夙川の桜と一葉の写真にまつわるエトセトラ
私の小説『園田さんと今津くん(https://ncode.syosetu.com/n9407fd/)』では、春爛漫の季節に夙川でお花見をするシーンが登場します。
そこで起きた若い二人の青春ラブコメについては、作品をお読みいただくことにいたしまして、こちらでは、冒頭に用意いたしました一葉の写真について解説していきたいと思います。
ずいぶんと古めかしい写真でしょう? 右下の数字から、一九九九年の三月三十一日に撮影されたものだと分かります。
でも、二十年前の当時では、アドバンストフォトシステムを使った、真新しいハイビジョン写真だったのです。
……と言っても、ティーンエイジャーのみなさまには、ピンと来ませんかね。
早い話が、フィルムカメラの最先端技術を駆使して写されたものということです。
デジタルカメラが廉価に普及するまでには、こういう時代があったのだと思ってください。
でですね。
歳がバレる前に話を元に戻しますと、この桜のアーチこそが、毎年変わらず、春の夙川を彩る風物詩なのです。
この道は、地元ではオアシスロードと呼ばれている場所なのですが、南北三キロ弱の河川敷に、のべ千六百本以上の桜が咲き誇るといえば、規模の大きさがお分かりいただけるでしょう。
余談ですが、ここ夙川河川敷緑地は、一九九〇年に「日本さくら名所百選」に選定されています。
三月末から四月初旬にかけての行楽日和に、友人同士、恋人同士、あるいはご家族揃って、一度、夙川までお越しくださいませ。
きっと、この格別の美しさと儚くも潔い姿をご覧になれば、何かしら心に響くところがあるはずです。