不発弾
俺はキャメルの眷属に送ってもらう。
「キャメルの相手も疲れるだろう?」
と眷属に聞いてみた。
「いいえ。そんな事は有りませんよ。一緒に居てあの明るさにどれだけ癒されているか。それに、あの方はとても可愛らしいのですよ。勿論あの美貌は文句のつけようはありません!」
きっぱりと言う。始祖あるあるだ。聞いた俺がバカだった。
「‥‥‥そっか。存分に可愛がってもらえよ」
俺は医療班のテントの前で降ろされる。
「マルクーー!」
有紀が笑顔で飛んで来る。
「和也くんから帰ってくるって聞いて! 嬉しくて! 良かった!」
そう言って抱き着く。
「心配かけたな。でも、もう少ししたらまた、出る事になる」
「この国を出るって事?」
「そうだ。今度はイタリアに行ってくる」
「‥‥‥私も一緒に連れて行ってくれるんでしょう?」
有紀‥‥‥。
「私は貴方の傍にいるから、離れないから!」
そう言って目に涙を溜める。その横を楽しそうに子供達が走り回る。その様子を見た和也が叫ぶ。
何かを見つけて子供達に伝えようと
「不発弾だ! そこから離れて!」
その声に驚き逃げる子供達。ほっとしたその後、違う小さな子供がその爆弾に近づく。和也、俺はその子供の所へ走る。有紀も走ってくる! 何故?
「有紀! 戻れ!」
俺の声は爆風にかき消される。
子供を庇い和也は酷い怪我を負った。俺は有紀を庇ったが爆風に人間の身体は弱い。
「有紀!」
そこには爆風で焼けただれた有紀の姿が目に映る。
「‥‥‥ゆき‥‥‥」
和也の傷は回復していく、俺も同じだ。
「何故、どうして有紀がこんな目に遭うんだ!」
「‥‥‥マルク‥‥‥子供は?」
「大丈夫だ。和也が庇った。有紀、俺はお前を庇いきれなかった‥‥‥こんなに酷いケガをさせてしまった‥‥‥」
「マルク‥‥‥」
そう言って意識を失った。
「マルクス様申し訳ありません。私の不注意です」
和也が俺に土下座するように言う。
「こんな市街地に不発弾があるなんて思わないからな‥‥‥不発弾‥‥‥何故ここにある。ここは戦闘区外だ‥‥‥」
俺の頭の中にあの男の顔が浮かぶ。『化け物を倒すために‥‥‥』この医療班の中にハンターはいた。まさか、わざとここに置いた?
和也が言う。
「これは推測ですが、この不発弾は故意に置かれたものではないかと」
そんな事より有紀だ! 俺は有紀を抱えて医療班と建物の中に入り治療をする‥‥‥
‥‥‥「ドクターマルクス‥‥‥これ以上はこの施設での治療は‥‥‥」
他のドクターが俺にそう声をかける。
「ドクターヘリを呼びますか?」
「‥‥‥それでは‥‥‥間に合わないだろう」
有紀がそっと目を開ける。
「‥‥‥マルク。お願い‥‥‥」
俺は有紀に顔を近づける。




