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狼、転生する

初めての異世界転生物です! よろしくお願いいたします!

 ここは……どこだ……?


 俺は気が付くと木々に囲まれた平坦な場所にいた。


 えっと……。

 俺は一体……。

 っと、まずは確認だ。

 俺の名前は……ダメだ思い出せない。

 だが男という事と、歳が23で会社員だということは覚えてる。

 てか目線がやけに下だな。

 どうやら寝ていたようだ。

 俺は身体を起こそうとする。

 だが、目線はあまり変わらず低いままであった。

 そして自分の手を見てみると、そこには犬っぽい手足が見えた。


 あれ……?

 俺は慌てて周りを見渡すと、小さな池が近くにあったのでそこに顔を覗かせる。


 「わふぅ……」


 つい声が出たはずなのだが、漏れた声は人語ではなく犬っぽい鳴き声であった。

 そして顔を覗かせて映った姿は……。


 「わぉぉぉぉぉん!?」


 鋭い歯に黒っぽい体毛に覆われた犬……というより狼の顔だった。



 池から離れ、先程いた場所にとぼとぼとしながら戻る。

 少なくとも俺は、会社員という事を覚えている。

 ということは少し前までは人間だというのは確実だろう。

 だが今は狼になっている。

 まさかとは思うが、所謂転生というやつに会ってしまったのだろうか……?

 やっべどうしよう……。

 そもそもここどこだ……?


 場所の確認として俺は一旦高いところに登ろうと思い、木の太い枝を目掛けて地面を蹴ってみる。

 すると尋常ではないぐらい高く飛べる事ができ、軽々と太い枝に乗ることができた。


 これ……普通に考えてただの狼じゃねえよなぁ……?

 少なくても5mは飛んだぞ……。

 まぁ今は場所の確認だ。

 俺は一先ず木の一番上へと登る。


 「わふっ……」


 そこには見渡す限り森が広がっており、どこが森の出口か一目ではわからなかった。


 樹海……ということではないな。

 そしたら富士山が見えてもおかしくないしな……。

 ってことはどこだ?

 日本でこんなに森が広がってるところってどこかあったか……?

 もしかしてアマゾンのジャングル……ではないな。

 そこまで暑くないし。

 かといって寒いわけでもないから、北半球の方ということではないだろう。

 なら中国……だったら山脈とかが見えるだろうし……。

 となると……。


 先程の自分の脚力を鑑みて、ただの狼ではない事を考慮すると……。

 ここは異世界……っていうのが今の可能性として一番高いのかもしれない。

 なら試してみる事はただ一つ!

 一度俺は木から降りて唱える。


「わんっ!(ステータスオープン)」


 ……あれ?

 以前読んだラノベだとこういう場合ずらっとステータスとか出てくれるもんじゃないの?

 いやいや、きっとステータスオープンじゃなかったんだ。


 「わんっ!(情報開示) わんっ!(ステータス一覧) わんっ!(オプション) わんっ!(システム起動) わんっ!(データ表示)」


 だがどれも反応はなく、鳴き声がこだまするだけであった。


 もしや異世界じゃなくてただ単に地球なだけだった……?

 はぁ……。

 輪廻転生するならせめて人間が良かったなぁ……。

 そこまで悪い事はしてないとは思ったんだけどなぁ……。


 しょぼくれていると、何やら人の臭いと血生臭い獣の臭いがした。

 臭いの元からして、お互い近くにいるようだ。

 しかも人の臭いの方は加齢臭とかそういうのではなく、何か子供っぽいように思える。

 いくら自分が獣になったとしても、そんな血生臭い獣に襲われてるであろう子供を見捨てるのは性に合わない。

 俺は急いでその場へと向かう。


 向かった先には、全長3メートルはありそうな大きな熊立ったまま威嚇しており、尻もちをついて怯えている女の子に今にも襲い掛かりそうであった。

 女の子はボロボロの麻っぽい服を着ており、どう見ても現代っ子のようには見えなかった。

 すると熊が思いっきり息を吸い込み始めた。

 それを見たこの狼の本能か、それとも咄嗟の反応かわからないが、突然俺の影が女の子と熊の間まで伸びて盾のように女の子を囲む。

 影が女の子を囲むのと同時に、熊は口から火を吹いた。


 その光景を見て俺は確信した。

 やはりここは異世界なのだと。

 普通影が伸びて盾のようにはならないし、熊が火を吹くはずがない。


 何となく感じたのだが、俺は影を自由に操れるようだ。

 俺は影で女の子を掴んで近くまで運んで降ろす。


 「??」


 女の子は何が何だかわからず混乱しているが、今はこの熊を仕留めるのが先決だ。

 俺は前へ出て熊を威嚇する。

 人間だったら火を吐く熊なんてビビっていただろうが、何故だか今の俺は全くこの熊を恐ろしいとは思わない。

 というより、あの熊の方がビビってないか?

 気のせいか?


 「ガゥ……」

 「うぅ……わぅっ!」


 一回威嚇すると、明らかに動きが固まったので一気に仕留める!

 俺は影を複数の槍の形にして操り熊に向けて放つ。

 動きが固まっていた熊は動く間もなく、そのまま影の槍に貫かれる。


 「ガ……ゥ……」


 影の槍を熊から抜くと、熊は力なく大きな音を立てて倒れる。

 一応念のために脳天に影の槍を突き刺す。

 一瞬ビクンビクンと反応するが、動かなくなったので最後に首を刎ねておく。

 これでもう動かないだろう。

 さてと……。


 俺は踵を返し、女の子の元へと戻る。


 「私……食べるの……?」


 何が悲しくて人を食わなきゃいけないんだ。

 俺は首を横に振る。

 てかこの子……女の子というより幼女じゃないか……?

 どう見ても小学校の低学年以下だろう……。

 そんな子がなんで森の中を一人でいたんだ?

3話からの書き溜め分を1日毎に投稿します。

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