父親登場
「本当に言うようになったじゃないか。お前達の事は好きだったよ。これは本当だ。私はロメオが憎いだけだ」
教会の中、倒れている俺達の前に感じた事のあるオーラが現れた。これは‥‥‥
「今回も派手にやられているじゃないか、息子達よ。情けないなあ」
そこにはここずっと逢って居なかった親父がいた。
「そんなに族長というものが欲しければくれてやる。肩書なんてものはあとからついてくるものだろう。俺はマリーを愛したそれの何処がいけない! あんな良い女はいないぞ! それはお前が一番分かっているはずだが? ふっ! 悔しいだろう。マリーから告白を受けた時は舞い上がるようだったぞ」
親父の顔は晴れやかだ。
「俺は族長なんて柄じゃないから丁度いい譲るよ。しかし、タイラーお前にではない。お前は他の種族も危うくさせようとしていた。そんな奴に長は渡せない。俺達は表に出ていいものではない。人間との共存。マリーが常に言っていた事だ。この地球に住み生活する全てに不幸を起こさせない。タイラーお前はやり過ぎたんだ」
「何もして来なかったお前がよく言うよ!」
タイラーは声を荒げる。
「何もしていなかった訳ではない。お前が追いやった種族に逢ってきたよ。詫びを言ってきた。さっきも言ったがお前はやり過ぎたんだ。俺達ヴァンパイアが悪者になってしまったのはお前のせいだぞ! 分っているのか!」
親父は声を荒げる事なく語るように話す。
「他の種族など滅んでしまえばいい! 俺がこの世界の王となるのだ‼」
そう話す伯父の顔は彫刻の悪魔のようだ。
「欲しければ奪えばいい。だが、族長になったとしてもお前についていく者はいないだろう。俺だって自分が族長の器だなんて思っていない。マリーの信者は多かったからな。指名された時、マリーが愛した相手である俺に対して異論を唱える者は居なかったよ。喜んで迎え入れてくてた。何故かお前には分かるまい」
伯父は何を言っている? という顔をする。
「お前の思想だよ。お前は自分の事しか考えていない。この世界には沢山の生き物が暮らしている。だがお前は、相手の事は考えていない‥‥‥マリーはその事にいつも心を痛めていたよ」
「‥‥‥うるさい、うるさい、うるさい!」
大きな声で叫ぶ伯父。
「‥‥‥マリー‥‥‥マリー‥‥‥皆がマリーを讃える。その事が気に入らなかった。それだけじゃない。マリーは俺の大切な妹だ。そんなお前を大切なマリーは愛したと‥‥‥そう言った‥‥‥この血が煮えかえるような思いだった! お前にマリーは似合わない!」
伯父の顔は親父を顔をに睨みつける。
「まったく、このシスコンやろうが!」
二人は睨み合う。
そうだったのか。伯父さんはシスコンだったのか‥‥‥。親父に取られて悔しかったんだろう。‥‥‥他人に渡す位なら‥‥‥ってやつか? その思いが歪んでしまったのか? それでも理解は出来ない。何故愛する者の幸せを願わないんだ‥‥‥。




