表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/39

狼、頼みごとをされる

 翌日になるとジークやダールトンたちが王都へと帰ってきた。


 〔おけーりー〕


 俺はギルド会館で待っているようにと早馬での伝言を受けたため、ティナと一緒にジークたちと待っていた。


 「あぁ、ただいま……と言いたいところだが……」

 「街中でちょこちょこ見かけた影狼は何だ……?」


 〔あぁあれか〕


 フィリアのお母さんに付き従わせていた影狼の評判が予想以上に多かったのもあるけど、昨日の事件での被害者への謝罪の意味を込めてお手伝い用に影狼貸し出したんだよな。

 影狼も影操れるからある程度の補佐はできるしな。


 「なっなるほど……」


 〔んであまりに好評だから、工事とかそういった手伝いの貸し出し業でもしようか考えちまう程だぜ〕


 「アルのぶかのおーかみさんいーこなんだよ! おじーちゃんやおばーちゃんの荷物もってあげたり、高いところでさぎょーする人をささえたりしてるんだよ!」


 ティナがぴょんぴょんとはしゃぎながら影狼の良いところをアピールをする。

 うん、可愛い。


 「貸し出し業は一先ず置いとくとして、アル、身体に何か異変とかは本当にないのか?」


 〔んっ? あぁ、特に問題はないぞ?〕


 「そうか。……私はこれから陛下へ今回の事件の顛末を報告する必要があるのだが、その参考人としてティナ君とアルに同行してもらいたいのだがいいだろうか?」


 〔俺は構わないぞ。ティナはどうだ?〕


 「ティナもへーきです!」

 「すまない。では行くとしよう」


 俺はティナを乗せてジークについていき、城へと向かった。



 「そういえばアル、一つ聞きたい事があるのだが」


 〔なんだ?〕


 城へと向かっている最中、ジークが俺に尋ねてきた。

 影狼はこれからも増やすのかということだ。

 まぁ増やせるならティナの護衛の意味で増やしたいし、今回みたいに人手を分けたい場合にも使えるしな。


 〔まぁ支障がない程度には増やしたいって思ってるな〕


 「そうなら一つ頼みたい事があるのだが……」


 〔何だ?〕


 ジーク曰く、アルスキラウルフはともかく影狼の生態はほとんどわかっていないため、それを調べたいという研究者が少なからずいるらしい。

 そして、兵の育成として魔獣との戦闘経験を積ませてはいるが、そうそう兵を動かす事は他国を刺激するのもあるため、少数での移動でしか簡単には動かせないらしい。

 そこで俺が作れる影狼ならば、ある程度の知性はあるので死ぬ危険まではいかなくても、かなり本格的な訓練が城の訓練場でもできるのではないかと昨日の件で思ったらしい。

 勿論その訓練相手の影狼を使い捨てるような事はせず、治療も行うということだ。

 まぁいくら増やせるって言っても自分の部下が使い捨てにされるような申し出は受けたくないわな。


 〔てか研究ってどう調べるんだ?〕


 「私は詳しくはわからないが、下級影狼は姿を変えられるだろう? それがどうなっているかが不思議らしく、調べたいという事を以前聞いた事がある。まぁその時はアルが影狼の事を知らなかったら言う気にはならなかったがな」


 あー……。

 確かに研究者からしたらそういう研究対象が近くにいたら調べたくなるわな。

 それも謎が多い魔獣ならなおさらな。


 〔まぁ研究も薬物とかそういうのを使わないならいいぞ。訓練の方もなんなら上級貸すから適当に増やしてもらえ。といっても、貸し出すなら数日後だな。まだ街の手伝いの数足りねえからいくつか増やしたいんだ〕


 「そこは勿論アルの自由で構わない。お願いしているのはこちらなのだからな」

 「ふぁーぁ……」


 俺とジークが話していると、ティナが眠そうに欠伸をする。


 「どうやらティナ君にはつまらなかったようだな」

 「お話むずかしーです……」


 〔まぁ簡単に言えば、俺の部下をジークたちに貸し出すっていう話だよ〕


 「おーかみさん貸すの?」


 〔その中で危険が無いようにっていう約束とか色々話してたってことだよ〕


 「おーかみさん危ない目にあうの……?」


 〔そうならないように話し合いってのが必要なんだよ。俺もティナと色々と相談するだろ? それと一緒だ〕


 「そっかー!」


 おっ、どうやら理解したようだ。

 って言っても、ティナは元々賢いから少し補足すれば理解するんだけどな。

 ホントティナってスーパー幼女だよな。



 そんな事を話している間に城へと到着し、王様の元へと向かい、今回の事の顛末を説明した。

 盗賊団の目的が俺だったりしたことや、そのためにティナが攫われて、その時いた市場に被害が出たこと。

 そして俺がキレて盗賊団を殲滅した事など。

 王様もその被害に遭ったティナに対して気遣ってくれたのはよかった。

 だからティナ、そんな緊張しなくていいんだぞ?


 あとはジークが俺に提案した事に対しての具申といったところか。

 まぁ王様も俺がいいなら試してみるといいとも言ってたし、大丈夫そうだな。

 って、その協力のお礼に金貨5枚ってマジっすか?

 しかも月毎って……。

 一応確認してみたけど、何やらお礼も兼ねてるらしい。

 お礼ってなんだ?


 ともかく、王様は引く気はないらしく、俺らは受け入れるしかなかった。

 これは割とマジで家とかも考えるレベルだろうか……。

 そうなるとせめてお手伝いさんとかそういうのを雇うか何とかしないとなぁ……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ