スキル検証は暇潰しにピッタリだよね
さて、今日は新しいスキルの検証でもしましょうかね!
え? 変異種を街に運んで何か起こらなかったのか、ですか?
何も起きませんでしたとも、はい。
そのためにライオスさん達に先行してもらったわけだし。
とはいえ事前に説明を受けていた門番やら兵士の人達も、初めて見る竜種という存在にビビっていた様子だったけどね。
そんな訳で私達は、変異種を街に置いてお家へと帰ってきた。
こうして、父さんと母さんと私の日常に戻ってきた。
父さんと母さんと一緒に居るのは楽しいし嬉しいんだけど、竜と人との時間の捉え方の違いなんだろうけど、さすがに何日も狩りしてご飯食べて寝る、だけだと退屈になってくる。
なので、ちょっと暇を持て余した時にスキルの確認・検証をして気分転換をしてみる。
検証してみた結果としては……
【龍紫眼】は、母さん曰くスキルを発動すると、私の目に魔力が集まるので魔眼の一種だろうとの事。
しかも使ってる間は、赤眼の部分が縦長に変化しているらしくて、竜に近い感じになっていると母さんと父さんがはしゃいでいた。
ちなみに効果は判っていない。
父さんが我に使ってみろ、とか言ってくるんだけど説明文が説明になってないスキルの実験台になってもらうのは怖すぎるので私が拒否した。
いくつかのスキルは私の身体に変化を与えている気がするんだけど、もしかして使い続けると人間ではなくなっちゃう……なんて事があるのかなぁ。
でも力は必要だし、使わないっていう選択肢はないんだけどね。
お次は【有翼(竜)】のスキル。
これはやっぱり【有翼(鳥)】と同じで背中に翼が生えるヤツで、使用すると竜の翼がバサっと生えてきた。
これには父さんも母さんも魔眼より驚いた上に大喜びしてくれていた。
【雄叫び】は、声をスキル効果で増幅しているのか、かなり大きな声が響いて自分の声なのに煩かった。耳栓あった方が良いかなぁ……とか思ってみたり。
さらに声に魔力が乗っているみたいで【雄叫び】を聞いた相手を竦ませられるっぽい。
【瞬脚】のスキルは、魔力を脚に集中させることで凄い加速ができる。先日戦ったジャガールの変異種が初手で私のお腹を抉ってくれたり、溜めを作って加速をした時はコレを使っていたんだと思われる。
これは戦闘に役立ちそうだ。
【鎧皮】は、使ってみてもパッと見では変化は感じられなかったけど、どうやら身体の周りを魔力で覆っているみたいで、防御系のスキルみたいだ。
これで助かる可能性が増したね!
そして最後は【不動】のスキルだ。
これはスキルを発動しても変化が見られなかったんだけど、スキルを使った状態だと私はその場から動く事が出来なくなっていた。
動けないと分かった瞬間は外れスキルじゃん!って思ったけど、私は小柄だし戦闘時に敵の攻撃で吹き飛ばされそうな場合に、このスキルを使えば体勢を崩さなくて済むかもしれない。
そう考えると結構有用なスキルなのかも?
スキルの試し撃ち? みたいなのを終わらせて、ご飯確保の為の狩りで【龍紫眼】と【雄叫び】を使って検証を終了しようと思う。
そう思っていたんだけど、そこに来客がやってきた。
上空から大きな影が落ちてくる。
またお爺ちゃんとレイリーが遊びに来たんだなぁ、って思ったんだけど今日やって来たのは竜なんだけども、燃えるように赤い鱗の竜でした。
「火竜……? って、熱気がっ! 暑…いや熱いっ」
「なっはっはっは! 惜しいな、俺は炎竜だ! 炎竜のマグナスだ!! あと熱に関しては俺でもどうしようもない! スマンな!」
なっはっは! と笑いながら熱気を振り撒くマグナスさん。
やめて下さい。なんか笑うと気温が上がってく気がします……
「五月蝿いと思ったら暑苦しいヤツが来やがったな……」
「おおっガイアス! 久しいな!」
父さんがウンザリした様子で家から出てくると、マグナスさんが嬉しそうに父さんに近づきながら縮んでいく。
あれ……マグナスさんも人化できるの?
マグナスさんが人の形をとると、鱗と同じような燃えてるような髪をしていて、さらに尻尾まで生えていた。
人化に慣れてないのかな? よく見れば頭に角も生えてるし……
「あら……誰かと思えばマグナス、貴方だったのね」
私がマグナスさんを観察していると、遅れて母さんも家から出てきた。
声をかけられたマグナスさんは母さんを見て少し考えるような素振りを見せる。
「おお…レティーツィアか! 人化に興味を示さなかったお前が、まさか人化しているとは思いもしなかったぞ!」
ああ、なるほど。
母さんが人化を覚えたのって最近だものね。初めてみたのなら反応も遅れるよね。
「私も自分で人化する時がくるとは思わなかったわ……」
「そうかそうか! 俺やガイアスが人化を覚えた時など、罵りはしなかったが心底どうでもよさそうだったからな! そんなお前が人化するに至ったのは、やはりそこの娘の影響か?」
「ええ、そうよ」
マグナスさんが私の方へと視線を向ける。
敵意は無さそう? むしろ嬉しそうに私を見ている。
「ガイアスとレティーツィアの娘よ、さっきはスマンな! 人化している今なら問題ないが、炎竜である俺の鱗は人間であるお前には近づき難いだろうからな」
「えっと、まぁ…大丈夫です。私は丈夫な方なので不意さえ突かれなければ問題ないと思います……」
さっきマグナスさんが来た時、最初は熱くて驚いたけど【竜気】を使えば熱気は我慢できた。
ちょっと暑いけどね……
「ところでレイリーから聞いたのだが、ガイアスの娘よ。お前、なかなか面白い力を持っているそうだな!」
レイリーめっ……!
なにペロっと喋ってるんだよ!
あー……レイリーから聞いたんじゃ誤魔化せないよなぁ。父さんも母さんもドヤァ! って顔してるし……自慢の娘です! みたいな顔してるし!
「面白いかどうかは知りませんし、今は魔石を取り込む事はできませんよ?」
魔石取り込んだばかりだしねー。
「ああ、それは構わない! 俺が見たいのは竜の息吹の方だ!」
「竜の…息吹……?」
「ああ!」
うーむ……。
楽しそうなマグナスさんには申し訳ないんだけど、そんなスキル持ってないんだよなぁ〜。
「シーちゃん。もしかしてマグナスが言っているのは竜咆哮の事じゃないかしら?」
「む……竜咆哮?」
母さんの言葉にマグナスさんが首を傾げる。
「実はシーちゃんの持っているスキルの名前と、竜達の使っている力の名前は必ずしも同じではないのよ」
「なるほどな……つまり竜と人との認識の違い、という事か」
「ええ」
「ふむ…ふむふむ……面白いな!」
「面白いんだ……」
っと、思わず口に出てしまった。慌てて口を閉じる。
「面白いとも! 元々交流があるわけではないが、だからこそ人の思い描いた竜の生態とは違っていると考えると、なんとも滑稽ではないか! なっはっはっは!」
「おい、マグナス……」
「っと、スマンスマン……ガイアスの娘も人だったな」
父さんが睨むとマグナスさんがハッと思い出したかのように謝った。
「いえいえ、お気になさらず。私も資料で得た知識と実際に父さんや母さんに会って見聞きして得た知識とでは、随分と齟齬があって驚きましたし」
「ほほう! 例えばどんな事だ!?」
「例えば……父さんやマグナスさんのような真竜が、資料では属性竜と呼ばれていますね」
「ふむ、呼称が違うわけか……。本来なら、このように情報の交換などはしないからな。仕方ないな!」
「ですね」
いや全くその通りだと思う。
竜との交流を望む人も探せばいるのかもしれないけど、そういう人達の願いを無視する人は必ず出てくる。
竜の素材はかなり高値で売れるらしいからね。
だから私としては交流とかは、どうでもいいんだよね。
「それより、ガイアスの娘のなんだ……すきる…だったか? それを俺に使ってくれないか!」
「そういえば、そんな話でしたね……」
「ああ! さあ、こい!」
ばっちこい! と言わんばかりに両手を広げて待ち構えるマグナスさん。
えぇ……ホントに撃ち込むの?
不安に思いながら父さん達の方へと視線を向けてみると、
「シラハよ、遠慮はいらん。やってしまえ」
「シーちゃん、頑張って〜」
という、気にした様子のない言葉……
気にしてもしょうがないかなぁ……
よし!
「怪我しても知りませんよ!」
「おう!」
マグナスさんの返事を合図に、私の掌に魔力が集中していく。
「ほほぅ……」
マグナスさんが興味深そうに声を上げる。
魔力が溜まり私はそれを解放する。
「【竜咆哮】!」
「おお! 本当に息吹ではなぃ――――」
私がスキルを放つとマグナスさんが何か言っていたけど、前方を吹き飛ばしたことで、その声も途中で聞こえなくなってしまった。
あれ? 大丈夫だよね?
スキルの余波で舞い上がっていた砂埃が晴れると、そこにはマグナスさんの姿はなかった。
ま、まさか跡形も無く吹き飛んじゃったんじゃ……
「なっはっはっはっは! いやはや本当に竜の息吹を放てるとはな! 威力も子竜を上回ってはいるが、成竜には届かずと言ったところか……うむ、面白い!」
私が慌てていると、マグナスさんの興奮した声が聞こえてきた。
声がした方を見てみると、先程までマグナスさんが立っていた場所よりも後方の岩肌に人の形をした穴が空いていた。
本当にあんな穴ってできるんだ……
なんて感心していると、穴からマグナスさんが這い出して来た。
「人の子に吹き飛ばされるとは、なかなかに得難い体験をしたものだ!」
と、嬉しそうに語るマグナスさん。
「い、痛くはなかったんですか?」
「ん? それは多少は痛みはあるぞ? 人化した状態では竜の時に比べると力が出ないからな!」
「あ、やっぱりそうなんですね。でも怪我してないようで安心しました」
「なに、多少怪我をしたところで文句を言うつもりは無いぞ! そんな事をしたらガイアスとレティーツィアに襲われるからな!」
「当然だな」
「そうね」
本当になんともなさそうなマグナスさんを見てホッとする。
そして父さんも母さんも相変わらずの平常運転だね。
そんな二人を見て、なんだか力が抜けてしまう私だった。
狐鈴「久しぶりに投稿したよ!」
シラハ「急にどうしたの?」
狐鈴「実は……続き楽しみにしてます!っていうお便りが届いたの!」
シラハ「だからモソモソと書き始めて投稿したと……チョロいな狐……」
狐鈴「だ、だって嬉しかったしっ!」
シラハ「なら感想を受け付けたら?」
狐鈴「感想欄を覗く勇気が、私には足りない!」
シラハ「よくそれで小説書こうと思ったよね……」
狐鈴「という訳で、これからも少しずつ更新していきます!」
シラハ「よろしくお願いしますね」




