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第29話 新たな魔法

 俺は昨日のヤギとの戦闘を思い出しながら直樹に


「衝撃波って普通にジャブ打つのと比べると弱いよな」


「だな、手打ちのジャブと同じくらいの威力だったな。でも手が届かない間合いの外から当てられるから、牽制をする分には役には立つけどな」


 離れていたヤギを衝撃波で気づかせて、こっちにヤギが向かって来たのを思い出した。


 左右の衝撃波を打ちまくったけど、ヤギが止まることなくこっちにドンドン向かって進んで来た事を思い出しながら


「だよなあ、牽制攻撃だったらかなり役立つけど、決定打ってなると頼りないんだよなあ」


「俺はジャブやストレートみたいに何度も練習をして手応えに自信が持てれば威力が上がると思うぞ。魔法ってイメージが大事なんだろ」


「かもなあ、反復練習して手応えを感じられたら、もう少しダメージが増すのかも知れないなあ」


 俺と直樹は飲食兼休憩エリアで、魔法を使った近接戦闘について話し合っていた。


 北野先生の話しを聞いて俺達も色々と備えておかないと不味いと考え始めた。


 駅周辺にはヒトデナシはいるし、殴り合って食料を奪い合っている人達がいたり、とても危険な状態だったそうだ。


 北野先生は学校周辺の防犯警備を強化して、ヒトデナシと強盗からの襲撃に備える必要があると、真剣に話していた。


 すると千春が、俺達が魔法を使えるんだから今後魔法を使った強盗と遭遇する可能性があるかもしれない事を指摘した。それならば魔法が使えるヒトデナシにも遭遇する可能性があるかも知れないと考えて、俺達は対魔法戦闘も考慮して色々と準備をする事に決めたのだった。


 俺はお茶を一口飲んでから直樹に


「試合じゃないんだから素手に拘らないで何か道具とか使うか」


「道具か。グローブが使えればもっと力を入れて殴れるな」


 俺は武器って事で道具って言ったんだけど、直樹は防具って思ったみたいだった。でも、確かにグローブがあるとだいぶ違うかもな


「んじゃ、レガースとか脛当てみたいな物が欲しいよな」


「だな、そしたら怪我とか気にしないで思いっ切り蹴られるな」


 北野先生がキャッチャーのプロテクターを装備していたから、脛当てならあるのかな。


 でもどうなんだろ、動きやすいのかな。脛は守れるけど動きが悪くなるのなら、着けたくないな。ってな事を考えていると、直樹が


「拳とか脛に千春の壁みたいなの、着けられないのかな」


「ああ、確かに壁ってイメージすると硬いけど。グローブやレガースみたいな物をイメージして、拳と脛を守るって想像すれば意外と出来ちゃうかもな」


 俺は早速、魔法で拳を保護するグローブが作れないかイメージしてみる。直樹もイメージしているみたいで、真剣な表情で右拳を見つめていた。


 すると、直樹の右拳が光り始め


「グローブを常に装着してるイメージだと、ずっと意識してなと消えて無くなりそうで難しいな。けど、インパクトの瞬間だけグローブを発生させるイメージなら、いけそうだな」


「すげえな、もうそれっぽいの出来たのかよ」


 魔法に馴染みのない直樹が、俺より先に魔法でグローブをイメージ出来ていてビックリしたよ。ビックリしたけど俺は良い事を思いついたので


「後はインパクトの瞬間にグローブが爆発するイメージを追加したら、相手へのダメージが増すかもな」


 直樹が目を見開いて


「かっちゃん、それ良いな。かなりKO率が上がるんじゃないか。殴って相手が爆発してぶっ飛ぶとか、想像しただけでワクワクするな」


 おお、直樹が目を見開いて喜んでいる。普段から感情の起伏が少ない直樹だから、たまに感情を表す姿を見られると、ちょっと得した気分だ。


 直樹は右手を光らせながら、拳を握ったり開いたりして


「掴んで崩したり、投げたりもしたいから、オープンフィンガーグローブをイメージするか」


 直樹は空手も習っているから、キックボクシングだけじゃなく空手の技も使えるもんな。殴るだけじゃなくて空手の技で相手を掴んでバランスを崩したり出来たら、戦闘の幅が広がるんだろうな。


「シャドウでグローブとレガースの調整をして来る」


 直樹は俺にそう告げて席を立つと、折り畳みのテーブルが設置されていない校庭の広い場所へ向かって歩いて行った。


 席を立って歩いて行く直樹に気づいて、俺の正面に座っている千春が


「ねえ、なおっきーはどこに行くの」


「ん、拳と脛を保護する魔法を考えたから試しに行った」


 西條さんが少し驚いた様子で


「へー、そんな事も出来るんだあ。でも何で拳と脛を保護する魔法なの」


 俺はシャドウボクシングを始めた直樹の光る拳と脛を見ながら、西條さんに


「素手で殴ったり脛当てしないで蹴った時って、当たりどころが悪いと拳と脛を痛めるんですよ」


「へーそうなんだ。殴ったり蹴ったりした事が無いから、分からなかったわ」


 千春が直樹のシャドウを見ながら


「言ってくれたらヒールしてあげるのに」


「治るって分かっていても、やっぱ痛いのはイヤだからな」


 俺が苦笑いしていると、千春と西條さんはこっちを見て納得って感じで頷いていた。


 千春と西條さんがヒトデナシや強盗達に対して、魔法でどう対応するのか気になったので聞いてみると


「私達は蹴ったり殴ったりは出来ないから完全に後衛になるでしょ。だから相手に対して遠距離からの魔法攻撃を仕掛けるか、あるいは魔法で相手をかく乱させて味方を援護するって感じになるでしょうね」


 すると千春が


「うっちー達って敵の動きが止まってたり遅くなったりしたら、戦う時はラクになるの」


 俺はお茶を一口飲んで


「相手が止まってれば攻撃を当てるのはラクになるし、動きが遅ければ相手の攻撃を回避しやすくなるから、そりゃあラクになるな」


 西條さんもお茶を一口飲んで


「じゃあ、内田君の動きが速くなるのはどう、戦う時にラクになるのかしら」


 俺は自分の動きが突然速くなるのをイメージして


「蹴ったり殴ったりって、相手との距離やタイミングがけっこう重要だったりするんですけど、もし自分の動きが急に速くなるって考えると、たぶん普段の動く速さと違うからタイミングとかがずれて、相手に対して上手く打撃を当てられなくなるかもしれませんね」


 俺の話しを聞いて、千春と西條さんがちょっと良く分からないって感じの表情をしていた。すると西條さんが


「内田君と森下君って何人くらい相手に出来るの」


 西條さんが何を聞きたいのかちょっと分からなかったので答えに困っていると


「えっと、私って格闘技とかってやった事が無いから良く分からないんだけど。テレビとかで観てると、だいたい一対一で戦ってるでしょ。千春君と複数のヒトデナシとか強盗達と遭遇した場合にどう対処するか話してて、前衛の内田君と森下君の二人が何人までなら戦えるのかなって思ってね」


 なるほど、西條さんが聞きたい事を何となく察したので


「直樹は空手も習ってるからどんな動き方をするのかは後で本人に聞いてみて下さいね。んで、何人相手出来るのかってのは、ある程度の空間があれば体力の続く限り何人でも相手に出来ますってのが答えです。色んな動き方があると思うんですけど、俺は多人数との戦い方を習ってないから、基本的に一対一になる様に立ち位置を調整しながら動いてます」


 西條さんが話しについて来れているのか、表情を確認してから


「複数の敵に囲まれて身動きが取れなくなるのがイヤなので、一か所に留まらない様に常に動きまくるし、腕とか足とか掴まれて動きが止まって袋叩きにされない様に、やっぱり動きまくる必要があるので、ある程度の空間、広い場所が必要ってのが条件なんですけどね」


 俺の話しを聞いて千春と西條さんが、へーそうなんだあって感じで頷くと、千春が


「じゃあ、やっぱり敵の動きが止まってたり、迫って来る敵の動きが遅かったりしたらラクになるんだね」


 俺はその通りだぞ~って感じで大きく頷く。


 千春と西條さんが俺に聞こえない様にひそひそ話を始めた。すると二人は俺を見てニヤニヤし始めた。


「試したい魔法があるから、内田君に協力して欲しいんだけど。頼めるかな」


 なんと、西條さんがちょっとモジモジしながら上目遣いで俺にお願いしてきた。


 ヤギに襲われる残念なお姉さんって印象だったけど、だいぶ俺達と打ち解けて来ているのかな。まあ今回は千春に何か吹き込まれたんだろうけど、俺の中での西條さんの印象が少しづつ変わって来るなあ。


 俺は西條さんに


「どんな、魔法を試したいのですか」


 西條さんは微笑みながら


「戦闘中にぶっつけ本番は危険だから今のうちに練習しないとだもんね~」


 と言って、体の動きが遅くなる魔法スロウをいきなり発動してきた。

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