有紀の動向
「本当に追いかけないでいいのか? あの子は本気だぞ」
「そうだな。本気だよな。レオナルド。そんな所に居ないで入って来いよ。有紀は心配ない、護衛がいるのだって知っているよ。和也が付けてくれた」
レオナルドは入って来るとクンクンと匂いを嗅いでいう。
「始祖にしては血の匂いがしないんだな。今まであった始祖は血の匂いでむせる位だったが」
「もしかしたら、その始祖は俺の親族か?」
「そうだな。お前の所の長男かな。日本に来た事があったんだが、お前さんとえらい違うんだな。始祖オーラむんむんだったぞ」
「マイキーか‥‥‥日本に来たんだな」
レオナルドは俺の顔を見て笑う。
「なんだよ。気持ち悪いな」
「マルクス。お前は俺を友人だと言ってくれた。俺達日本のウルフマンにとってはお前は特別だ。ジャックにも伝えてある。日本のウルフマンは今後、日本のヴァンパイアと手を組んでハンターを叩くとな」
「それは知らなかった。いいのか? 反対もあっただろうに。あの時の事は気にしなくていいんだぞ」
レオナルドは大きな声で笑って言う。
「俺達も標的になっているからいいんだ。ここで手を組んだ方がお互いの為だ」
「成る程な。それじゃあ、宜しく」
と握手をする。レオナルドは首を捻る。
「本当にいいのか? 彼女の方は」
「いいんだよ。彼女の考えは分からない。でもきっと驚く事考えているんだろう。それを楽しもうか」
それから暫く有紀は帰って来なかった。気になって和也の所に行く。今は個室に移動しているが誰にも聞かれていないという保証はない!
「和也。どうだ? 入院生活も悪くないだろう? ましてここは特別室だ」
「マルクス様ここには盗聴器も何もありませんよ。気になる事がおありですか? 有紀様ですかね? 心配ございませんよ。ご両親に会いに行かれているだけです」
「ええ! 確か今、豪華客船で旅行とか言っていたはずだが‥‥‥」
「マルクス様彼女は柏木グループですよ。自家用のヘリ位お持ちでしように」
「‥‥‥まあ。そうかもな」
和也はふふふと笑うと
「面白い方ですね」
「もしかして和也。有紀が何処にいて何を話しているのか解っているのか?」
「当然です。マルクス様の事で知らない事はありませんよ。わたくしの情報網を甘く見てもらっては困ります。おっと。今、有紀様は自家用ヘリに乗ってこちらに向かっておりますよ」
和也の耳にイヤホンとは違う何かが入っている。‥‥‥こいつなかなかやるな。弁護士と言うより情報屋と言った方が合っている気がする。浮気調査なんか頼んだら翌日調書を持って来そうだ。きっと国の偉い方にも顔が効くんだろうな。俺の方を見て微笑む和也。色々聞きたい気持ちはあるが止めておこう。




