寿司は美味い!
俺は有紀の傍に行き。
「彼女達と話さないのか? 一緒に話してくるといい、俺は暫くこの景色を堪能させてもらうよ」
「そう? マルク。堪能し終えたら教えて。次は浅草に行きましょう」
そう言って彼女達の所へ行く。
天守閣から見た景色とはやっぱり違うな。ここからは建物ばかりが見えるが所々に緑がある、公園なのか都会の中に見える緑の木々には不思議な感じだ。
そういえばさっき有紀が浅草と行っていたな、とスマホを取り出し検索する。ほお、なかなか面白そうな所だ。日本を感じる。
彼女達も満足したのか俺の所にやって来る。
「どう? 満足出来たかしら?」
「そうだね。有紀が言っていた浅草が気になって今、検索していたよ」
女子3人はくすっと笑うと、
「院長、意外と渋い所へ案内するんですね」
「やだわ! だって日本らしいじゃない! それじゃあ次に行きますか!」
そう言って歩き出す有紀に付いて行く。
浅草に着いた。浅草寺っていうのか、綺麗に保存されているじゃないか。寺はよく行ったから本当はもっと近代的な所を案内して欲しいのだが。まあここでは俺はただの外国人だからな。普通の外国人は喜ぶだろう。暫く彼女達に付き合うかな。
一通りお勧めスポットを巡った後に、
「マルク! お寿司食べる?」
有紀が言う。
「築地に行きましょうよ」
後の三人も大喜びだ。
「お寿司! いいわね! 勿論院長のおごりですよね?」
キャッキャと騒いでいる彼女達に。
「盛り上がっている所悪いが、今度は俺に御馳走させてくれないか? 女性にばかりにっていうのは何か俺自身が嫌なんだよ」
そう言って彼女達に話す。そこで有紀が、
「それは構わないけど、この子達こうみえてよく食べるのよ」
「いいねえ! 沢山食べる女の子を見るのも俺は好きだよ」
その言葉を聞いて喜ぶ女子達。
「それではこちらも甘えさせてもらいますか!」
♢♢
タクシーを拾って乗り込む。俺は助手席に乗った。ドライバーは英語とフランス語がはなせると言ったので目的地に着くまで話した。
「フランス語はやはり難しい、英語の方でいいかな」
ドライバーの言うように英語で話をする。築地に着いた。良いドライバーだった。俺は満足した。
タクシーを降りてドライバーにはチップと言って余計に渡したが、断れてしまった。それを見ていた有紀が、
「日本にはチップという文化はないのよ、気にしないで」
そういえば、仲間のリックもそんな事を言っていたっけ。
「さあ! お寿司食べるわよ!」
と歩き出す、スゴイなあ! 色々な店がある。どこも美味しそうだ。その中の一つの店に入る。
「いらっしゃい!」
と店員の大きな元気な声で迎えられる。
「さあ、マルクこれが日本のお寿司よ」
沢山の人間が店内にいる。混んでいるようだが、俺達はすんなり席に着いた。
「マルクは苦手な物はあるの?」
「フランスでも寿司は人気だからね。大丈夫食べれるよ」
有紀が板前に幾つか注文していた。目の前には芸術的な寿司が並ぶ。
「これは美しい!」
思わず声が出る。板前が嬉しそうにこちらを見る。他の彼女達はもう食べ始めていた。
「マルク。食べましょう」
有紀に言われて食べる。美味い! フランスで食べた物とは別物だ! 俺も結構食べた。血を飲む以外でこんなに満足したのは何年ぶりだろう? リックが勧める訳が解ったよ。
『お前はもう一度日本に行って来い。いいぞお! 日本。こっちに帰りたくなくなるぞ』
言っていた意味が何となく解るよ。これからもきっと驚く毎日なのだろう。
「もうお腹一杯! もう入らないわ!」
と女性陣がお茶をすすりながら言う。
「私もお腹一杯だわ。マルクはもういいの?」
「俺も堪能したよ。寿司、素晴らしい!」
店の板前達も嬉しそうにこちらを見る。
会計を済ませる。結構高いんだな。これだけの人数だから仕方ないか。
「ごちそうさまでした!」
と彼女達から言われる。悪い気はしない。これはホテル暮らしは止めてリックの部屋を借りた方がいいかも知れないな。あの部屋は餌場だとあいつが言っていたから本当は違う場所にしたかったのだが。
日本でも仕事は決まっている。リックが紹介してくれた大学病院だ。医師のライセンスは本物だ。これでもちゃんと勉強はしたし実績もある。医学の進歩は驚く程進んでいる。こんな面白い仕事はない。