパイアには必要ですので」
「輸血パックがダメならそこへ行かないとだからな。ユキは分かっていると思うが?」
ユキは頷く。




