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輪廻転生リユニオン  作者: 新城ミキヤ
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第一章4話 のりのいい先生






 時間が経過していくと自己紹介は終わった。先生は自己紹介終了した後に、自分の事を語り始めた。


「では、次は俺だな・・・こほん。先程言ったように、俺の名前は浜岡京谷だ。この学校は設立されて今年で6年目。俺は普通の学校に通っていたから能力は使わないように指示されていた。だからこの学校を出身したわけじゃない。講師歴は3年。まあ、若手だな。だが一つ、生徒たちに言いたいことがある」


 先生は目をつぶり、何か決め台詞でも言うかのように右の人差し指を突き出した。そして目を見開く。


 生徒たちにとっては、なにか重大な事を告げると思っていた。だから出てくる冷や汗を我慢し、時間が止まったような静寂を保ちながら息を飲み込んだ。


「お前たち、青春しやがれ!!!」


「「「・・・はい?」」」


 直後、想像していたのとは違ったから、覚悟を決めていた心に緩みができ始めた。クラスでは、誰もが言葉の意味を理解できなかった。


 それは、単語を知らないから理解できないのではない。なぜ今、このタイミングでこの言葉が出てきたのかが分からないのだ。だから青春にはまた別の意味があったのだろうかと思えてくる。


「いいか、諸君!青春とは、男と女がチヤホヤするための時代のこと。一生に一度しかない青春。もしこの機会を逃したら、次はない。だったらするしかないでしょ!?男たち!もてたくはないか!?一緒に遊園地行ったり、買い物をしたり、食事をしたり。時にはハプニングも起こるかもしれないんだぞ!?青春は何が起こるか分からない。だからこそ面白いんだ。楽しみたくないのか!?女の子と、イチャイチャしたくないのかぁぁーー!!?」


 まるでお手本の演説の様な素振りを見せている先生。だから予め膳立てしていることがすぐに悟れた。


「せ、先生・・・皆、一緒に青春しようぜ!?」


「そうだ、やってやるぞ!」


「「「おおおー!!!」」」


 クラスの男子、ほとんどが先生の言葉に感銘を受けていた。恐らく、男子生徒の間で「たった一日で男子生徒を風靡した人」となるだろう。勿論俺は青春なんてする気などない。


 だが、心の底は青春をしたいのかもしれない。ただそれをしたくないと言って自分を騙しているのかもしれない。だが、一つだけわかるのはできるわけがないし、する資格などない。それだけは揺るがない真実だ。


 正直言って、先生はもう少し誠実で真面目な人が良かった。ここまで暑苦しくなると、静かな人たちはついていけず、ぼっちになるだろう。


 ましてや、隣の天音のような人物になるとなおさらだ。ボッチ生活を好む彼女にとって、あのような先生はただの障害物でしかない。


 先生の自己紹介が終わると先生は廊下に並ぶよう命令した。順番は主席番号順だが、まるで、形だけ並んだような風景が広がっていた。


 体育館につくと椅子が用意されていて、そこに座って他クラスの到着を待った。そして、全員着席と共にオリエンテーションは始まった。


 まずオリエンテーションの始まった直後に校長先生と、学年代表が舞台の上で対面した。校長先生の「入学おめでとうございます」という言葉に対して代表者は一礼した。


 ちなみにこの学校での代表者は試験のテストで1位になったものがなっている。彼の名前は三浦連戸(みうられんと)。黒髪でとても綺麗な上に艶があり、身だしなみは完璧で眼鏡をかけている為、より真面目さを引き出している。


 オリエンテーションと言うのはこの学校で求められているもの、通学手段、授業風景、学力テスト等を話された。


 これは別に楽しいものではない。それは先生も一緒だった。何かに縛られて仕方がなく前に立って話している、そんな様子だった。


 長い時間を経て、オリエンテーションは終了した。先程まで堅苦しかった雰囲気はどこかへ飛んでいき、今はクラスに着いていないのにも関わらず、喧騒状態になっていた。


 よくそんなに会話が続くよな、会話のネタは一体どこから出てきているのだろうか。余り会話を得意としない白竜にとって、会話とはかなり鬱陶しいのだ。


 だが、そう思っているのもほんの僅かだったのかもしれない。帰っている最中にあるクラスの男の子が白竜に話しかけていた。


「君は白竜だったよな!?」


 男子として普通の青い髪、背丈は白竜より少し高め。男子の割には鋭くない目付きはまるで女性を引きつけるためのチャームポイントのような働きを。


 そんな彼が白竜に話しかけてきた。


「(初対面なのになかなか馴れ馴れしいもんだな。親の顔が見てみたいよ)」


 なんて思ったが、せっかく話しかけてきてくれたのだし、会話という難題を続けてみることにした。


「ああ、そうだ。君は・・・」


「俺は長野轡(ながのたずな)という。轡と呼んでくれたら嬉しいよ!」


「そう・・・それで、轡は俺になんの用があるんだ?」


「いや、別に君が暇そうにしていたから話しかけただけだよ」


「・・・本当の目的はなんだ?」


 俺は嘘をついているように見えた為、再度質問した。


 すると、轡の様子は変化し始めた。いきなり周囲を見渡し始め、人目を疑い始めた。それに気づいた白竜は耳を轡の口元に近寄らせて喋るようにジェスチャーした。

 

「実は、聖奈ちゃんにお近づきになりたくて、仲良さそうなので話していたら喋れるのではと思いまして」


「・・・どうして嘘をついた?」


「俺はただ、青春をしたくって・・・」


 そう言って、嘘がバレたから少し悲しそうな表情を浮かべた。だが、轡は再び白竜を見つめた。


「でも兄ちゃん。タダで、とは言いませんぜ?今ならこれが貰えますよ?」


 右手で輪っかを作ってお金のマークを突き出してきた。どうやら轡は白竜を懐柔するのを目的としてやってきていたのだ。俺はそのマークを見ると一発告げてやった。


「いくら出す?」


「月500円でどうですか?」


「いいや、1500円だ。」


「・・・じゃあ、750円!」


「今なら1200円なら許してやる、」


「・・・頼む、1000円が限界なんだ。1000円払うから。なあ、お願いしますよ」


「・・・分かった、交渉成立だ。協力してやろう」


 何をしているのだろうかと自分で自分を殴りたくなった。だが、時々面倒くさい聖奈を引きつけると言っているようなもの。自分には利益しかない。


 クラスに戻ると時刻は12時を過ぎていた。この時間に弁当を食べるように説明を受けていた。だから白竜は妹が作った弁当を取り出し、一人で虚しく食べた。


 だが、やはり邪魔者がいた。聖奈は俺の机のところに椅子を持ってきて弁当を置いた。


「・・・何をするつもりだ?」


「決まっているでしょ?一緒にご飯を食べるのよ・・・ねえ!天音ちゃんも一緒に食べない?」


 俺の隣にいる天音にも誘うのか。それは無理がある問題だ。例えるなら、レベル1でボスを倒すようなものだ。


「お言葉は有り難いのだけど、悪いが私は一人で食べるつもりなの。あなた達との食事は遠慮しとくわ」


 天音はスマートフォンをいじりながら返答した。


「どうして?みんなで食べたら楽しいよ?」


「私にとっての楽しいは一人で食べること。私は自分のしたいことをしているだけ。それでも愚問があるなら言ってみなさい」


 人それぞれ楽しいという感情は違う。だから天音の言葉は正論だった。反論する為の道がないのは予想していたが、ここまで手強いとは思っていなかった。


 それでも、恐らく聖奈は諦めないはずだ。大抵のラノベは元気のある人が暗い人と仲良くなりたいから、色んな行動を伴うはず。と言うことは、まだ口論は続くということ。


「・・・で、でも!私は天音ちゃんと一緒に食べたいの!ねぇ、お願い!」


「(やっぱりそうだった。でも聖奈、その行動は間違っている。人の嫌がることをするなんてあなた最低ね、なんて言われたら終わるぞ)」


 ムキになりすぎて、言われる言葉を予測できていない。大抵の奴は今まですぐに心を捕まえていたのだが、今回の敵は別格。勝つためには時間がかかるだろう。


「・・・私の迷惑にならないのなら、そこで食べてもいいわ。食べる場所は自由なのだから」


 どうやら、さすがにそう言った類の言葉は言わなかった。


 今まで楽しそうな表情をしている聖奈ばかり見ていた白竜。だが、今日は珍しく少し悲しそうな表情をしていた。だから白竜はどうしても解けないことがあったため、質問を投げかける。


「・・・なあ聖奈。どうしてそんなに天音にこだわる?」


「・・・私、今まで誰とでも仲良くなっていて、断られることはなかったから・・・。だから少しだけ悔しくて」


 その表情を見て白竜は一瞬躊躇ったが、大きなため息をついた後、覚悟を決めた。聖奈のお弁当の中にある卵焼きをお箸で掴み、口元に突き出す。


「ほら、食えよ・・・お前にはそんな表情似合わないからさ。その、俺がいるから今は十分だろ?」


 顔を見るのも恥ずかしい。だから隠しきれない同様をそっぽを向いて隠したのだが、顔の頬にいつもはない熱が感じ取れた。


「うん、ありがとう!」


 最高の笑顔で対応する聖奈は、そのまま突き出された卵焼きを優しく加えて食べた。


「んー!!ママの作る卵焼きを普通に食べても美味しいけど、ハー君に食べさせてもらう卵焼きは格別だよ!・・・あれ?赤くなってる!」


「なってない!・・・予め言っておくが、絶対にもうしないからな!一度だけだからな!」


「えぇーー!」


 不服そうな発言をしたのだが、その後軽く微笑み白竜に言った。


「まあ、いっか!でも、まさかハー君が私にあ~んしてくるなんて思わなかったな!よっぽど間接キスがしたかったのね。大胆〜!」


「調子にのるな!ほら、さっさと食わねぇと次の部活紹介に間に合わなくなるぞ!」


 馬鹿なことを言う聖奈。酷いことを言っておきながらも、本当は聖奈のことを大切にしたいと思っているのかもしれない。この事は、口が避けても彼女には言えない秘密だ。


 昼食が終わると再び体育館に集合し、今度は紹介部活が行われた。先程の静寂な雰囲気とは対照的に、体育館は大いに盛り上がっていた。


 部活をやる理由なのだが、まずは普通の学校だと知らしめること。次に部活をしていると他の学校を知ることができるので、より普通らしい学校にすることができる。そして最後はやっている本人が楽しむためだ。

 

 今はまだ予定のない白竜だが、恐らく部活に入ることはない。仮にやるとしてもせいぜい簡単で時間もとられずに、手軽な部活にするつもりだ。


 「皆さん、盛り上がってますかーー!!!」


「「「「はーーーーーーーい!!」」」」


 もしここで白竜がみんなと同様に大声を出したらその後、枯れることは確定している。のりのいい生徒たちは盛り上げる為に声を出しているものの、何がその行動を突き動かしているのか理解できなかった。


 最初にサッカー部がやってきて、バスケットボール部、陸上部、水泳部など、多くの体育系の部活。他にも美術部、科学部、料理研究家、等と様々な部活がある。


 そして時間は矢のように流れていき、白竜や天音以外の人たちからすると楽しい部活紹介は終わりをむかえた。




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