ホテルで
「マルク。お前の気持ちはよく分かる。俺達も同じだ。このまま奴の思い通りにはさせない」
そこには、頼もしい兄達の笑顔があった。
「明日。教会へ行く。薬が渡される前にだ!」
皆頷く。マイキーが言う。
「それまでホテルでゆっくりしろ。ここは大丈夫だ」
ライザが言う。
「そうしましょう! ここのエステとてもいいのよ。ユキ。一緒に行かない?」
「でも‥‥‥いいんですか?」
ちらっと俺を見る。
「行って来いよ。ここのスパやエステ本当に最高だぞ」
「それじゃあ! 行ってくるわ! お願いします」
ライザに挨拶したユキ逹はそのまま向かう。
「‥‥‥マルク。そこにいる眷属は元はマリーの眷属だと言ったな。今回どうする? アイツはお前にとっても、主でもある相手だぞ」
和也を見てマイキーは言う。
「私にとっての主は、お慕いしているマルクス様です。もちろんここにおいでになっているマリー様のご子息様である、ご兄弟もですよ」
「そうか。もう決めているんだな」
「あの方はマリー様を見殺しにした‥‥‥私は許せません」
和也の顔は怒りの表情で歪む。
「‥‥‥見殺しにした。というよりそうさせた。きっとそっちが正しいだろうな」
マイキーは静かにそう言う。俺はその言葉に
「だが、何故? そうする理由があるのか理解出来ない!」
立ち上がって言う俺に
「明日。アイツに直接聞いてみるしかないだろう」
俺は俯く。
「‥‥‥俺達はあの人に決して嫌われていないと思っていたが、逆に可愛がってくれていた‥‥‥なのに‥‥‥何故こうなった」
「明日。その答えが分かるだろう。だから、お前もゆっくりしろ。ユキとか言ったっけ、あの眷属といちゃついてろ」
マイキーとキャメルがニヤニヤする。そういう二人にもお気に入りの眷属は居て‥‥‥俺は顔を赤くする。
「どうした坊や。まだ慣れないのか? 可愛いなあ」
「子供扱いするなよ!」
和也は横を向いている。その肩は揺れている‥‥‥こいつ‥‥‥笑ってるだろ! 仕方ないだろう!
‥‥‥ユキは俺の愛する大切な相手だ。
「マルクス様。お部屋をご案内しますよ。そこでユキ様をお待ちになっていて下さい。ライザ様が一緒なのですから、きっと見違えるように磨かれてくるでしょう」
「そうだな。ライザはそういうのが好きで女性を変身させていたっけ。さて、どう変わってくるかな?」
ちょっとワクワクする自分がいる。トントンとドアがノックされる。鍵を開けドアを開ける。
「あの‥‥‥ライザさんがこのドレスを私に着ろっていうから‥‥‥着てみたけど‥‥‥背中空き過ぎよね。ちょっと恥ずかしいわ」
ライザのニヤけた顔が悔しいが‥‥‥ユキ。綺麗だ。




