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Pure Pop 俺、アイドルになります  作者: トムトム
アイドル修行編
16/17

「おはようございます。よろしくお願いします」

朝5時。昨日打ち合わせた会議室が集合場所だ。あの後10時までしっかりと勉強をした俺は、そのまま寝て、4時に起きてシャワーを浴びて体をスイッチを切り替えさせた。

俺は見回すと、陽菜ちゃんが来ていない。遅刻なのだろうか?

「伊吹君、おはよう。スッキリとしているね?」

「昨日は10時過ぎにすぐに寝ましたから。朝起きてシャワー浴びましたし」

「成程。それなら、陽菜ちゃんとの絡みは後で収録するとして、伊吹君だけのシーンを先に収録してしまおうか?」

「何かあったんですか?」

「夜更かししたらしくて……ね。若い子なのは分かるけどね」

陽菜ちゃんは、自分に甘い子なんだね。昨日の宿題も、澤田さんと自分のマネージャーにおんぶに抱っこで宿題を解いていたような気がする。

「そう言われちゃうと俺も困ります。すみません」

「そうだね、伊吹君はちゃんと来たものね。一緒に宿題をやったんだって?」

「はい。俺の通う学校は休みの時の宿題量がとにかく多いんです。休み明けの実力テストも成績にかなり反映されちゃうんで大変ですよ」

「そうか、昼休みは宿題に費やすのかな?」

「仕事がなければその予定です。少なくても今のところは」

俺は持っているスマホで今日のスケジュールを確認する。今のところはそう言った予定はないっていない。

「まずは、伊吹君の収録シーンだけを優先に取ってしまうから。シナリオチェックして。準備ができたらこれからの進行を説明するからもう一度シナリオをチェックしておいてね」

「分かりました。それじゃあ、ロケバスに移動します」

俺はCMの監督さんに一声かけてからロケバスに戻る事にした。


「伊吹聞いたか?」

「聞いたよ。あの子……何をやらかしたの?」

「SNSで3時まで起きていたんだと」

馬鹿じゃないだろうか?朝から収録だというのにそんな無責任でいいのだろうか?

「彼女にとっても今回の仕事はチャンスじゃないのですか?」

「だと思うんだけどね。まあ、いいよ。午前の彼女との絡みのシーンは2つ位しかないから明日に変更だって。その代わりに、時間関係なく、伊吹のシーンは今回で撮影できるだけ撮影するって」

「それでいいんですか?」

「いいだろう?同じように宿題をやっていたにしても態度はちがったろ?あの会議室何度かスタッフさんが出入りしていたのお前は知っていたか?」

「切り上げた時にいたので、いたんだなって程度です」

俺は集中すると周囲は気にならないタイプなので、俺の姿を何人の人が見ていたのかは知らない。

「ほぼ全員が見ているんだよ。お前がありえないスピードでお前が宿題を説いている姿」

「そんなに怖くはないですよね?」

「いや、アレは十分怖いから。でもそれを見たから伊吹だけ集中して撮影する事にしたみたいだよ。陽菜ちゃんには時間がかかりそうだから」

「成程。で、その陽菜ちゃんは?」

「部屋で強制的に寝かされるらしい。マネージャーはエキストラベッドを追加して一緒に過ごすってさ」

「うわあ。それも大変」

陽菜ちゃんのマネージャーさんは、男性だけど……今はいいとしても、夜に一晩はまずいよね?

「とりあえず、真澄さんを臨時のマネージャーに見立てて来てくれるって。それまでの監視役だよ」

それを聞いて俺はホッとする。真澄さんって、こないだ左の薬指に光るものを見たんだけど。あれって聞いてもいいのかな?

「今だと秋もので忙しいのでは?」

「大丈夫。真澄さんはライフプランが変わったから、雑誌の撮影は今月号で終了するんだ。冬ものからもう少し年齢が上の雑誌に異動する事が決まったから今は少しだけゆっくりしていられると思うよ」

「それって・・・・・・ママになるんですか?」

真澄さんは妙齢の女性だから、ありえない事ではない。

「流石にそれはないよ。でもそこに近いものはあるね。彼女は結婚するんだよ。お前達のCMが始まったタイミングでマスコミ発表したいって二人の意思だから」

「二人の意思?」

「伊吹はあの人をあまり知らないから分からないだろうな。本当に二人でいると暑くってな」

「そうなんですね。マスコミ発表を見てから声をかけてもいいんですよね」

「別に問題ないと思うぞ。絶対に婚約指輪つけているから」

真澄さんのお相手って誰だろう。俺が知っているってことなんだよな。

その前に俺は収録予定のシーンの絵コンテを見返すことに集中する事にした。


そして、次の日。同じ時間の集合時間には緊張している陽菜ちゃんがいた。

「おはようございます。真澄さん、陽菜ちゃん」

「おはよう。伊吹君。昨日はごめんなさい」

昨日よりも小さくなっている陽菜ちゃんが俺に謝った。

「俺は平気。でも健康管理もお仕事だよ」

「うん、昨日の夜に真澄さんに怒られた」

「じゃあ、今日は頑張ろうね」

「うん……。ありがとう」

陽菜ちゃんは俺から離れて、スタッフさんに謝罪をしていた。

女の子だから体調が崩れる事もあるかもしれないけど、昨日はそういう理由じゃないから仕方ないかなって思う。

最初に陽菜ちゃん単独の撮影をしてから、僕らが一緒に撮影するシーンを撮影した。

お互いに収集して撮影に臨んだせいか、撮影予定時間をかなり残して終了した。

収録後、映像のスタッフさん達は既に次の作業に移ると言う事で、先に東京に帰る人も出てきた。残った時間というか、最終日の帰るまでの時間が余ってしまった俺達は、オフショット撮影という事で、空き時間に宿題をしたり、夕焼けの海岸で遊んだりしたりするところを撮影したり、食事のバイキングの風景をとったり、ホテルにお仕掛けたりもされた。

ちょっとしたトラブルはあったけれども、俺のロケは無事に終了した。


残りのスタジオ収録は東京に戻って来た翌日から始まった。閉館している図書館を使って丸一日撮影したり、閉校している学校で撮影したりして無事に全シリーズの撮影が終わった。他のメンバーのスケジュールは聞いていないけど、俺と陽菜ちゃんが一番スケジュール的にはキツイけど、短期集中型だと聞いていた。

これで後は前日のマスコミ発表までCMの仕事は入っていない。

俺は残っている時間をいつもの様にレッスンの時間に充ててしっかりとマスターする事にしていたのだった。


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