カラオケ?
一通り話をして情報を確認した。有紀も和也とそれなりに盛り上がっていた。
「自己紹介が遅くなりました。私は久納和也と言います。これでも弁護士として仕事をさせてもらっていますので何かあったら相談させて頂きますよ、気軽に声を掛けて下さい」
と名刺を渡す。
「はい! こちらこそよろしく! 私は柏木有紀です。仕事が忙しくてカラオケに来るのなんて久々だわ。誘ってくれてありがとう!」
弾けるような笑顔で言う。
「成る程。さすがはマルクス様を射止めた方ですね。本当に素敵な人ですよね」
その言葉に有紀はまた照れる。社交辞令って言葉を知らない訳はないだろうが‥‥‥これは本気にしている顔だ。そこで和也が言う。
「マルクス様。社交辞令なんかではありませんよ。私は本当にそう思っているのですよ。もし貴方にふさわしくないと、思ったら‥‥‥」
「和也! 俺達の事まで口を挟むな。眷属を作る作らないは俺自身で決める」
「そうですね。でもリック様は眷属を従えておりますよ」
「ああーあいつの事だから、沢山の国に眷属が居そうだ。不思議じゃないさ。アイツは気まぐれだからな。眷属もどうせアイツ好みの美女を侍らせているんだろうさ」
ちょっと捨て台詞風に言ってみた。悪気はないがアイツの女好きはどうも俺には理解出来ん。吸血した後相手の記憶を消す事など造作もない。ただ。アイツの眷属はそんなアイツの気性をよく理解していてその後片づけをしっかりこなす優秀な眷属だ。そんなアイツも傍に置く眷属はずっと変わらない。
「レオナルド。新しい情報が入ったら俺からもそっちに伝える。そっちでも何か分かったら教えてくれ」
「分かっているよ。教会に俺達の仲間が潜入している。動きがあればこっちに伝わる。心配しなくていい。俺達にしか理解出来ない言葉で連絡し合っている。人間にはわからんよ」
それにしても楽しそうだ。今日は有紀のワンマンショーだな。振付までして踊っている。和也も一緒に踊っている‥‥‥。流行っているのか? いつの間にかレオナルドまで踊っているぞ‥‥‥。
「ほら! マルクも一緒に真似してみて! 楽しいわよ!」
有紀が楽しそうに俺に教える。うーん。難しい。
「マルク! 美味いじゃない!」
「‥‥‥社交ダンスなら踊れるが、今の時代は、皆同じ動きを合わせて踊るんだなあ」
すると和也が上着を脱ぎ捨てブレイクダンスを踊る。それにつられるようにレオナルドも踊る‥‥‥
「きゃあー! 楽しい! すごーい!」
有紀が叫ぶと、お客が集まる。そこはちょっとしたステージになっていた。もう、どうにでもなれ!




