SHSRの夜は
ヒキガネを引く2秒前の、その横顔を見ていた。
イッちゃって居る表情が、何よりも愛おしい君に、
「好きになった」って、「撃たないで」って。
暗がりで触れ合って、キスして。
「時間無いんだ」って。服を脱いで。
……防衛本能が麻痺してゆく。
死体の隣で抱きしめて。
足首には鎖繋げて、安物のドッグフード並べて。
言葉も交わさないテーブル。
抱き寄せられると、香った前髪と太い首が。
私を眩ます、タイトなシャツ。拍車かけてる。
「好きになった」って信じ込んだって、
何一つ、確証がないのに。
「余裕無いんだ」って。息荒げて。
……生存本能は麻痺している?
銃弾の雨が降り注いだ。
君が一人撃ち抜かれて、死体になる1秒前に、
「好きだ」って唇が動いた。
パトカーが来て。サイレンが鳴って。
それからは、唯ずっと1人で。
凍えてしまって、泣き喚いて、
……防衛本能が麻痺してゆく。
シーツの上で眠る夜に。
そんな妄想がちらついて。足首に残る傷痕が、
現実との区別をなくしてゆく。
死体の隣で抱きしめて。
足首には鎖繋げて、安物のドッグフード並べて。
S&Wの音がする。私の耳には、確かに。