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「七」

 女の子だ。もちろん、うちの生徒。制服姿だし、不審なところは何もない。

 ただ、その制服は真新しくて、着慣れていないのが遠眼にも分かった。

 けど、本当に眼を引いたのはそんなことじゃない。


 ――彼女は泣いていた。眼元を小さな両手で覆って、声を殺すように泣いていたのだ。


 こんな状況に出会した時の正しい選択肢を、俺は知っている。

 ――気にしないことだ。或いは、そっとその場を離れる、とか。

 当たり前だろう? 泣いている見知らぬ女の子にほいほい声を掛けるなんて、よっぽどの猛者にしか許されぬ所行だ。

 俺のような男がやろうものなら、不審者として通報されかねない。泣いている女の子に声を掛ける事案が発生、である。


 ……そんなことは、分かっていたんだけどな。

 でも、だめだ。

 だって、独り声を殺して泣いているその姿が、重なって見えてしまったんだ。


 ――昼休みを過ごす友人も見付けられない、不器用な妹の姿に。



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