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怪人十二面相 ~成功確率0.01%達成までの道のり~

時間、確率、そして感情。


怪人12面相~達成確率0.01%達成までの道のり~、

を執筆するにあたって、私の願いは以下の通りです。


リアルな場面での出会いにおける、

既存の枠組み(例えば、合コン)を突破し、

家柄や見立て年収等の表面上の制約を取り払い、

自由で闊達な出会いの意識や文化を醸成することで、

人が最も人らしく、創造的で対等で生き生きとした活動を促進する。

そして、世界を元気に、ハッピーにする!


よろしくお願いいたします。

■登場人物(Character)※全12名

ーmen1                   ーwomen1

カイジ                   ランチ

ジュン                   ピーチ

ニメンソ                  スパイシ


ーmen2                   ーwomen2

(凶暴なイメージで、強そうなアニマル参照)(理想的な相手のため、女神の名前から参照)

ウルフ:男A                エルフ:女A

タイガ:男B                 アルテ:女B

ホーク:男C                  ニケ:女C


■第1章~Birth~


10月17日(金)快晴、午後18時40分。新橋駅前のSL広場で、カイジ・ジュンは辺りを見渡していた。


「ニメンソ、またいつも通り15分遅刻だってよ」 

カイジは、ため息をつく。

「いつも通りのことじゃん、あの人猛者だし」 

ジュンは限られた世界で最先端の、流行り言葉を流用する。


今日は、待ちに待った新橋OLとの合コンだった。

新橋は、今や汐留、豊洲の空気を吸い、

サラリーマンの坩堝からイケイケOLが織りなす桃源郷へと姿を変えていた。


「お、あの娘達じゃね???」 

カイジは、陽が落ちてネオン街頭に映しだされてなお、眩い煌めきを放つ、2人の女性を指さした。

彼女等もまた辺りを見回し、時よりさり気なく携帯で本日の顔の出来栄えをチェックしていた。


「なんか、雰囲気可愛くないっすか?可愛くないっすか?」 

ジュンは、意味の乏しい繰り返し、いや、それはほぼ感情としてのそれを使う。

機関車パーシーは、感受性が豊かなのだ。


ニメンソからの事前情報によると、合コンの座組は3対3だったはず。

どうやら、相手の女性達も一人遅れているようだ、とカイジは思った。そして微笑んだ。


「お待たせ~、待った?」 

カイジはイケイケOLの二人に意気揚々と、颯爽と声をかけた。

「あ、全然。ワタシ達も、ちょうど今着いたところだよ」

感じの良い女性だ、と一言交わしてカイジは好感を抱いた。ジュンもまた同感だった。


「ぼくら、一人遅れててさ~、ごめんね。結構遅れるみたいだからお店先入っちゃおっか?」 

カイジはなる早で合コンを開始したい、一心だった。

「ワタシ達の一人も20分くらいは遅れるみたいなんだよ~。先にお店で待ってましょうか」

 女性OLが頷いた。男2人は感動した。

「ちなみに、お店の場所知ってる???おれら幹事が遅れててお店知らないんだよね~」 

ジュンが続いた。カイジと共鳴していた。


一瞬、相手の女性は逡巡した面持ちになった。


「ごめんなさい、ワタシ達も幹事が遅れてて分からないの。今聞いてみるよ」

カイジ、ジュンも一瞬、逡巡し、そしてほくそ笑んだ。


「あ、大丈夫。今俺らの幹事に店聞いて分かったから、うん、大丈夫。ここから結構近いみたい」

ジュンが気を利かす。

「流石、できる~」女性OL達の淡い黄色い歓声が上がった。

ジュンは少なからず高揚した。ジュンの小さな体が大きな体躯に膨張した。


「ぼく、ちょっとタバコ買いにあそこのコンビニにちょっと寄ってくるから、先行ってて~」

ジュンはカイジに伝えた。

「ワタシも煙草吸うから、あげるよ?」 

女性がジュンをおもてなす。できそうな男の特権だ。

「いや、悪いし。俺、ちょっと煙草こだわりがあるんだよね~」 

女性の気配りをジュンは無視した。女性の評価も若干、秒でうなぎ下がった。


こうして、ジュンを残して3人は、合コン会場であるお店に赴いた。

カイジは勇み足、ジュンはあとを追って走った。女性達のハイヒールは音を立てて続いた。


道中、カイジは近い将来を思い描き、それは青写真へ姿を変え、

胸の高まりを抑えることができなかった。

が、女性達と話した話題は、至極俗っぽい内容に終始した。


そういえば、ジュンはカイジ達に追いつくちょっと前に、

見知らぬ長身の人物に肩をぶつけてしまって、少しテンションが下がっていたっけ。


■第2章~Greeting~


「先程お電話させて頂いたジュンですが、19時から予約させて頂いておりました。

 少し早いのですが大丈夫ですか」

「お待ちしておりました。席は開けていましたので、大丈夫ですよ。案内致します。こちらです」


ウェイターの男性は、とても落ち着いていて、ビブラートのきいた低い声は感じが良く、

周りを落ち着かせる効果があった。

予定通りだ、とジュンは思った。


4人は、6人席の個室に腰を降ろした。

イタリアンと和の折衷がコンセプトのこの店は、新橋の喧騒からも、

日本経済のハードワークからも隔絶された、異世界の雰囲気がそこにあった。


「飲み物は何にされますか」 

カイジのギラギラした一見スポーツ系の風貌からは似つかわしくない丁寧な口調は、

若干の違和感があったが、女性達にはそれなりに響いた。

「私はビール、私は、う~ん、白ワインで」 

女性Bの息継ぎは、艶かしい・・・、ジュンは想像した。

それに、赤ではなく白なんて。官能的ではない、魅惑的なのだ。

「じゃ、俺達はビールで。すいませ~ん」

先程のウェイターを、カイジは呼んだ。努めて、優しい声量と波長で。


間もなくして、注文された飲み物は、カイジ達の待つ個室に届けられた。


「早速だけど、乾杯しちゃおっか」

ジュンは、焦る気持ちを抑えられなかった。カイジは頷いた。

「そうだね~、まだ遅れそうだから、先に乾杯しちゃいましょうか!」

女性達も共感した。

「うん、でも遅れてくる人には悪いから、また来たら、また乾杯しましょう」 

ジュンが気を利かす。


料理のメニューの注文は、全員が揃ったらで構わないだろう、そうカイジは思った。


「それじゃあ、一足先に…」

カイジが音頭を取る。

「乾杯~~~~!」

4人の声が重なった。調度それは、バスとテノールとアルトとソプラノのように…。


それから、4人はお互いに名乗ることもなく、それはまだ全員が揃ってないからなのか、

フワフワした空間と時間の中で、取り留めもない世間話を交わした。


「あの、、、お名前を伺っても良いですか…?」

自分からは名乗らなかったが、穏やかで温かなカイジの口調は続き、

それは一定程度女性達を落ち着かせた。

「あれ、ニケのお友達さんって、幹事さんかな?」

女性達はいきなりは名乗らなかった。ニケというのは、恐らく女性側の幹事のことだろう。

「あ、たぶんそれはニメンソのことっす」

ジュンが返す。

「ニメンソ、なにそれ~。変わった名前だね」

女性達は、特に興味もなさそうだったが、それなりに反応してくれた。

尼面祖ニメンソ、君は今、一体何処にいるんだ。カイジは、ふと尼面祖を思う。


「ニメンソって、どんな漢字?」

女性達が、深堀りをする。

「どっちかって言うと学者っぽくて、論理派な感じっす」

ジュンは、自然の摂理を超えて申し上げる。

「違う、違う、そっちの感じじゃなくて、漢字だよ~」

女性達の笑みが溢れる。


平行世界は恐いな、って恐らくニメンソは言うだろう、そうカイジは感覚的に想像した。


「ワタシは、エルフ。妖精みたいな可愛い名前でしょ。源氏名じゃないから安心してね」

女性Aはそう仰ったが、とても安心できないと、ジュンは思った。カイジは感銘していた。

「アタシ、アルテ。最近流行りのスポーツ、アルティメットはやってないけん。

 どちらかというと女神だよ」

女性Bはそう述べた後、ジュンは出会い系を思った。

カイジは、アルティメットを検索していた。


エルフは、マロン色か、亜麻色の長い髪が首筋にかかるほどであり、

表面は艶のある光沢を帯び、白い肌と黒い眉根や瞳をより一層輝かせていた。

恐らく、Essentialだと、カイジは思った。


体内の水分量は、まさに適切といった所で、これはニメンソの表現だが、

スラリとした長身は彼女の自然を表し、風が吹けばしなやかに嫋やぎ、

風が止めばその存在が屹立した。


アルテは、エルフと対照的で、髪は燃え上がるような黄金、

いや赤に近く、髪端はちぎれちぎれに空を目指して乱れ髪。

肌は、太陽の恩恵を受け小麦色に、、、と言うよりは、ほぼ褐色していた。


体内の水分量は、まさに砂漠といった所で、水に飢えているのか、男に飢えているのか。

胸元はぱっくり開かれた純白のVネックシャツを、魔が差して覗き込めば、

漆黒の闇に吸い込まれてしまいそうだ。ポカリスウェット。


「ワタシ達も、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

エルフのソプラノが、カイジとジュンの鼓膜を振動させた。

「幹事の子、ニケちゃんだっけ?おれらの名前聞いてないんだっけ?」

カイジが、石橋を叩く。

ジュンは、女性達が自分と同じようなリサーチャーではなく、

直感型の諸葛孔明であってホッとした。

「聞いてないけん、知らんけん。教えてほしいだっちゃ」

アルテの発言は、酔拳のようなものだ、とジュンは思った。

カイジは、ラム酒の追加注文を検討した。


「おれ、カイジ。で、こっちの小さいのがジュン。どんぐりころころ、グリとグラ」

カイジは、自分の名は、自分で名乗るという、ジュンの概念を完全に覆す。

「はじめまして」

ジュン(グラ)は、礼節に従った。或いは、俗風に…。


■第3章~Confluence~


「ドントゥルッルンルン、ドゥットゥルルルルル…」

夢の国(ネズミ君が主人公)のテーマソングが室内にこだました。

こだまでしょうか?いいえ、ニメン奏。

「お、ニメンソからの着信だ」

カイジは、着信音に対して食い気味に発音した。

「ニメンソ、遅いよ」

ジュンが、食傷気味にこたえる。チューチュー。

カイジは、少し遅れて反射し電話を取る。

どうやら、ニメンソは既にお店の近くまで来ているらしく、

あと47秒で店に着くとのことだった。


「ニケは、あとどのくらいになりそう?」

カイジが先方の動向を確認する。

「ニケも、あとちょっとで着くらしいって。お店で先に待ってるね~って伝えてるよ」

エルフは、主人公をサポートする気の利くフェアリーのようだ。


「ちょっとって、具体的にどのくらいになりそう」

ジュンは時間に厳しい。ちょっとは、あとちょっとでいいだろ、

というような気功をカイジはジュンに送る。

ちょっとは、あとちょっとでいいだろうか、いや良くない、

とジュンが殺気を送り返す。

「2,3分くらいだと思うけん」

直感型のアルテが答えた。少しだけ奥ゆかしいジュンに対して、

放電しているような感があった。


ちょっとだけ、ぎこちない雰囲気が室内を覆って、

カイジとジュンは、ドギマギしてしまった。カイジもなかなか二の句が継げない。

そんな時・・・。


「お待たせ~」

はつらつとした声の持ち主は、ニメンソ。

彼は場の空気とは無縁の存在だった。電話してから、57秒後の出来事だった。


「あら、やだ、カッコイイ」

直球か。

ジュンは、ニメンソを目視したアルテの顔、そして肌が、水を得た魚のように、

瑞々しく輝いたのを見た。カイジは、普通に嫉妬した。

「っぽ…」

エルフは、主を見つけたように、一心にニメンソの薄茶色の瞳を見つめ、

エルフの黒い瞳は釘付けされた。ジュンは、普通に落胆した。ニメンソに、死角なし。


ニメンソは、しなやかな長身と頑強な胸板を同時に持ちあわし、

爽やかな短髪、色素の薄い髪色と虹彩が、その存在を輝かせ

、実際、汗を多量に掻いていた。ニメンソは、代謝が良いのだ。


「遅れてごめんなさい。ランチはもうすぐ着きそうなの?」

ニメンソは、謝罪も早々に、早速女性達に質問した。

「ランチ…?!」

アルテビックリ。

どちらかと言うと、今の時刻はランチというより、ディナーだ、とジュンは思った。

「っえ、幹事の子の名前だったよね。遅れてるんじゃないの?」

ニメンソは、少年のような眼差しで、質問を重ねる。


先程より深刻で、ぎこちない空気が、全体に漂う。

カイジもジュンも、エルフもアルテも、

お互いの顔を見渡し、ある程度困惑している様子だった。


「私達(女の子達)の幹事の名前はニケだけん(だよ)」

アルテとジュンがほぼ同時に発言した。

「え、どういうこと(だ)…?」

エルフとカイジも続く。

ニメンソは、頭の右側を一本指でつついて、何か考えている様子だった。


■第4章~Judas~

「ドゥダーダッ、ドゥダーダッ、ドゥダーダッ」

アメリカの歌姫(最旬)が、重々しい沈黙を切り裂く。

5人全員が、アルテの携帯電話に注目した。

「ニケからの電話やけん。…もしもし、ニケ?」

アルテは、何事も深く考えない。ニケからの連絡を取った。

「もしも~し、アルテ?お店に着いたよ。って、誰もいないんだけど。

 あんた達一体何処のお店にいるの~?」

ニケは、やや荒々しい口調で、静まり返った室内は、

電話越しでも彼女の声を轟かせた。


カイジもジュンもエルフも完全に混乱した様子で、目が泳いでいた。

ニメンソは、目を閉じて考え込んでいたが、やがて合点がいったように開眼した。

アルテは笑っていた。よく分からないけど楽しそうだ。アーメン。


「アルテさん、電話を替わって頂けませんか?状況が分かりました」

ニメンソ、君は、聴覚も優れているのか、

それとも直観も含まれているのか、呼んだ名前は正しかった。

「ニケ~?ちょっと、よく分からないけん。やけ、一緒にいる人に替わるね~。…はい、どうじょ」

自分のいる場所も人もよく分からない状況で、この平常心は何なんだ、

ジュンは思った。


「もしもしニケさん、ニメンソと申します。」

「はじめまして。エルフとも一緒にいますか?」

「はい、恐らく。こちらにいる素敵なお嬢さんは恐らくエルフさんかと」

なんか、軽い誘拐犯みたいだ、とカイジ・ジュンはワクワクした。


一瞬の間が、電話口の向こう側にあった。

ニケも恐らくこの状況をうまく飲み込めていないのだろう。


「あなたは、誰?」

「ニメンソです。私達は恐らく大きな間違いを、

 今、おかしている、そんな気がします」

「わたしも、そう思います。ちょうど今、ウルフから連絡が来たわ」

「僕も、ランチから、そろそろ連絡が来ると思います。つまり…」

「あなた達が会っているのは、本来の合コン相手ではない、ということね」

「はい、恐らくそうです。」


え、どういうこと、どういうこと?と、アルテがはしゃぎ立てる。

一方、エルフは、微小を浮かべながら落ち着いた様子だった。

カイジとジュンはお互いの顔を見つめ合って、今の状況を確かめ合っていた。


■第5章~Insanity~


「ウルフ達が怒っているわ」

ニケとニメンソの電話は続いた。

「お気持ちは分かります。もう、合流したのですか」

ニメンソは、誰よりも落ち着いて見えた。

実際、ニケとの電話のやり取りの最中にも、ジュンに今の状況を3人に伝えるよう指示していた。

「まだ合流していないけど、あと2,3分でこちらに着くみたい」

ニケもニケで落ち着いていた。恐らくニメンソとの電話をしながら、

ウルフと呼ばれるその男と連絡を取っているのだろう。


え~まじ~?すご~い!なんだか不思議~、キュピオ~、とアルテ。

ジュンが、ひと通り状況を説明し終えると、通常では、理解し難い反応をアルテはした。

エルフは、冷静沈着なニメンソに見とれていた。ジュンは、たぶん絶望していた。



「そうですか、こんなことになってしまって、すみません」

ニメンソは、あくまで礼儀正しかった。

「起こってしまったことよ。でも、ウルフは、あなた達の事を疑っているみたい。

 荒手のナンパ師なんじゃないかって」

肩を落としたジュンが、心なしか震えているように、カイジには見えた。

「なるほど。考えられますね。ですが、実際は、

 僕達も本来的な合コン相手の女性達を待たせてしまっているので…」

アルテは、ニメンソのその言葉を聞いた瞬間に直通で悲しい顔をした。

「あ、ちょっと待って。ウルフがもうすぐ到着するみたい」

「了解です。一旦、エルフさんとアルテさんにも、僕の方から詳細を説明します」

「分かったわ。では、5分後にまた改めて電話するわね。いい?」

「御意です」


程なくして、電話は途切れた。

時が止まったような一瞬の静寂が、室内を包み込む。

静寂は、これからニメンソが話す内容の重要性を表していた。

重大な事実の共有と、ここにいる全員の将来についてだ。


ニメンソは、声のトーンを落として、ことの状況を説明した。

私達は、間違っていたのだということを。

事の発端や原因については抜きにして。

そして、偶然か必然かどうかも抜きにして。


「で、どうするよ?」

カイジが結論を急ぐ。

「少しだけ仲良くなったから本当に残念だけど、ここでお別れですね」

ジュンは決まり文句を継いだ。

心の中では、公私(仕事とプライベート)の関係の中で葛藤していた。

実際、そのような葛藤こそが、緊張という名の震えを起こすのだろう。


「嫌だ、嫌だ~、折角出会ったのに勿体無いけん…。とりま、連絡先交換するだっちゃ」

殆ど、アルテの目はニメンソに向けられていたが、直接的且つ積極的な態度に、男性一同喜びを覚えた。

「待って、アルテ。こんな偶然、とってもすごい機会だと思う。私、イイこと閃いちゃった」

連絡先交換以外に、今考えるべきことが他にあろうか、と言った表情を、アルテはエルフに向けた。


男子3名は、エルフの閃きに固唾を呑んだ。-Gokuri by Suntoy -


「ニメンソさん、わたしから提案があります」

「と、いうと」

「折角だし、全員でパーティーしちゃいましょうよ」

なんということだ、その発想はなかった、とジュン。

カイジは、エルフは妖精でなく天使に似た存在のようなものだと、興奮した。

ニメンソも、珍しく驚きの様子を浮かべた。

「きた!」興奮覚め止まないカイジが、思わず本音を心の底から発声してしまった。

ジュンとニメンソは、苦虫を噛み潰したような渋い顔をした。


「失礼します。お済みのグラスをお取りします。追加のご注文はいかがいたしますか?」

先程のウェイターは、ある種の張り詰めた空気を察知したのか、図ったように登場した。


ニメンソは、想定外だが、非常に有益な外部要因に感謝した。

そして、右指先で右脳の真ん中を、外からこつこつと叩いて、思考に集中していた。


「ウェイターさん、もしかしたら人が増える可能性があるんですが、

 その場合、席移動は可能でしょうか?」

ニメンソの機転と実行の早さに、カイジとジュンは畏怖の念を抱く。

エルフは感動し、アルテは、先程よりも深く状況を飲み込めていなかった。

「もちろん、広い席に移動はできますよ。ただし、予約と空き状況を確認させて下さい。

 何名追加予定ですか?」

「6名です」

ニメンソは、即答した。


■第6章~Gamble~

「ランチにも、連絡を入れてみようと思います」ニメンソが切り出した。

~ Coming Soon Sorry ~


■第7章~Achievement~

~ Coming Soon Sorry ~


■第8章~Real Story~ 

12面相合コンの終了後、振返りMTGで、

ニメンソの仮説が遂に達成できたことに狂気していた、カイジとジュン。

それも一度も、自分達が怪人十二面相であることを、

相手に明かさずに実現できた。それは、ストーリーの美しさを求めた結果だった。


「ついに、やった。0.01%の達成を俺たちは成し遂げたんだ!」

カイジは、いつも通りの高いテンションで、両手を拡げながら、

至上の喜びを表現した。@新宿安居酒屋

「実際の成功確率は1%だったな」

ニメンソの冷たい声が響いた。

「やっぱ、俺らの仮説力、分析力、実行力の賜物じゃないかな?」

ジュンが101回目で達成したことを恭しげに、しかも声高々に主張する。


実行数、101回。達成に描かれた世界の裏の世界。

考えられるあらゆる苦難とリスクが存在した。

未開の地の先にあると言われる光を求めた冒険。

その背景には、幾千もの失敗や挫折の連続があった。


それら一つ一つすべてが、彼等の成長の糧となり経験となり、

絶え間ない無限の行動は、歴史に姿を変えた。


走馬灯のように、彼等の記憶と軌跡が蘇る…。


■第9章~Appreciation~


◆フラッシュバックストーリーの展開~急激な場面変化~

ー起草(怪人十二面相)

ー企画提案&大枠の戦略の提示

ー戦略MTG1回目

ー戦略MTG2回目

ー戦略MTG3回目&第1回実行@新橋SL広場から


◆概算図(以下参考) ※ニメンソの仮説


第2章の確率:40分の1(2対2)

第3章の確率:2分の1(3対2)

第4章の確率:5分の1(3対3)

第5章の確率:5分の1(3対6)

第6章の確率:5分の1(6対6)


第7章の確率:10,000分の1⇒0.01%達成 ※怪人12面相の達成


■第10章~Another Story~

しかし、本当の恐怖はここからだった。

その頃、ニケ、エルフ、アルテも同様に振返りMTGを行っていた。

「今日の合コン、中々楽しかったね」アルテが嬉しそうに言った。

「うん、想定通り。333回目でようやく出会えたね」エルフが冷笑を浮かべる。

「彼等の怪人十二面相は偽物。本当の怪人十二面相は私達よ。イイ男だったけど」ニケは言った。

彼女等は、過去、共通の、人物(性別不明)を、愛し、騙され、3人は出会い、結託し、怪人十二面相となったのだ。

そして、その人物(性別不明)こそ、本当の怪人十二面相、いやイデオロギー(観念)だったのだ。

女達の怪人十二面相、誕生までの番外ストーリーが今、陽炎のように駆け巡る。


■第11章外伝~Another Story~女達の怪人十二面相

■第12章~Second Generation~

■第13章~Third Generation~

■第0章~Birth of The Phantom ~





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