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第67話 特別授業

 小学校を襲撃して来た物騒な連中の鎮圧と、ヒトデナシの駆除が終わって、飲食兼休憩エリアと調理エリアの片付けも終わり、俺と直樹と千春の三人で夜の炊き出しを頂いていた。


 俺はカレーを直樹はシチューを千春はお粥を食べながら、千春に校舎内が襲撃されていた時はどんな感じだったのか聞いていた。


 すると、千春がお粥の入った器とレンゲを宙に浮かせて


「ついに僕は覚醒してしまったんだよね」


 と言って、顎に手を当てて千春は俺達を見ていた。


 直樹が俺に千春は任せたぞって感じの目配せをすると、もりもりシチューを食べ始めた。なので、俺は千春に


「千春君は何が覚醒しちゃったのかな~」


「ちょ~能力だよ」


「そっか、とりあえず器とレンゲを元の位置も戻そうか、それから話しを聞こうかね」


 たぶん、千春は俺に同じテンションでもっと付き合って欲しと思っていたんだろうけど、ちと今日の俺は色々と疲れているので、普通のテンションで話しを聞こうと思った。


 千春はお粥をレンゲでかき混ぜながら


「ん~、何から話そうかなあ。小田先生が言うには僕らが魔法って言ってる現象って、一般的に超能力って言われてる現象なんじゃないかって言ったんだよね」


「ほっほ~、そりゃまた興味の湧く話しだな」


 直樹も興味があるのか、千春の話しに耳を傾けている感じだった、すると千春が


「先生からどんな経緯で魔法が使える様になったのか、魔法を使う時にはどんなイメージや想像をしてるのかって、他にも色々質問されてたんだけど、そしたら先生が机の上に消しゴムを置いてさ、手を使わないでこの消しゴムを右から左に動かして欲しいって言ったんだよね」


 何かの実験なのかなって思いながら千春に


「俺なら風魔法で動かすかなあ」


 って言うと、千春はお粥を一口食べて


「うん、僕も風魔法を発動させて動かしたんだけど、そしたら先生が消しゴムを動かす時にどんなイメージをしてたのかって聞くから、風を送って動かすイメージって言ったんだよね、そしたら麗奈ちゃんと西條さんは違うイメージで消しゴムを動かしてたって言ったんだよね」


「あ~、それは気になるな。俺とか千春はファンタジー作品の影響で風魔法を使うけど、他の人達は違う魔法を使って動かすかも知れないもんな」


「でもね、違ったんだよ。属性魔法とかじゃなくって麗奈ちゃんはお婆ちゃんにお願いして動かしてもらったらしくて、西條さんは見えない手を使って動かすイメージだったんだって」


「麗奈のお婆ちゃんってのは良く分からないけど、西條さんの見えない手ってのも意外だな」


 千春が小田先生から聞いた話しによると、麗奈は小さい頃からお婆ちゃんが傍にいて、いつも身の回りの世話をしてくれていたらしく、お婆ちゃんが他界してからもチョイチョイ困った事があると、お婆ちゃんにお願い事をしていたんだそうだ。


 そして、毎回ではないがお婆ちゃんにお願いすると、不思議となくした物が見つかったり、道で迷子になっても、いつの間にか目的地に辿り着いていたりする事が何度もあったそうで、その度にお婆ちゃんが助けてくれたんだって感じていたんだそうだ。


 そんなお婆ちゃんっ子の麗奈が、始めて魔法に挑戦した時に、イメージと想像力が大事って聞いていたので、試しにお婆ちゃんの事を強く意識して「体を綺麗にして欲しい」ってお願いしたら、シャワーを済ませた後の様に全身綺麗になってサッパリする事が出来たので、それからは魔法を使う時にはいつもお婆ちゃんにお願いしているんだそうだ。


 なので、今回の消しゴムに関しては「お願い、お婆ちゃん消しゴムを右から左に動かして」って感じで動かしたらしい。


 西條さんは、過去に読んだファンタジー作品に、人には見えない伸縮自在の手を使って活躍する物語があったそうで、それをイメージして消しゴムを動かしたんだそうだ。


 千春、麗奈、西條さんの三人に魔法を使って消しゴムを右から左に動かしてもらったが、面白い事に動かし方は三人ともそれぞれ違うやり方だった。


 今度は消しゴムを宙に浮かせて欲しいと小田先生に言われたそうで、これも問題無く消しゴムを宙に浮かべる事が出来たし、意識すれば目の前でクルクル回転させる事も出来たんだそうだ。


 千春はお茶を飲みながら


「そしたら小田先生が、最初に体を隅々まで治した現象が魔法って聞いちゃってたから、全ての現象を魔法って思ってたけど、この現象って別に超能力だって言っちゃっても良いんじゃないって言ってたんだよね」


 俺もお茶を飲みながら


「まあ、そう言われれば、俺達が使っているのが魔法って言ってるのは、最初に千春がファイアーボールを発動させてからだもんな」


「うん、別にこの現象が魔法じゃなくて超能力だったんだよって言われても、ふ~んそうだったんだって感じだもんねえ」


「だな、ただ説明するのに魔法って言った方がラクだった、てのもあるんだけどな」


 千春が食べ終わったお粥の器を浮かべながら


「だから、これからは状況によって僕は魔法使いだったり超能力者だったり、名称を変えようと思ってるよ」


「ああ、好きに名乗って良いと思うぞ。でも、俺達の認識だと麗奈のお婆ちゃんって召喚魔法になるんじゃないのか」


 千春が目を見開き


「あ~、そうかも。もしくは精霊とかになるのかな、お婆ちゃんの精霊って何か変な感じだけどね。でもでも、僕も召喚魔法とか精霊って使ってみたいなあ、今ってまだ魔法使いと超能力者の称号しか持ってないからね、召喚士や精霊使いの称号も欲しなあ。でも何を召喚しようかな」


「いや、魔法使いや超能力者って称号って言うよりも、ジョブなんじゃないか」


 千春が気づいた様子で


「あっ、そっか。どちらかと言うと職種なのかも知れないね。だったら、状況によってジョブチェンジしながら生活するよ」


「でも俺達の今のジョブって高校生だぞ」


 千春が何故か得意げな表情になり


「別にいいんだよ、基本職は高校生だったとしても、戦闘になったら魔法使いにジョブチェンジして魔法スキルを使いまくれば良いんだからね、だから色んなジョブを経験して色んなスキルを習得しとけば、いざって時に必要なスキルを持ってるジョブにチェンジしちゃえば良いんだからね」


 俺は直樹を見て


「じゃあ、今の直樹は武道家と格闘家と鬼のジョブで頑張ってもらうかね」


 直樹がおでこの角を擦りながらお茶を飲んでいた。


 俺は体育館で直樹と合流して、沙織に念話でみんなの状況を確認してもらった時に言っていた、千春が小田先生とやっていた特別授業ってのが、気になったので聞いてみた。


「んとね、生徒達に超能力を教える授業をしてたんだよ」


「超能力って、学校の先生達は止めなかったのか」


 千春が俺達の食べ終わったお皿とかを宙に浮かせながら


「小田先生は生徒達に安全の為に、最終的には念話を習得してもらいたいらしくて、その事を先生達に伝えたらオッケーが出たんだよね~」


「なるほどね~、確かに念話は使えると便利だもんな」


 千春が浮かべたお皿を一か所に集めると


「でね、いきなり念話は難しいかも知れないから、先ずは初歩的な意思の力だけで物体を動かす能力、サイコキネシスとか念力、もしくは念動力って言われているヤツから習得してみようってなったんだよね」


「物体を動かす能力かあ。でも、それって覚えたら小学生とかだと絶対にいたずらしまくるだろうから、覚えちゃったら面倒なんじゃないのか」


 千春は宙に浮いたまま、一か所に集めたお皿を積み重ねながら


「うん、でね、小田先生が生徒達に、これからとても大切なお話をするのでしっかり聞いてくださいねって言ったんだよね」


 生徒達が小田先生に注目すると「これから私がみんなに教える事はとっても不思議な能力です。この不思議な能力を覚える事で、必ずみんなの役に立つし、お父さんとお母さんは喜んでくれます。そして、もし覚えることが出来たなら、お父さんとお母さんはみんなの事をたくさん褒めてくれると思いますよ」ここまで話した小田先生は一度生徒達を見回したそうだ。


 千春も生徒達を見てみると、生徒達は嬉しそうな表情をしていて、仲良しグループに分かれて一緒に聞いている生徒達も、面白そうだってねって話していたらしい。


 生徒達の反応を確認した小田先生は「でも、この能力を悪い事に使うとせっかく覚えたのにずっと使えなくなってしまいます。みんなは頑張って覚えたのに使えなくなったら悲しいよね。もし使えなくなったら、お父さんとお母さんも悲しむかもしれないよね」と言うと、話しを聞いた生徒達は表情を曇らせて頷いていたらしい。


 小田先生はそんな生徒達の反応を確認すると「そして、この能力を悪い事に使うと友達がみんなの事を嫌いになって、話しをしてくれなくなります。お友達とお話し出来ないのは悲しいよね、もう友達が一緒に遊んでくれないって思うと悲しいよね」って言うと、仲良しグループに分かれて、一緒に話しを聞いていた生徒達がざわつき始めたらしい。


 生徒達の反応を確認した小田先生は「そして、もし悪い事に使うと、お腹が痛くなって動けなくなります。みんなはお腹が痛いのってイヤだよね」って言うと、生徒達はお腹が痛くて辛かった事を思い出しているのか、渋い顔をして頷いていたり、イヤだーって訴えている生徒もいたそうだ。


 千春がお茶を一口飲んで


「話しを聞いててさ、コレってプラシーボ効果やノシーボ効果を利用してるんじゃないのかなって思ったんだよね、そんでこのやり方なら、僕も生徒達に攻撃魔法を教えても良いかもって思ったんだよね。ホントに小田先生って凄いって思ったよ」


「だなあ。教え方は色々だけど、生徒が理解出来るまで難しい話しを長々とするよりも、その教え方の方が生徒からしたら、悪い事をしたらどうなるのか分かりやすいからなあ」


 直樹も頷いて感心していた。俺はお茶を飲んでちょっと気になったので


「でも、悪い事に使うと身の回りでイヤな事が起きるって話しにするなら、眠っている間に怖い人に連れて行かれるとか、お化けが出て来るとか、そっち系で恐怖を煽った方が効果的だったんじゃないのか」


 すると千春が


「うん、僕もそう思ったから小田先生に聞いてみたんだよね、そしたら今ってイメージと想像力で色んな事が出来るから、生徒達のイメージと想像力が変に働いて、思い描いた恐怖が具現化する可能性があるかも知れないから、なるべく抽象的な事じゃなくて、生徒達でも簡単に想像しやすい、具体的な感じの話しにしたんだってさ」


 う~ん、最悪な状態になる可能性も回避しつつ、子供達を上手にコントロールするとかって、やっぱ小田先生ってスゲーな。どんな思考回路をしているんだ。


 アレか色んな事態を常に想定して物事を考えているとか。でも、そんな事ばかり考えているのって面倒くさいし、大変なんじゃんないのかなあ。もし、そうなら俺には出来ない事だから尊敬するわ。やっぱ大人ってスゲーな。


 それと今回の生徒達への話しじゃないけど、世の中には知ってて使っているのか、知らずに使っているのか分からないけど、プラシーボ効果やノシーボ効果に関係している事柄って沢山ありそうだな。


 そのうち気が向いたら、自分の身の周りに潜んでいるプラシーボ効果とノシーボ効果を考察してみるのも面白いかもだな。


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