あ:ありがとうと言えたなら
亡くなった愛する人への気持ちを、手紙風に書きました!詩っぽいです。
君にありがとうと言うことが出来たなら、
僕は、なんの未練もなく君の元へ行けるでしょう。
僕は、君にありがとうと伝えなければいけなかったのに、
無駄に高すぎる自尊心が、邪魔をするのです。
なんて、こんなのはただ単に僕の言い訳であって......。
たとえ、その高すぎる自尊心が無くなったところで、僕は君にありがとうと言うことは出来ないのでしょうね。
そういえば、僕と君が付き合い始めて暫くした頃、僕は君にお礼を言えないことを謝りましたよね?
僕は真剣に謝ったのに、君はそんな事ないと、笑顔で言ってくれましたね。あの時も、本当はありがとうと言いたかった。
言えない僕は大馬鹿者です。
君の笑顔と言葉は、そんな僕を優しく包み込んでくれる、一種の魔法なのです。
ねぇ、
君は......こんな僕といて、幸せ...でしたか?
こんな事を聞く僕を、君はきっと怒るのでしょうね...。
でも、怒られてもうれしいと思えてしまう僕もいてしまう。おかしいですね。
この世に君はもういません。ありがとうという言葉は、もう届ける事はできない。
本当に、ごめんなさい。
謝って済む問題じゃ無いのに...。僕は、とても酷く愚かな人間です。
そういえばこの前、君が生前とても好きだった、山査子の花が咲きました。白く誇らしげに咲く小さな花は、まるで君のようで...。
君は死ぬ間際、僕にいいましたよね。
「山査子の花言葉は−−−。あなたに愛してもらった、自分は幸せ者。」
今でも、その声が僕の脳に、体に、全てに、鮮明に残っています。
ねぇ、僕もそうでした。
そう、山査子の花言葉は......。
−ただ一つの恋−
ありがとう。
ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう。
あ・り・が・と・う
愛する君にそんな事を言われた僕は、きっと世界一、いいえ、この世でもあの世でも、一番の幸せ者です。
先日、君の山査子の隣に、紫の花を咲かす敦盛草を植えました。
今日も仲良く、心地良い風に吹かれています。
敦盛草の花言葉は、
−君を忘れない−
これが、僕から君に贈る、今できる精一杯の
ありがとう