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第39話 不能

「すっげー、可愛いじゃん」


「今って学校やってないんだよね」


「遊びに行こうよ」


「食べ物もあるから家に来なよ、近くだからさ」


 鼻の下を伸ばした四人の男達が、沙織達に一生懸命声を掛けている。西條さんの家から学校に向かって歩いていると、四人組の男達が声を掛けて来た。


 沙織が腰に手を当てたまま


「忙しいからほっといて」


 麗奈が腕を組んで


「お腹は空いてません」


 西條さんはゆっくりと俺の隣まで下がって来た。


「おおー、声も可愛いじゃん」


「学校無いのに何で忙しいの」


「一緒に遊ぼうよ」


「スナック菓子もあるよ、俺んちが近くだからさ、ねっ、行こうよ」


 男達が全く諦めない。ってかスゲー必死だ。そして、沙織と麗奈がモテモテだ。


 どうしよう、何か言っても話しを聞かなそうだしなあ。かと言って相手にするのも面倒くさいしなあ。早く学校に戻りたいんだよなあ。うっし、決めた。俺に男達の意識が向いていない、今のうちに終わらせちゃおう。って事でちょっと試してみるか。


 う~ん、こんな感じで大丈夫かな。男達が膝から崩れて地面に横になり眠った。男達を包み込む様にスリープの魔法を発動させちゃった。ふむふむ。意外と簡単に眠らせる事が出来るもんだ。


 俺が魔法の効果に満足していると、沙織が振り返って


「なっ、何で眠らせちゃったのよ」


「えっ、眠らせちゃ不味かったのか。相手にするの面倒くさいじゃんか」


 沙織が眉毛を吊り上げて、こっちに近づいて来る


「こういうヤツ等は痛い思いをしないとダメなのよ。せっかくぶん殴ろうとしてたのに」


 麗奈が腰に手を当てて詰め寄って来る


「そうですよ、私と沙織ちゃんで懲らしめようと思って、かなえさんに魔法の準備までしてもらってたんですよ」


 なるほど、沙織達は魔法を使って撃退しようと考えていたのね。だとしても


「いや、それって弱い者いじめだろ」


 沙織が男達を指さしながら


「はーっ、何言ってるの。こんなヤツ等は痛い思いをしないと他でまた同じ事をやらかすのよ」


 麗奈が珍しく険しい表情で


「たまたま私達だったから良かったけど、違う人達だったら危なかったんですよ」


 西條さんが男達を見ながら


「私達の敵よ」


 女性陣が完全にご立腹だ。確かにヤギ予備軍的な四人組だったけど。だけども


「だからって腕力で解決しようとしちゃあ、ダメだろう」


 沙織は呆れた表情で


「話したって無駄よ。こう言う連中はその場では調子良く謝って、絶対に他でやらかすのよ」


 麗奈は浮かない表情で


「克也君は理解出来ないのかも知れないけど、この人達のせいで沢山の女性が辛い思いをするかも知れないんですよ」


 西條さんは眉間に皺を寄せて


「女の敵よ」


 ん~、でも話しが通じないからって、腕力を使うのはどうも次元が低いと言うか、何か違う気がするんだよなあ。にしても女性陣の怒りがスゲーな。ちょっと理解に苦しむけど、女性陣に


「このまま男達は放っといて、もう俺達は学校に戻って良いと思うんだけど、ダメなのかな」


 沙織が腕を組んで


「ダメに決まってるでしょ」


 麗奈は左右に首を振って


「駄目です」


 西條さんは男達を見ながら


「駄目よ」


 駄目なのかあ。どうすれば良いんだ。警察に突き出そうにも組織は機能していないし、こっちは何も被害を被ってはいないんだよなあ。


 俺が良い感じの落としどころを考えていると、西條さんが


「こんな時こそ魔法を使いましょう」


 沙織が首を傾げながら


「どうするんですか」


 男達を見ながら西條さんが笑みを浮かべて


「潰すわよ」


 えっ、良く聞こえなかったけど。今、潰すって言ったよな。


 麗奈が急に笑顔になった


「良いですね、使えなくしちゃえば被害を食い止める事が出来ますもんね」


 沙織も笑顔になって頷きながら


「かなえさん、それって絶対に良いアイデアだわ。うん、そうしましょ。もう、使えなくしちゃいましょ」


 えー、やっぱりアレを使えなくする方向で話しが進んじゃっているみたいだぞ。


「なあ、別に男達の味方をする訳ではないけど、そこまでしないと、駄目なのか」


「ダメに決まってるでしょ」


「駄目です」


「駄目よ」


 そっかあ、駄目なのかあ。ん~、使えなくしちゃえば被害を食い止められるって麗奈も言ってたし、俺が思っている以上に女性からしたら重要な事なんだろうな。西條さんに関してはヤギに何度も襲われそうになっているしなあ。でも、だからって、不能にしちゃうってのは、ちょっとやり過ぎのような気がするんだけどなあ。


 沙織が眉間に皺を寄せながら


「イメージ、イメージ、ちょっと上手くイメージが出来ないわよ」


 麗奈が困った表情で


「う~ん、潰すにしろ切断するにしろイメージが出来ないと魔法が使えないよね」


 西條さんは表情を曇らせて


「上手くイメージが出来ないから、違うモノを潰しちゃうかも知れないわよね」


 何やら女性陣が難しい顔をして話し込んでいる。三人とも冗談じゃ無く真剣だからスゲーこえーし、話しを聞いていると下半身がゾワゾワして来るよ。


 う~ん、早く学校に戻りたいなあ。ってな事を考えていたら、女子三人が俺をジッと見ていた。


「ん、どうしたんだ」


 沙織が困った表情で

 

「克也がやってよ」


「なんでえ、俺なの」


 沙織が麗奈を見ると、麗奈が言いにくそうに


「私達じゃイメージ出来ないんですよ」


「何がイメージ出来ないんだ」


 麗奈が西條さんを見ると、西條さんも言いにくそうに


「私達には無いから、想像すら出来ないのよ」


「何が想像できないんですか」


 西條さんが沙織を見ると、沙織が言いにくそうに


「私達には、生えて無いでしょうが」


 あ~、そうだよねー。女子には生えてないんだもんね。ん~、となると俺がやるしかないのかあ。


 でもなあ、何か色々と人権やら法律やら難しい問題が有りそうなんだよなあ。女性陣が言うように、こいつ等を野放しにしたら辛い思いをする人達が増えるかも知れないってのは、何となく理解する事は出来るんだけど。本当にやっちゃって良いのかなあ。


 う~ん、でも何か色々と考えるのも面倒くさくなって来たな。


 よし、早いとこ男達を不能にして学校に戻るか。


「あいよ~、分かったよ。さっさと済ませて学校に戻ろうぜ」


 ヤギ予備軍の男達に制裁を与えると、沙織達はまるで何事も無かったかのように、お喋りを始めると学校に向かって歩き始めた。

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