グランクラス?
「兄貴。俺もそっちへ行くよ。実は彼女が出来てさ。そっちにいるんだ。だから、彼女に逢いに行くんだよ」
「ほう! やっとお前もそれなりに大人になったって事だな!」
嬉しそうに言う。
「確かに俺は末っ子でキャメル兄からすれば、まだ子供かもしれんが。ライザよりしっかりしているつもりだし、ちゃんと仕事を持ってる。今回もそれで行く事にしたんだ」
「ふーん。また、お医者さんごっこか?」
「! ごっこじゃない! ちゃんとライセンスはとっているし実績もある!」
「はい、はい。お前は変わらんなあ。ドクターなんて仕事のどこがいいのか俺にはわからん。好きにすればいいさ。で? マルクはどこへ行くんだ? こっちは戦争中だぞ。お前は嫌いだろう? こんな所は」
「その近くに俺の恋人がいるんだよ。国境なき医師団で頑張っている」
「ああ! マルクが居た所か。何だ? 血の匂いでも恋しくなったのか?」
「さっきも言っただろう? 彼女が居るんだよ。だから逢いに行くんだよ! だ・か・ら・一時休戦してくれ! 彼女を危険な目に遭わせたくない」
「そんな事か。簡単だ。こちらから仕掛けなければいい事だからな」
「‥‥‥それより。キャメル兄。聞いたか? ハンターが動いているぞ」
「そんな事とっくに知ってるさ。この戦いもそれに関係している」
「そうなんだ! そっちの犠牲者は出ているか? こっち日本でも仲間が狙われたよ」
「それよりどうやってここまで来るんだ? お前は自家用ジェットは持ってないだろう?」
「それが、マリーの眷属が日本に居てな。そいつが持っているんだ。それで行くよ」
「‥‥‥そうか。マリーの眷属が日本に居たのか。それは奇遇だ。そいつもさぞ嬉しかろう。なんせ純血種の始祖に会えたんだからな」
そんな話をしていたら駅に着いた。
「駅に着いたよ。キャメル兄。向こうに着いたらまた連絡するよ」
荷物を持って和也が言う。
「楽しみです。マリー様のご子息様達にお逢い出来るなんて!」
嬉しそうに荷物を持つ。
「マルクス様こちらへ」
と、和也に案内される。指定席だが特別室のようだ。いつも使っている新幹線とは座席も違う。グランクラスと言うらしい。新幹線のファーストクラスと呼ばれる特別車両らしい。???これって方向が違うんじゃないか? 東日本行きにあると聞いたが‥‥‥。まさか! 和也がにっこりと微笑む。
「特別に走らせて頂きました」
駅のホームには、てっちゃん達が写真を撮っている。だろうなあ。こっち向きに走るなんてあり得ないからなあ。きっと何処のホームにもいるんだろうな。溜息を吐く。




