マルクの兄弟
「そうか、どこも同じか‥‥‥そう言えば。マイキーだっけ? お前の所の長男」
「マイキーがどうした?」
「軍をキャメルの所へ移動させて応援に出る。マイキーも来るようだが‥‥‥これは俺の勘だが。罠かも知れん。ウェンベリン家が集まって来ている。ライザは相変わらずキャメルと一緒だろう? そこでお前マルクまで来たら一家勢ぞろいだ。恨みを持つ奴のいい標的になる」
その言葉は俺達を心配してくれているのが分かる。リックは言う。
「俺もそっちへ向かうよ。これでもドクターのライセンスはあるんだ、力になれる」
「いいのか? お前まで来て」
「眷属は数人連れて行くだけだ。目立たないようにする」
「そうか。向こうに着いたら俺の彼女を紹介するよ。今、現場で頑張ってくれている」
「楽しみにしているよ」
リックは嬉しそうに言って電話を切る。
兄弟揃うのも、どれ位ぶりだろう。有紀に紹介しよう。説明する手間が省ける。皆驚くだろうか?
人間の彼女がいるなんて。
それにしても‥‥‥キャメル兄の所に援軍を出すなんて、いくら国連軍を率いているマイキー兄でもなあ。それに多国籍軍は、実際はキャメル兄がトップだ。国連を動かす程の力を持つ俺達ってどうなんだ? それに対抗する教会の奴もそれなりって事なんだろう。さあ、鬼が出るか蛇がでるか。楽しみにするとしよう。信長も戦の前はよくそう言っていたっけ。
ジェットは空港に着いた。
そこにはキャメル兄の軍隊の迎えが来ていた。きっとキャメルの眷属かライザの眷属なのだろう。その身から血の匂いがプンプンとする、こいつ等はきっと何人も敵を吸血して殺しているんだろう。
「お前らが案内してくれるのか?」
「キャメル様からお迎えに行くようにと言われています! お会い出来て光栄です。マイキー様もお待ちですよ。今からご案内します」
「そうか。任せるよ。頼む」
俺達は軍隊に囲まれるように移動する。まるで捕虜のようだな。軍のジープに乗って進む。
しばらくすると紛争地域とは思えない立派な建物に案内される。そこには兄達が居た。
「久しぶりだな! マルク! お前も眷属をやっと持ったか」
和也をチラっと見てそう言われた。和也は手を胸に当てて軽く会釈をする。俺は、
「元は母マリーの眷属だった者だ。今は、優秀な俺の補佐だよ」
そう言って兄達に紹介をする。
「初めまして。マルクス様の眷属をさせて頂いております。お二人にお会い出来て光栄です」
会釈したまま和也は言う。




