空港で
「これも、和也の眷属がさせたのか? 俺は普通で良かったんだがなあ」
ちょっとつまらなさそうに言ってみた。
「そう言わずに。目的地までゆっくりして行って下さい」
あっという間に大阪に着いた。
「マルクス様。着きましたよ」
和也に起こされた。眠っていたのか、何だかもったい気がする。折角の景色が見れなかった。
「車で空港まで送ります。こちらへ」
そう言って俺の先を歩いて行く。黒塗りの高そうな車がある。アレに乗るんだよな。周りの視線が気になる。そりゃあそうだよな。誰が乗るのか気になるよなあ。俺は周囲の視線の中を歩く。
「普通の車で良かったんだがな」
俺が小声で言うと
「普通のタクシーですよ。それに名古屋では黄金色のタクシーが走っていると言いますしね」
知らなかった! この前名古屋に来た時、それに乗りたかった! 俺の顔を見て和也が笑う。
「機会があったら乗ってみたいものですね」
「そ、そうだな」
こいつならやりそうだ‥‥‥。
空港に着いてロビーを歩く。そこで和也が狙われた。俺は狙った相手を組合く。
「お前は誰だ! 何故こんな事をする!」
その男は俺を睨み言う。
「ヴァンパイアの化け者め! あんたも奴と同じか!」
どうやら俺の正体はバレてはいない様だな。俺はさらに力を入れて男に聞く。
「誰に言われた」
「くぁあー!」
男は悲鳴を挙げる。その声に警備員が飛んでくる。
「何をしている!」
「こいつが連れを襲おうとしたのを、止めただけだが?」
手に持っていただろう刃物が落ちていた。それを見て警備員も納得する。
「それは大変失礼しました! お怪我は有りませんか?」
「大丈夫ですよ。和也も大丈夫か?」
「はい。マルクス様のお陰です」
こいつ。分っていたな。まあ和也は置いといてこいつだな。俺は力を使ってその男に言わせる。
「誰に言われた!」
すると急にグッタリする男。聞かれる前に消されたか。後は警備員に任せよう。和也も察したのか立ち上がり、俺の前を歩き出した。
「こちらです」
検疫を通過して空港内のロビーに入ってサロンに入る。もちろんVIP席だ。
「和也。どうしてお前がヴァンパイアだとバレたんだ? 俺の事はバレていないようだが」
「ちょっとね。餌場を広げようとしたら、相手がハンターだった。って事ですよ」
「和也は男からも吸血するのか?」
「そうですよ。人間は私達の餌です。基本女性が好みなのですが。男でもイケメンは好きですよ。最近は女の子より可愛い男の子も増えていますしね」
にっこりと笑って言う。




