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狼、旅の報告をする

 王都へ到着し、俺はフローラ含むヴィトニル族の件とライルたちの件を伝えるため、王様に謁見を申し込んだ。

 謁見自体は割とあっさりと通り、俺、ティナ、マオの三人で王様と会う事となった。

 その間システィーナさんはライルとレイラを見張ってる(という名目)で待機してもらった。



「なるほど、話はわかった」


 〔ということで何かしらノヴァ公国からアクションがあるかもしれないから、そこについてはよろしく頼む〕


「構わん。そもそも金銭の取引をするのであろう。然程問題はないだろう。それよりもレゾ王国の元貴族の方が少々厄介事になりそうであるな」


 まぁ一種の亡命みたいなもんだしな。


 〔つっても自分たちで捨てといてそこで文句言うのかぁ……〕


「それが国というものだ。だがその事を知っているのは関所の兵士とそなたたちだけであろう? それならばその者たちに緘口令を敷けばよいだろう」


 〔そういうものなのか?〕


「そもそも我らはレゾ王国の民の顔など知らないのだからな。何か言われてもわからぬの一点張りでいいだろう」


 うへぇ……。

 ごり押しだこれ……。


「それとヴィトニル族の住処については二人の功績次第で特区を設ける形になるとは思うがのぉ。まぁそれに関しては冒険者アルが我が国と友好的に接してくれる事が前提となるがの」

「特区となったらマオも魔国から独立保障の条約を結ぶように父上に進言するから、後ろ盾は安心してくれたまえ」


 〔おっおぅ……。随分頼りになる後ろ盾な事で……〕


 独立保障って事はあれだろ?

 領土的にはレスティア王国の領土だけど、もし手を出したらレスティア王国だけじゃなくて魔国も介入するぞ? ってことだろ?

 やべえよやべえよ。


「だがレゾ王国はまたも勇者を呼び出したのか。今度はどこへ出兵させる気なのだろうか……」

「その事でマオも一度魔国に戻る必要があるので、しばらくこの地から離れる事になりそうだよ」

「ではその時は魔王様へよろしくお伝えください」

「あぁ、レスティア王国にはよくしてもらっていると伝えておくよ」

「ありがとうございます」


 ……これは高度な政治的取引というやつが働いているのだろうか?

 俺にはさっぱりわからねぇ……。

 ティナなんて話が難しいのかぼーっとしてるし……。


「えっと、マオちゃん帰っちゃうの……?」


 〔一時的にだ。勇者の事で報告しないといけないからな〕


「じゃあ戻ってくるの?」


 〔あぁ、だから心配しなくていいぞ〕


「うんっ!」


 ティナは素直でいい子だなぁ……。

 将来が心配になるぞ……。

 変な男に騙されないかで……。


 〔まぁ報告する事はそんなとこだな。何か聞きたい事とかあるか?〕


「いや、今話した事以外には特にないであろう。それにその元貴族は二人が面倒を見るのであろう? ならば後は任せるとしよう」


 〔おいおい押し付けやがったな〕


「はてさて何の事かわからぬな。二人が道中拾った旅人の事にわざわざ我が国が介入する必要などないからな」


 元貴族とか言っておきながらその後すぐに旅人扱いか……。

 いい性格な事で。


 〔わーったわーった。なら兄が薬師やりたいとか言ってるから、その許可証とかあるならくれ〕


「ふむ。それなら一通りの試験を受けてもらう必要がある。それに合格し次第発行するよしよう」


 〔あいよ。その事伝えておくわ。試験日とかは?〕


「準備が出来次第城の門番に伝えるように。あとは王宮薬剤師に任せるのでな」


 うわ、投げやがった。

 王宮薬剤師すまん、急な面倒事させることになって。


「それと冒険者ティナ」

「はっはい!」


 急に声を掛けられたため、ティナは身体をビクンと反応させて王様の顔を見る。


「旅をしたノヴァ公国はどうであった? 思った事をそのまま口にせよ」

「えっと、じょーもんとか凄かったです! それとどれーさんとか一杯いたけど、そこまで暗い顔してなかったです! えーっとあとは……」

「それぐらいでよい。なるほどよくわかった」

「はいっ!」


 ティナはふぅと一息ついて胸を撫で下ろす。

 んーこれは子供の観点からどう見えたかっていう事か?

 まぁ大人と子供じゃ見てる部分も違うしな。


「では冒険者ティナ、これからも頼むぞ」

「はいっ!」


 はてさて何に対して頼むぞなんだか……。

 あっ。


 〔そういや北のレゾ王国の方にこの国の冒険者のやつらが行ったって言ってたが、それってどうなったんだ?〕


「それについてはまだ連絡が来ていない。冒険者アルでもあるまいし、そんなに早く移動できるわけではないのでな」


 〔そりゃごもっともで……〕


 ダールトンのおっさん平気かねー?

 まぁ何かしらの救援要請とかがあったら向かうとするか。

 つかダールトンのおっさんに影狼つけときゃよかったなこりゃ。

 って、影狼と言えば。


 〔影狼の研究とかどうなってんだ?〕


「あぁ。それについては研究者たちも一度報告したいと言っていたぞ。なんなら帰りに研究室の方でも行くといい。案内させよう」


 報告したい事?

 一体なんだろうか?

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