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狼男のリーダー

 車に乗り指定された店に着いた。そこの店の中に入る。


「お前はヴァンパイアか。ここはヴァンパイアのような者が来る場所じゃない! 俺達の縄張りに入って来るな!」


 その場にいた狼男達の視線が俺に集まる。そこで俺は自分の存在を示す様にオーラを放つ。これは始祖としての存在アピールみたいなものだ。ただの吸血鬼ではないのだと示さないと反感を買う恐れがあるからだ。そこで、レオナルドが出て来た。


「そんなに始祖オーラを出さなくても大丈夫だ。ここにいる連中はヴァンパイアをそんなに敵視していないから普通にしてくれ。そんなに強いオーラを出されると逆に怯える者も出る」


「そうか。悪かった」

 と言ってオーラの開放を押さえた。そこで俺は本題に入る。


「それで? どうしてこうなったのか話してくれるんだよな」


「多分あんたが考えている通りだよ。リーダー争いだ」


「お前達がリーダーを持つ事に俺達は関心はないし興味もない。だが、これ程暴れて貰うとこっちも困る。もっと静かにやれないのか? お前達だって正体がバレたら困るだろう」


 レオナルドは、大きな溜息を吐く。


「そうなんだが、一部の奴がリーダーに対して不満があったようで、その腹いせで暴れたようだ。もう何人かの人間が餌食になっている。俺はそれを止めようとしてこうなった。多勢に無勢では不利なのは解っていたが、目の前で襲われそうになった人間を無視する事は出来なかった」


 そう言って俯く。


「で? 今のリーダーは何て言っているんだ? こんな事を続けていてはいずれバレるぞ」


「‥‥‥リーダーは殺された。今はリーダーは不在だ」


 俺は言葉を失う。群れのリーダーを襲うだなんて‥‥‥そんな事、今まで聞いた事は無いぞ。


「次のリーダー争いが起こっている。リーダーを襲った奴等は人間をもっと食わせろといった強行派だ。ここにいる俺達はそこまで人間を食いたいとは思っていない。今は食べる物は沢山ある。それで満足なんだ」


「まあな、美味い物の味を知ってしまうと戻れなくなるからなあ」


 少し笑ったように見えたレオナルドが言う。

「それに昔から俺達に人間は死刑になった者の遺体など提供してくれているから、食べられない訳ではないんだ」


 俺は考える。リーダーの不在はいい状況とは言えない。仲間の暴走を抑える者が絶対必要だ。


「レオナルド。お前がリーダーをやれ」


「それは、ここにいる仲間からも言われている。俺は今まで通りの人間達との関係を保って行きたいと思っている。腑抜けと言われても俺は何とも思わない。俺達種族の存続の方が大切だと思っている」


「レオナルド。俺はおまえが適任だと思うぞ。俺達は人間達と上手くやっていかなければいけない。もう魔女狩りのような歴史は起こさせてはいけないんだ。ここは俺が出て行こう。始祖の力を使う事になるだろうが、その方が解決が早い」


「悪い‥‥‥俺達の種族の問題に他の種族である者の力を借りないといけないなんて‥‥‥本当は俺達で解決しないといけないのだが‥‥‥」


 レオナルドの表情は暗い。きっと何度も話し合ったはずだ。だが、結果は今最悪だ。


「その方が俺達の方も助かるからいいんだ。気にしなくていい。今のこの状況が俺達ヴァンパイアまで危うくしているんだ。俺を使ってくれて構わないさ」


 人間に犠牲者が出たら警察が動く、そんなのは当たり前だ。俺達の存在は極秘事項なんだよ。一部のお偉いさんしか知っていない。共存ってやつだ。その均衡が崩れたら俺達はまたあの暗黒時代に戻ってしまう。冗談じゃない!


「さあ。今度はその強行派とやらのリーダー候補に、挨拶をさせて貰おうじゃないか」


 レオナルドはその場で相手に連絡を入れる。



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― 新着の感想 ―
[一言] これは思わぬ展開ですね。 うまく鎮められるか。
[良い点] なるほど! 強硬派ですか。それにしても目先しか見ていない奴がリーダーとか笑わせる。始祖、やっちゃえ〜!
[一言] 狼男の世界もいろいろ大変なんですねえ(小並感)。
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