か:かぜになるきみ
むかし むかし
ずーっと むかし
せかいには
おおぞらによりそい
おおぞらをつつみこみ
おおぞらと ともにいきつづけた
‐かぜ‐
とよばれる ひとびとがいました
そして
いまからはじまる このうたは
ふたつのかぜの
ちいさな ちいさな
「ぼく」と「きみ」の
ものがたり...
苦しまぎれに出した 一つの答え
それが僕を導くことはないけれど
考えて考えて やっとのことで出した
一つの答えならば
きっと 君をどこかへ導いてくれる
たとえ 小さな塵一つとぶことのない
無風のなかだったとしても...
僕が飛び立てなくても
君はきっと翔び立てる
僕と君を繋ぐ 重いクサリの鍵は一つだけ
大丈夫 僕がここに残るから
君は その重いクサリの鍵を開け
あの美しい青の中へと 翔び立つんだ
とぶために生まれてきた 僕たちだけど
ふたりでは とべなかったという真実
僕が出した
一つの答え
(それは 僕がひとり、ここに残るということ)
君が出した
二つの
(それは 僕を翔ばせることと)
答え
(ふたりで ここに残るということ)
まるで 水面にうつったかのような
‐対象‐
涙ぐんだ 君
覚悟は... できていた
大丈夫 大丈夫
たとえ 僕がとべなくても
君ならば風に乗り どこまでも行けるだろう
僕の為に 君まで大地に残るなんて
絶対にだめだ
さぁ はやく
君の羽根を包む 魂の想いが
消えてしまわぬうちに...
ほら、もうそんな顔をしないで
君は鳥だ 大空をその羽根で包む
とても優しい
笑顔の似合う 鳥なんだ
僕は...、
君が落ちてしまわぬよう
この大地で 見守っているよ
だから君は その背中に生えた
大きな羽根を 翼を広げて
空高く どこまでも
君に こんな大地は似合わない
もちろん 泣き顔も
君には笑顔がピッタリだから
大丈夫
君が大空を包み続ける限り
僕の魂は 生きつづける
たとえ この身体が朽ち果て
無風の中にさらされようと
君が 「とぶ」ということを続けてくれるなら
僕は君の 翼となれる
さぁ、クサリは...
君を こんな所へ引き止めていた
多くの無念は 僕が全部受け止める
もう 君を大地に縛り付ける
仲間のオモイ(想い・重い)クサリは ない
君は、
多くの人を幸せに
笑顔にできる
‐風‐になれる
(僕らをここに引き止めていたのは)
(この大空を包むことのできなかった)
(多くの仲間の)
(悲しみ、苦しみ、怒り、寂しさとも呼べる感情と)
(自分の役目を 果たせなかったという)
(オモイ無念...)
(大丈夫、僕が...ここにいる)
(僕が、みんなといる)
(みんなと共に、ここに ずっといる)
(そして、君の翼‐カゼ‐となって)
(大地から、君を見守り続けるよ)
(だから...君だけは...)
(大空を包み込む......)
風に...