イタリアへ
「ねえ。マルク。これからイタリアに行くって言っていたけど、本当の敵はそこに居るって事よね」
「そうだ。本当は会いたくないよ。俺が思っている人物で合って欲しくないと思っている」
マイキーの待つ空港に着いた。ここからはプライベートジェット機でイタリアに向かう。
俺達が着いて直ぐマイキー兄がユキの匂いを嗅いでにっと笑う。
「ほう‥‥‥お前さん眷属になったのか。あんたからマルクの匂いがする」
「はい! これからも宜しくお願いします」
胸に手を当て軽く会釈をする。眷属として始祖への挨拶だ。和也から教えてもらったんだな。
「ああ! これから宜しくな!」
兄達が笑顔で言う。キャメル、ライザも笑顔だ。さあ! これからイタリアだ! 教会の本部がある。そこへ行く。きっとアイツ等焦っているだろう。まさか、乗り込んでくるなんて思っていないはずだ。ハンターは俺達を狙っている。今も。
♢♢
「なに! アイツ等がこっちに向かっているだと!」
その連絡を聞いたその人物は、明らかに動揺している。
「まったく! 役に立たないハンターだな。道具は用意してやったというのに‥‥‥」
そう言って机を指でトントンと叩きイラついている。相手は始祖だ、それも兄弟そろって来るなど、こっちに勝目はない。さてどうする? あの方に相談した方が良さそうだな。何せあの方も始祖だからな。と、何処かに電話をかける。
「〇〇様。あの者達がこちらにやって来ます。どうされますか? 思った以上にハンターが役立たずで‥‥‥申し訳ないです」
「‥‥‥そうか。こっちに来るか。まあいい。アイツ等に逢うのも久しぶりだからな。楽しみにしておこうか」
電話の向こうで男だろう人物の笑い声が聞こえる。
「さて私の顔を見た時のあの兄弟達が、どんな表情をするか楽しみになって来たよ!」
「〇〇様。ではこのままで宜しいのですか?」
電話をかけている人物は冷や汗をかいている。
「‥‥‥何を怯える。私がいるではないか。愚かな人間達には戦争でその命を散らしてもらおう。その後は我等の世界を造るのだ!」
「〇〇様‥‥‥私は大丈夫なのですよね?」
「勿論だ。人間はしぶといからなあ。お前にはその残った人間達を任せよう、好きに使えばいい!」
電話を持つ人物はほっと胸を撫でおろす。
『あの方の機嫌は損ねてはならない‥‥‥』
電話を置きそう呟く。




