眷属
それにしても、ここにいる者達は皆美形だな。マリー、俺の母親の趣味がよくわかる。それに他のヴァンパイアも皆美形を好む。
そうだ、アレを渡そう。
「この中にマリーの眷属がいたら俺の前に出てくれ渡したいものがある」
数人俺の前に出る。俺はブルーダイアモンドの指輪を出し、
「マリーがまだ自分の事を忘れずに思ってくれているのならこれを渡して欲しいと頼まれた」
俺は一人一人に手渡した。
和也が聞く、
「マリー様は‥‥‥」
「マリーはハンターに、やられたよ。騙し打ちにされた。彼女は和平を望んでいたんだ。その話し合いの時に‥‥‥」
和也は崩れ落ちるように、座り込む。何人かも同じように座り込む。その手には指輪が握り締められていた。その指輪のダイアはマリーの瞳と同じ色だ。
「マリーをやった奴は俺が始末した。母親をやられたんだ。当たり前だ。まして、彼女は和平をと望んで、人間達を信じて一人で行ったんだ。そんなの許せるかよ」
「和也、お前に会わせたい者がいる。来てくれるか?」
「もちろんです! お供させて下さい」
と言って部屋を出た。おれはレオナルドに連絡をする。
「俺だ。レオナルド。会わせたい者がいる。話したい事があるんだ。会えるか?」
「ハンターの事だろう? なら、おれの仲間がやっているカラオケにでも行くか? 防音対策はバッチリだ」
「そうだな。頼んだよ」
そこで和也が言う。
「彼女を一人にして置くのは危険かと思いますが、一緒にお連れした方がいいかと、それに、私もお会いしたいです」
笑顔で言う。驚いた顔をする俺を見て、
「貴方様の事はリサーチ済みです。彼女の事もこれから仲間が護衛させて頂きます。ご安心を」
俺は自分マンションに着いた。インターフォン越しに有紀に言う。
「ちょっと外に出ないか?」
「わかったわ。ちょっと待ってて」
しばらして有紀が降りて来た。
「なんだその『カラオケ』という場所に行くんだが、いいか?」
「まあ! 久しぶりだわー! もしかして、そこに貴方の仲間がいるのかしら?」
相変わらず察しがいい。
「こいつは和也だ」
「もしかして、貴方。ヴァンパイア?」
「はい! 眷属ではありますが」
「そうなんだ!」
話をしていたらカラオケという場所に着いた。
「ここだよな?」
俺はレオナルドに連絡しようとしたら、店の前に居た。
「よう。レオナルド。元気にやってるか?」
「まあな。日本語もなんとか教えてもらって少しは話せるようになったぞ」
と笑顔でいう。そこで、
「隣にいるのは‥‥‥彼女の有起だ」
「ほう! チャーミングな彼女だな」
有紀が照れる。
「チャーミングだなんて」
「さあ。中に入って話そう」
俺達は店の中へと入った。




