ヴァンパイア ユキ
「ユキ。どうだった? 直接の吸血って意外と興奮するもんだが?」
「‥‥‥ビックリしたわ。私、ヴァンパイアなんだって実感したわ‥‥‥」
「今更かよ」
俺はユキに笑って見せた。部屋に帰って来て風呂に入ってリビングでゆったり過ごす。隣には愛するユキがいる。ああ。幸せだ。そこで、帰ってきてからずっと何か考えていたユキが話す。
「‥‥‥マルク‥‥‥血を頂戴」
「なんだ、満足してなかったのか」
「‥‥‥だって。何か違うのだもの。マルクの血が特別なのはわかったけど‥‥‥私にはやっぱり貴方の血が必要なんだって思うのよ。だって今も乾きが‥‥‥」
俺はそっとユキを抱きしめ
「わかったよ。何処がいい?」
ユキは甘えた声で
「‥‥‥首。頸動脈から」
俺はユキを抱きかかえてベッドへ行く。
ベッドへ寝かせて聞く
「ユキ。君の血も俺にくれ」
「マルク。自分で確認したい事があるの、先に私が貰ってもいい?」
「珍しいな、いいぞ。横に寝た状態の方がいいか? 座った方がいいか? シーツの汚れは気にしなくていいよ」
「じゃあ。そのまま寝てて」
ふーん。ユキの顔が俺を見下ろす、これもなかなかそそる。ユキは俺に抱き着きながら首に顔を埋める。牙が沈む感覚がする。こういうのも悪くない。ユキが俺の血を飲む音が聞える。‥‥‥ユキが離れる。
「やっぱり‥‥‥」
「?」
「私貴方の血じゃないと渇きが治まらないわ」
見下ろされそう言われる。
「そうか。なら、これからは俺の血を飲めばいい」
ユキがすまなそうに言う
「私、眷属失格かしら」
俺は今度はユキを下に見下ろし
「ユキは俺にとって大事な存在だ。眷属以上のな。だからユキはユキでいい。俺の傍にいてくれ。それだけでいい」
そう言って自分の牙をユキの首に沈める。ユキから甘い声が漏れ俺達は今夜も愛し合う。
♢♢
朝、電話で目が覚める
「マルク! おはよう! 隣にユキもいるでしょう?」
「ライザか‥‥‥どうした、こんな朝早くから」
「うふ! あのね。完成したわ! だからユキに着て欲しいの!」
なんの事だ? 良く分からないが‥‥‥。
「だから迎えにいくわね! あの和也? だっけ? 彼には伝えてあるからそのうち来るわよ。支度しててね!」
と、一方的に電話を切られた。
「ライザさんからなの?」
ユキも聞いていたようだ。
「なんでもユキに着せたい物があるらしいぞ。そのうち和也が迎えに来るだろうから準備しておくかな」
そう言った後インターフォンが鳴る。
「もう来たか。早いなあ」
ドアを開けると和也が居た。
「ライザ様より言い付かっております。さあ。一緒に参りましょう」




