和也
和也‥‥‥。お前は俺を慕っていると言ってくれていたが‥‥‥お前はマリーの眷属なんだな。俺は知っている。ネックレスにしているブルーダイアモンドの指輪を小指にはめて、時折触っている。俺の前では勿論しないが、レオナルドから聞いているよ。あのカラオケ以来、仲が良くなったとレオナルドから聞いている。ハンターも日本に来た者はウルフマンと協力して排除できたようだ。流石は狼男だ。匂いで探し当てて追い出したようだ。そのハンターも薬もない‥‥‥どう出る。伯父さんよ。
和也を吸血し終えた。和也は俺に顔を隠す。火照った顔に泣き顔‥‥‥。
ユキは嬉しそうに見ている。おいおい‥‥‥これでは‥‥‥。ユキ‥‥‥まったくそんなに嬉しそうに見るなよ‥‥‥。お前の持っている本とは違うんだぞ。俺は知っている。ユキが持っているあの薄い本の事を‥‥‥。珍しくもない話だ。信長にも相手はいたぞ。戦場に女は連れて行けないからな。それにあの時代は神聖なものとして扱われていたが‥‥‥。今は娯楽となっているのだな‥‥‥。それにジェンダーなんてライザで見慣れているから偏見はない。それにしても困ったな。ユキをあの場所に連れて行くのか‥‥‥気は進まないが‥‥‥
「和也くん連れて行って」
「では、参りましょう」
俺は‥‥‥。
「俺はちょっと仕事の事でやらなければ行けない事もあるから今回は遠慮しとくよ。ユキ。和也が居るなら安心だよな」
「‥‥‥そうね。ちょっと寂しいけど、和也くんと行ってるわね」
そう言って二人で出掛ける。ユキは帰ってきたらきっと俺の血を求めて来るだろう。何故、ユキだけ‥‥‥。
♢♢
ここはクルーズ船の中、有紀の両親がベッドで目を覚ます。
「あなた‥‥‥私、とても幸せな夢を見たの」
「お前もか、きっと同じ夢を見たのだろう。きっと神が哀れに思って見せてくれたのかも知れん」
「そうね。でもあの子は本当にきっと幸せなんだと思うわ」
クルーズ船の窓の外には青い海と水平線が空の色と混じって太陽に反射して美しい。有紀の両親は肩を並べていつまでも眺めていた。
♢♢
和也の餌場のマンションでは
「やっと来てくれたのね。待っていたわ」
と女性がユキにすり寄る。そのすり寄って来た女性にユキは聞く。
「ねえ。聞いてもいいかしら?」
「何? 何でも聞いて私は構わないわよ」
「‥‥‥お仕事って何をしているの?」
「あら、そんな事? 私は高級クラブのホステスよ。会員制の特別なね」
「‥‥‥そうなんですね。コミュニケーション能力や豊富な知識が必要な大変はお仕事ですよね」
「まあ。分ってくれるなんて嬉しいわ。和也の仕事も知っているのよね? 和也は私のお客様だったのよ」
「和也っていくつもお仕事持っていそうだもの弁護士っていっても他にも何かやっていそうよね」
「そうなのよ! 不思議な人でしょう? だからつい‥‥‥お持ち帰りされてしまったら、ヴァンパイアだって言うじゃない。ほんとびっくりよね」
ユキは彼女と楽しく話していた。




