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狼、森を抜ける

 いやぁ幸運だなぁ。

 森を進んでいるとティナの知ってる果物が実ってたから、肉以外にも栄養素が取れる事になった。

 特に子供のうちはバランスよく食事を取る事が大切だ。

 できればあとは緑色野菜系があれば文句ないのだが……。

 まぁ森でそんなのは生えてるわけないし、早いところ森を抜けたいところだな。


 てか俺って魔獣だけど、ティナを乗せて大人しいから街とかでもなんとか……ならないかな?

 ほらー大人しい狼だよー危なくないよーみたいな感じで。

 もしくはテイムとかされてるから安心だよーとか?

 さすがに野生の狼でテイムも何もしてないとかだったら危険って思われるもんな絶対……。


 〔ティナ〕


 「どーしたの?」


 〔一応俺の事はティナが飼い主って事にしといてくれ。それと魔獣を使役とかってあり得たりするのかわかるか?〕


 「んーっと、おとーさんがていまーはまじゅーを使役するっていうのは教えてくれたよ?」


 よし、それなら問題ないな。


 〔じゃあティナ、悪いがもし人と会ったらティナはテイマーという事にしてくれ〕


 「なんで?」


 〔ティナがテイマーなら俺はそのティナに使役されてるって説明できるだろ? そうすれば街とかにも入れるだろうし〕


 難だったら先祖代々から使役している魔獣なんですって言えばある程度は大丈夫だろう。

 魔獣によってはきちんと調教されてれば子供でも使役できるとかきっとあるだろうし。

 俺は子供でも大人しく指示に従う良い狼だって事にしよう!


 っと、日も落ちてきたな。

 今日はここら辺で野宿するか。


 〔ティナ、今日はここら辺で休もう〕


 「はーい」


 さて、薪となる枝を適当に集めて焚火にしてっと。

 あとは異次元空間から果物を出して、敷物として余った熊の毛皮の上に置いてっと。

 そんで最後に肉は影に突き刺して焼く。

 お手軽料理の完成!


 焼けた肉をティナに渡して次を焼こうとするとティナが待ったを掛ける。


 「アル、ティナはこのお肉とこの桃だけでへーきだよ?」


 〔んっ? そうか?〕


 「うん!」


 まぁティナがそう言うならいらないのだろう。

 俺は余った果物をしまい、自分の分の肉を食う。

 一応焼いたのも食ってみたが、なんか生の方が美味しかったので俺は生で食う。

 まぁこの森もいつ抜けれるかわからんし、食いすぎないようにセーブしよう。

 ……って、もしかしてティナその事を考えて食べる量を抑えてるのか?

 俺は先程しまった果物を再びティナの前に出す。


 〔食え〕


 「でっでも……ティナ……もう一杯食べたから……」


 〔今決めた! 俺がティナの保護者である限りは食事の時はティナに腹一杯食わす! だから遠慮するな!〕


 「……いいの……?」


 〔あぁ! 別に食べ物なんて俺がぱぱっと採ってきてやる! 匂いは覚えたからな!〕


 狼だけあって鼻はいいからな!

 本気で探せばすぐに方向もわかるし。


 ティナは俺が渡した桃を小さな口で噛り付く。

 するとティナの目から涙が零れた。

 俺は何かしてしまったのかと焦るが、その表情はどこか嬉しそうだった。


 食事も終わるとティナはすぐに毛布に包まって俺の身体に寄り掛かって眠ってしまった。

 大分疲れていたのだろう。

 焚火は付けたままだから野生の動物とかはそうそう近付いてこないだろう。

 つか、近付いてきたら食料にしてやる。

 って、俺も結構思考が狼っぽくなってきたな。

 追い払うじゃなくて食料にするって辺り、そういう思考の浸食とかあるんだろうか。

 まぁいい。

 今はティナの面倒を見るという大きな仕事がある。

 自分の本当の名すら思い出せないが、ティナが付けてくれたアルという名。

 これは大切にしよう。



 それから十数日後、俺らはようやく森を抜けて街道らしき場所に出る事ができた。

 途中でかい鶏っぽいのに会うわ、でかいワニっぽいのに会うわ、でかいワシっぽいのに会うわ何だこの森怖すぎんだろ。

 いやまぁ一発吠えるとほとんどの魔獣がビビって動かなくなるから楽といえば楽だったんだが……。

 やっぱりこの狼この森の主とかそういうのじゃないかと思ってくる。

 でもそんな主だったらティナがビビらないわけないし、恐らくあの威嚇がめっちゃ強い狼なんだきっと。


 〔さてと、少し水風呂っぽいところに入って気分的に綺麗になりたいところだな〕


 「ティナはアルがきれーにしてくれたから別にいいよ?」


 そう、俺は何故か血とかで汚いなーって思うと一瞬光って綺麗になる不思議な事ができる。

 一応ティナにも綺麗になれーっとかやってみたら、なんとティアも土埃とかの汚れが落ちて綺麗になっていたのだ。

 だがあくまで見た目はだ。

 精神的にはただ綺麗になれーで汚れが落ちたからといって、気分までリフレッシュされるなんてことはないだろう。いや、ない。

 だから池でもいいから身体を綺麗にしたいのだ。

 なら水操ってやればいいじゃんと思うだろうが、魔法っぽいので身体洗ってもなんかあれじゃん。

 そうだよ気分だよ!

 どうせ身体を綺麗にするなら池とか湖がいいっていう俺の我が儘だよ!

 最高は風呂だけどよ!


 〔てかここどの辺だ?〕


 「ティナもわかんない……。村の方じゃないのはわかるけど……」


 まぁ街道があるんだからその先を進めば村やら街やらに着くだろ。

 つっても金がねえなぁ……。


 〔森で取った魔獣の素材売れっかなぁ……〕


 一応ほぼ一撃で倒したから損傷はそこまでじゃないと思いたいが……。


 「アルから出てきた魔石っぽいのは売れないかな?」


 〔あーあれね〕


 何やら俺の身体からポロっと魔石っぽい真っ黒な直径5cm程の石ころがたまに出てくるんだよな。

 てっきり魔石かと思って食べてみたが、力も沸いてこないし何も起きなかった。

 だから俺の排泄物かと思ってその時は後悔したが、その石ころをティナが掲げるとさっき言ったでかいワシっぽいのが襲って来たりしてきたんだよな。

 でも魔石だったら食えばパワーアップ的な何かに繋がるはずなんだよなぁ……。

 ってことで、用途不明効果不明って事でその石ころは異次元にしまっている。

 まぁ街に着いたらティナに聞いてもらおう。

一先ず更新は朝8時にしようかなと思います。

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