フランスへ
和也の車に乗り空港へと向かう。
「和也。何処に行くんだ? ライザは今何処に居るんだ? 何故ユキが呼ばれたんだ?」
矢継ぎ早に質問責めにする。
「ライザ様は今、フランスのパリにいますよ。もうすぐショーが始まります。その準備で忙しくしておいでです」
ユキが不思議そうに首を傾げる。
「‥‥‥あのー和也くん。ライザさんって‥‥‥もしかして‥‥‥」
「そうですよ。あのライザブランドのデザイナーですよ。絶対顔出ししない謎のデザイナー。複数人いるとさえ言われています。もう何十年と第一線で活躍されていますからね。従業員もほぼ眷属ですから」
そういえばライザは服飾関係の仕事をしているって聞いたが、デザイナーかよ‥‥‥。俺はそんなブランド志向じゃないから興味は無いので知らないが、そんなに有名なのか。
「そんなライザ様もモデルは人間を起用しているのですよ。勿論ご自身でオーディションで選んだ者達です。だって購入者は人間ですからね。その人間の評価が気になるらしいですよ」
笑顔の和也。ユキも何故か嬉しそうだ‥‥‥。
「さあ。空港に着きましたよ。私のプライベートジェットにお乗り下さい。半日程で到着します。どうぞ機内で映画でもご覧になりますか? ユキ様もマルクス様と同じ趣味をお持ちとか‥‥‥では、最新のアニメ映画でもどうですか? 未公開のものですよ」
大きなスクリーンにタイトルが出る。おおおおーー! これは! あの伝説の! 「太陽に変わってお仕置きよ!」とポージングする!
「きゃー! 私大好きなの! 沢山のグッズ持ってるわー!」
ユキが興奮する。俺も好きなんだよー。和也ーお前えー‥‥‥よくやった! 流石だよ! そうやって映画を見て感想を話している間に空港に着いた。
機内から降りると沢山の眷属だろう者が全員俺達に向かって手を胸に当て頭を下げる。その中の一人が
「お待ちしておりました。マルクス様そちらはユキ様ですね。ライザ様よりお連れするように言われております。こちらへどうぞ」
と今度は違う車に乗せられた。車の窓ガラスにはスモークが貼られていて外からは見えない。きっとこの車も防弾仕様なんだろうな。
久しぶりのフランスだ。変わっていない。何故だかほっとする。目的地に着いたようで車が止まる。車のドアが開き外へ出る。そこへライザが俺に飛びつく。
「キャー! 久しぶりマルク! ユキ! そして、和也。いつもありがとう。弟達の面倒を見てくれて」
そう言われて照れている和也。へえ~和也もこんな表情するんだな。ちょっと違った一面を見た発見をしたような気持ちになった。
明日は日曜日です。投稿は朝7時にします。これまでの話の復習も兼ねて楽しんでもらえたらと思います。




