マルクスの一族
「それで、今はどういった状況なんだ? マイキー兄とキャメル兄、ライザ兄もいるんだ。新しい情報位あるんだろう?」
キャメル兄の後ろに隠れる様にいたライザ兄が言う。
「もう! ライザ兄じゃないでしょう? ライザ姉と呼んでよね! 心は乙女なんだから!」
そう言って膨れている。確かに見た目は女性のように身体の線も細いし髪も長く顔も女性だと言っても通じるだろう。眷属もほぼ男性だ。
「はいはい。ライザでいいよな、兄は外してやるよ。俺と年もそんなに離れていないしな」
「まあ、いいわ。それで」
と、何故か嬉しそうだ。そこで和也が満面の笑みで言う。
「ライザ様は美しいですよ。何処かマリー様の面影がございます」
「そうでしょう! 私が一番母親似なんだもの!」
俺達はそんなに変わらんと思うがなあ。和也め。ちゃっかりライザに上手く取り入りやがって。
「だから今、どういった状況になっているんだ? この後俺は行きたい場所があるから、早く教えてくれ」
そこで皆がニヤける。
「そう言えば彼女が出来たそうじゃないか。その彼女に逢いに行くんだろう? 俺達にも紹介してくれるんだろう? なんなら今から一緒に行くか?」
「それはいいが‥‥‥キャメル兄、休戦しているんだよな? 銃弾が飛んでいる場所に俺は行かないし彼女をそんな危ない場所に連れては行かないぞ」
「ちゃんと休戦しているよ。相手も今、休んでいるはずだ」
「分かった。人数は多いがいいだろう。その方が安全かもだしな。彼女は俺が居た医療班にいる。そこに行く」
其々自分の車に乗り向かう。車の中でキャメル兄が俺に言う。
「教会に雇われているハンターの人数は把握出来ていない。俺達が闘っている相手も教会がらみの相手だ。あちこちでテロを起こしている。今は俺達の相手で忙しいようで、テロの計画は進んでいないようだ。まあ。今回、国連からの援軍も来たからな、相手も疲弊しているからこの状況にどう出てくるか見ものだ」
そう言って笑う兄は嬉しそうだ。退屈な日々を嫌うキャメル兄は刺激を求めて戦場へ行く。いつの時代も戦争は何処かで起こっている。
俺はその戦争の被害者達の所で医療に従事する。決まって弱い立場の民間人が被害を受けているんだ。その事でよく喧嘩もしたが、これは国同士の問題だ。俺達は国政に関与はしない、だが重要なポストにいる者に眷属は多くいる。矛盾があるのは理解している。世界情勢は俺達次第で大きく動く。そこも理解している。長く生きる俺達に時間は退屈だ。それをどうしようが自由だという事だ。今の人間達との共存は俺達も満足している。




